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断罪、その後(メイベルク家にて)
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抱きしめられて眠ってしまったレナンの体を少しずらす。頭を膝の上に乗せてあげ、体には上着を掛けてあげた。
本当は侍女を呼ぶなりして彼女の自室まで運んであげればいいのだろうが、このままこうして二人で過ごしたい。
レナンの頭を優しく撫で、頬に触れる。自然と笑みがこぼれた。
涙の跡がまた出来てしまったから、あとでまたたっぷりと好きだと伝えよう。
(ずっと、こうして側にいたい)
時間がゆっくりと過ぎるが、愛おしい恋人と過ごすにはまだまだ時間が足りない。
「こうして共に過ごすことも世間からは咎められるのだろうか」
未婚の男女が二人きりで過ごすなどもっての外なのに、婚約者でもないものが一緒にいるなんてと。
でもここに居るものは皆こちらの味方だ。
幼い頃から結婚の約束をしていたし、エリックもレナンの配偶者として認められている。
わざわざ告げ口するものはいない。
だからこうしてステラがメイベルク家に来るのは、エリックを見張っていたのではないかと思うくらいに不自然だった。
しかもレナンに会いに来たのではなく、エリックの名を出される。
控えめなノックで起こされ、招かれざる客の名を聞いて、レナンは焦るがエリックは望むところだと意気込む。
「心配せずゆっくりと身だしなみを整えてきてくれ」
ドレスのまま何も考えずに眠ってしまったので、髪も服も乱れている。
涙の跡などを見て、エリックが手を出しをしたのではないかと思われる。
侍女たちの目線が痛いが、何も答えずに微笑んで誤魔化した。
(レナンが終わるまでゆっくりと過ごさせてもらおう)
淹れてもらった紅茶を口にし、一息ついた。
もっとレナンの寝顔を見ていたかったのに、本当に邪魔な存在だとますますステラが嫌いになる。
先触れもなく来たステラをいくら待たせても構わないとエリックは思っているので、レナンをおいて挨拶するとか顔出しするなどもする気もない。
そもそも人様の家に来て、その家の主を差し置いてエリックを名指すというのは、何と失礼なのだろうか。
大人しくエリックの屋敷にて帰りを待てばいいのに、我慢できなかったのだろう。
来てたとしても追い返していただろうが。
身支度の整ったレナンと並び、ステラが通された応接室に入る。
「エリック様。どうしてレナン様のところにおいでなのですか? お二人はもう婚約者ではないのですよ」
開口一番そのような事を言われ、レナンは怯み、エリックは睨みつける。
「その事については両侯爵も了承しておりません。不当なものですから」
「ですが、これは陛下がお決めになったこと。それに逆らうなんて」
「仮に婚約者ではなくなったとしても、俺達は恋人です。また新たに婚約するだけです」
婚約者ではないからといって話も出来なくなるわけではない。
エリックはレナンと離れるのを拒み、ステラの向かいに二人並んで座る。
「そもそも俺はあなたと婚約を結ぶ気はありませんよ」
「何故ですか。私たちはお似合いです。公私ともに良きパートナーとなり、良い家庭も築けるはずです」
ステラは頬を紅潮させながら訴える。
「ご冗談を。俺はレナンを愛しておりますから」
何を言われようと彼女の隣を離れない。
「レナン様はどうでしょう。私とエリック様は共に城勤めをする身、それに宰相候補と筆頭公爵家の長女、似合いだと思いませんか?」
「その、えっと」
字面だけ追えばそうかもしれない。
「そこに大事なものが含まれていないのですから、レナンには答えられませんよ」
震えるレナンの手を握り、エリックは代わりに言葉を発する。
「大事なもの?」
「えぇ。あなたと俺の間には愛がない」
エリックは堂々と告げる。
本当は侍女を呼ぶなりして彼女の自室まで運んであげればいいのだろうが、このままこうして二人で過ごしたい。
レナンの頭を優しく撫で、頬に触れる。自然と笑みがこぼれた。
涙の跡がまた出来てしまったから、あとでまたたっぷりと好きだと伝えよう。
(ずっと、こうして側にいたい)
時間がゆっくりと過ぎるが、愛おしい恋人と過ごすにはまだまだ時間が足りない。
「こうして共に過ごすことも世間からは咎められるのだろうか」
未婚の男女が二人きりで過ごすなどもっての外なのに、婚約者でもないものが一緒にいるなんてと。
でもここに居るものは皆こちらの味方だ。
幼い頃から結婚の約束をしていたし、エリックもレナンの配偶者として認められている。
わざわざ告げ口するものはいない。
だからこうしてステラがメイベルク家に来るのは、エリックを見張っていたのではないかと思うくらいに不自然だった。
しかもレナンに会いに来たのではなく、エリックの名を出される。
控えめなノックで起こされ、招かれざる客の名を聞いて、レナンは焦るがエリックは望むところだと意気込む。
「心配せずゆっくりと身だしなみを整えてきてくれ」
ドレスのまま何も考えずに眠ってしまったので、髪も服も乱れている。
涙の跡などを見て、エリックが手を出しをしたのではないかと思われる。
侍女たちの目線が痛いが、何も答えずに微笑んで誤魔化した。
(レナンが終わるまでゆっくりと過ごさせてもらおう)
淹れてもらった紅茶を口にし、一息ついた。
もっとレナンの寝顔を見ていたかったのに、本当に邪魔な存在だとますますステラが嫌いになる。
先触れもなく来たステラをいくら待たせても構わないとエリックは思っているので、レナンをおいて挨拶するとか顔出しするなどもする気もない。
そもそも人様の家に来て、その家の主を差し置いてエリックを名指すというのは、何と失礼なのだろうか。
大人しくエリックの屋敷にて帰りを待てばいいのに、我慢できなかったのだろう。
来てたとしても追い返していただろうが。
身支度の整ったレナンと並び、ステラが通された応接室に入る。
「エリック様。どうしてレナン様のところにおいでなのですか? お二人はもう婚約者ではないのですよ」
開口一番そのような事を言われ、レナンは怯み、エリックは睨みつける。
「その事については両侯爵も了承しておりません。不当なものですから」
「ですが、これは陛下がお決めになったこと。それに逆らうなんて」
「仮に婚約者ではなくなったとしても、俺達は恋人です。また新たに婚約するだけです」
婚約者ではないからといって話も出来なくなるわけではない。
エリックはレナンと離れるのを拒み、ステラの向かいに二人並んで座る。
「そもそも俺はあなたと婚約を結ぶ気はありませんよ」
「何故ですか。私たちはお似合いです。公私ともに良きパートナーとなり、良い家庭も築けるはずです」
ステラは頬を紅潮させながら訴える。
「ご冗談を。俺はレナンを愛しておりますから」
何を言われようと彼女の隣を離れない。
「レナン様はどうでしょう。私とエリック様は共に城勤めをする身、それに宰相候補と筆頭公爵家の長女、似合いだと思いませんか?」
「その、えっと」
字面だけ追えばそうかもしれない。
「そこに大事なものが含まれていないのですから、レナンには答えられませんよ」
震えるレナンの手を握り、エリックは代わりに言葉を発する。
「大事なもの?」
「えぇ。あなたと俺の間には愛がない」
エリックは堂々と告げる。
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