5 / 8
第5話 助け
「なるほど……」
事情を聞き、王太子であるエリックは口元に手を当てる。
護衛騎士になったのは最近だが、実直で真面目なティタンに信頼をおいているのだ。
助けにはなってあげたい。
しかし呪術師を探しているとは。
「……これは秘密なのだが」
本来はけして言ってはならないことだ。
王家では秘密裡に呪術師を雇ってる。
呪いへの対抗手段がないといざという時に身を護る事が出来ない、しかしその力は貴重なため他国に漏らさないようにする必要があった。
国家機密の案件だがティタンの婚約者については、様々な噂をエリックも聞いている。
今後も自分に忠誠を誓う事、そして自分も同行する事を条件に、エリックは呪術師の紹介を約束した。
「彼の事は皆様他言無用で」
事前に契約書まで書かせて、エリックは呪術師のサリーをスフォリア邸まで連れてきた。
フードを目深にかぶった男性は一言も喋らずミューズの側に来る。
何かあればただじゃおかないと、ティタンの体からは気迫が溢れ出ている。
俯いたサリーの目とミューズの目が僅かに合った。
きれいなオッドアイに思わずサリーはフードを更に下げた。
「……今から解呪をしますが、何が起ころうとミューズ様に触れませんようお願いします」
杖を掲げ、ぶつぶつと呪文を唱え始める。
ティタンは無意識に剣に手を伸ばし、ミューズの家族も身を寄せ合い、祈るようにしてその様子を見守る。
「うぅっ……」
ミューズの口から苦悶の声が漏れる。
途端に激しく身を捩り、痛みに耐えるようにきつく毛布を握りしめた。
「ミューズ!」
「近づくなよ!」
エリックに制され、ティタンはその場でグッと堪える。
自分の力では救えないことに悔しさが募る。
「あぁっ!」
痛みが激しくなっているようだ、ミューズの目からは涙が溢れている。
その時ミューズとサリーの視線が合った。
「?!」
黒い霧がミューズの体から立ち昇るが、フードの奥でサリーが僅かながら動揺を見せる。
皆が黒い霧に集中していたため、気づいたのはエリックのみであった。
黒い霧は勢いよく窓から外に飛び出していった。
ティタンが行く末を追う様に窓から身を乗り出すが、もはやどこへ行ったかなどわからない。
「今のが呪いなのか……?」
はっとしてティタンはミューズを見やる。
伏せている彼女の様子はこちらからじゃわからない。
サリーの方を見ると大きく頷いてた。
「彼女から呪いは離れました。もう大丈夫です」
余程力を使ったのか、サリーの声は掠れていた。
「ミューズ!」
ミューズの両親も弟であるリオンも、ミューズの元へ駆け寄る。
ゆっくりと身体を起こすミューズの身体は、包帯の上からでもわかる程良くなっている。
「……ミューズ、包帯を外すわ」
ゆっくりと震える手で、母であるリリュシーヌが包帯を解いていく。
「私の身体は……?」
皆の視線を受け、恐る恐る頬に触れる。
痛みもなく、膿も感じられない。
やや痩せてしまったが手も足も白い滑らかな肌に戻っている。
「治ったのね」
ぽろぽろと涙を流すミューズをティタンは強く抱きしめた。
事情を聞き、王太子であるエリックは口元に手を当てる。
護衛騎士になったのは最近だが、実直で真面目なティタンに信頼をおいているのだ。
助けにはなってあげたい。
しかし呪術師を探しているとは。
「……これは秘密なのだが」
本来はけして言ってはならないことだ。
王家では秘密裡に呪術師を雇ってる。
呪いへの対抗手段がないといざという時に身を護る事が出来ない、しかしその力は貴重なため他国に漏らさないようにする必要があった。
国家機密の案件だがティタンの婚約者については、様々な噂をエリックも聞いている。
今後も自分に忠誠を誓う事、そして自分も同行する事を条件に、エリックは呪術師の紹介を約束した。
「彼の事は皆様他言無用で」
事前に契約書まで書かせて、エリックは呪術師のサリーをスフォリア邸まで連れてきた。
フードを目深にかぶった男性は一言も喋らずミューズの側に来る。
何かあればただじゃおかないと、ティタンの体からは気迫が溢れ出ている。
俯いたサリーの目とミューズの目が僅かに合った。
きれいなオッドアイに思わずサリーはフードを更に下げた。
「……今から解呪をしますが、何が起ころうとミューズ様に触れませんようお願いします」
杖を掲げ、ぶつぶつと呪文を唱え始める。
ティタンは無意識に剣に手を伸ばし、ミューズの家族も身を寄せ合い、祈るようにしてその様子を見守る。
「うぅっ……」
ミューズの口から苦悶の声が漏れる。
途端に激しく身を捩り、痛みに耐えるようにきつく毛布を握りしめた。
「ミューズ!」
「近づくなよ!」
エリックに制され、ティタンはその場でグッと堪える。
自分の力では救えないことに悔しさが募る。
「あぁっ!」
痛みが激しくなっているようだ、ミューズの目からは涙が溢れている。
その時ミューズとサリーの視線が合った。
「?!」
黒い霧がミューズの体から立ち昇るが、フードの奥でサリーが僅かながら動揺を見せる。
皆が黒い霧に集中していたため、気づいたのはエリックのみであった。
黒い霧は勢いよく窓から外に飛び出していった。
ティタンが行く末を追う様に窓から身を乗り出すが、もはやどこへ行ったかなどわからない。
「今のが呪いなのか……?」
はっとしてティタンはミューズを見やる。
伏せている彼女の様子はこちらからじゃわからない。
サリーの方を見ると大きく頷いてた。
「彼女から呪いは離れました。もう大丈夫です」
余程力を使ったのか、サリーの声は掠れていた。
「ミューズ!」
ミューズの両親も弟であるリオンも、ミューズの元へ駆け寄る。
ゆっくりと身体を起こすミューズの身体は、包帯の上からでもわかる程良くなっている。
「……ミューズ、包帯を外すわ」
ゆっくりと震える手で、母であるリリュシーヌが包帯を解いていく。
「私の身体は……?」
皆の視線を受け、恐る恐る頬に触れる。
痛みもなく、膿も感じられない。
やや痩せてしまったが手も足も白い滑らかな肌に戻っている。
「治ったのね」
ぽろぽろと涙を流すミューズをティタンは強く抱きしめた。
あなたにおすすめの小説
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
お姉様の婚約者を好きになってしまいました……どうしたら、彼を奪えますか?
奏音 美都
恋愛
それは、ソフィアお姉様のご婚約を交わす席でのことでした。
「エミリー、こちらが私のご婚約者となるバロン侯爵卿のご令息、オリバー様ですわ」
「よろしく、エミリー」
オリバー様が私に向かって微笑まれました。
美しい金色の巻髪、オリーブのような美しい碧色の瞳、高い鼻に少し散らしたそばかす、大きくて魅力的なお口、人懐っこい笑顔……彼に見つめられた途端に私の世界が一気に彩られ、パーッと花が咲いたように思えました。
「オリバー様、私……オリバー様を好きになってしまいました。私を恋人にしてくださいませ!!」
私、お姉様からご婚約者を奪うために、頑張りますわ!
姉の夫を誘惑?冤罪追放されました。好きなのは一人だけ。冷酷な第一王子に拾われ極上甘々に溺愛されています〜初恋の彼は私以上に執着していました〜
唯崎りいち
恋愛
「あの子は私を引き立てるための『人形』なの」
美しき姉に利用され、意思を持たぬ人形として生きてきた転生者の私。姉の夫である第三王子から横恋慕され、冤罪を着せられて追放されてしまう。
行き場を失い、血を流して倒れる私を拾い上げたのは、国中で最も恐れられる第一王子だった。
「やっと捕まえた。もう二度と逃がさない」
冷酷なはずの彼の瞳に宿る、狂おしいほどの情熱。私を「人形」ではなく「一人の女性」として愛してくれる彼の手を取り、私は初めて自分の意思で「誘惑」を開始する――。
【完結】私のことが大好きな婚約者さま
咲雪
恋愛
私は、リアーナ・ムスカ侯爵子女。第二王子アレンディオ・ルーデンス殿下の婚約者です。アレンディオ殿下の5歳上の第一王子が病に倒れて3年経ちました。アレンディオ殿下を王太子にと推す声が大きくなってきました。王子妃として嫁ぐつもりで婚約したのに、王太子妃なんて聞いてません。悩ましく、鬱鬱した日々。私は一体どうなるの?
・sideリアーナは、王太子妃なんて聞いてない!と悩むところから始まります。
・sideアレンディオは、とにかくアレンディオが頑張る話です。
※番外編含め全28話完結、予約投稿済みです。
※ご都合展開ありです。
草を刈っただけで、精霊王に溺愛されていたらしい
卯崎瑛珠
恋愛
卒業パーティで王太子が「貴女との婚約を、破棄する!」と叫ぶところからはじめてみようと、
書いてみましたよ。
真実の愛ってなんでしょうね
-----------------------------
サクッと読める、ざまぁと溺愛です
姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました
碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。
学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。
昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。
わたしと婚約破棄? では、一族の力を使って復讐させていただきますね
ともボン
恋愛
伯爵令嬢カスミ・リンドバーグは、第二王太子シグマとの婚約お披露目パーティーで衝撃的な告白をされる。
「カスミ・リンドバーグ! やはりお前とは結婚できない! なのでこの場において、この僕――ガルディア王国の第二王太子であるシグマ・ガルディアによって婚約を破棄する!」
理由は、カスミが東方の血を引く“蛮族女”だから。
さらにシグマは侯爵令嬢シルビアを抱き寄せ、彼女と新たに婚約すると貴族諸侯たちに宣言した。
屈辱に染まる大広間――だが、カスミの黒瞳は涙ではなく、冷ややかな光を宿していた。
「承知しました……それではただいまより伯爵令嬢カスミ・リンドバーグではなく、ガルディア王国お庭番衆の統領の娘――カスミ・クレナイとして応対させていただきます」
カスミが指を鳴らした瞬間、ホール内に潜んでいたカスミの隠密護衛衆が一斉に動き出す。
気がつけばシグマは王城地下牢の中だった。
そこに現れたのは、国王バラモンと第一王太子キース――。
二人はカスミこそ隣国との戦争で王国を勝利へ導いたクレナイ一族の姫であり、シグマの暴挙は王家にとっても許されぬ大罪だとしてシグマとの縁を切った。
それだけではなく、シグマには想像を絶する処罰が下される。
これは婚約破棄から生まれる痛快な逆転劇と新たなラブストーリー。
神の愛し子と呼ばれていますが、婚約者は聖女がお好きなようです
天宮花音
恋愛
ミュンバル公爵家の令嬢ローゼリカは神の愛子とされ、幼い頃よりアモーナ王国第一王子リュシアールの婚約者だった。
16歳になったローゼリカは王立学園に入学することとなった。
同じ学年には、第2王子で聖騎士に任命されたマリオンと
聖女となった元平民でメイナー子爵家の養女となった令嬢ナナリーも入学していた。
ローゼリカとナナリーは仲良くなり、リュシアール、マリオン含め4人で過ごすようになったのだが、
ある日からナナリーの様子がおかしくなり、それに続きリュシアールもローゼリカと距離を取るようになった。
なろうでも連載中です。