5 / 12
ゲーム、始めるのです
しおりを挟む
「ゲームは簡単。隠れんぼをします」
テラスに移動をし、マオは説明をする。
「明日の九時からスタートし、二十四時間以内に僕を見つけられたらリオン様の勝ちなのです。見つけられなければ負けです」
口調も戻していた。
「見つけるだけなら優しいルールだね」
捕まえるでなければまだ分はありそうだ。
「それでも諜報活動が主な君を見つけるのは難しそうだ。ひと目でも見ればいいのかな。範囲はどの辺りまでとか細かいルールはあるかい?」
「この国の中ならどこでも。魔法も誰かに聞くのもOKです。ただし、ニコラ兄さんに聞くのだけはダメなのです。それ以外は大丈夫です」
「今君を捕まえてしまうのは?」
「始まってないから無効です」
それを聞き、リオンはマオを抱きしめた。
「無効と言ったですよ」
「無効だからした。ルール違反にはならなそうだったし、もしかしたら僕は君を見つけられないかもしれないから」
その手は震えている。
「一応聞くけど、君は僕が嫌いでこんなゲームをするわけではないよね?」
嫌いならばもう潔く身を引くから教えてほしいと呟かれる。
「嫌いではないです。僕がリオン様に相応しくないと思ってのことです。あとこのゲームは昔エリック様が兄に仕掛けた物です。あの時賭けられたのは僕の命でした」
「あぁそういうのがあったと聞いた事はあるね」
エリックが隠したマオをニコラが見つければ勝ち。
見つけられなければ……。
「兄さんは負けたです。なので約束の通り僕と兄さんは王家に忠誠を誓ったのです。結婚というものはそれくらい重いですよね」
リオン相手に契約結婚など出来ない、血筋的にも溺愛傾向が強いのだから。
「僕としては見つけてほしいですが、手は抜きません」
マオは本気が知りたい。
そしてリオンがどれだけの実力をつけてきたか、確認したいのだ。
「わかった、全力で頑張るよ」
「よろしくお願いします」
翌朝、朝食を食べたエリックとレナンとニコラは執務室に集まっていた。
エリックは執務をしながら、レナンもお手伝いをしつつ通信石の前で待っている。
「好きなら逃げなければいいのに」
「女心ですよ、エリック様」
報告を受けた後からエリックは苦虫を潰したような顔になっていた。
それをレナンが宥めている。
「かなりお膳立てもしたし、クロスが他国へ行くのも見逃した。それなのにマオも他国に行くと? あそこの領地取り潰しにするかな」
「まぁまぁ落ち着いて下さい。ここはリオン様が頑張らなければ行けないところですわ。マオも自分だけを愛する人がいるということにまだ戸惑っているのですよ」
幼少期にニコラ以外からの愛情を受けなかったマオは、今受けているリオンからの愛情を信じきれないのだ。
「家族とも友情とも違う、自分だけに向けられる愛情って得難いものですから。マオはそれが本当なのかまだ信じきれていないのです。子どもが親にする試し行動に似てますわね」
わざと反対の事を言って愛情を確かめるのだ。
「リオン様を見守ってあげましょうね。ニコラも頑張って我慢して頂戴」
「マオ、僕はお前が幸せになれると思って、リオン様なら、絶対に相応しいって思ったのに!」
ニコラは滝のような涙を流して、床を濡らしていた。
今回マオの出したゲームへの不参加を言われたため王宮に待機している。
ニコラだけは、何を見ても知っても言ってはいけないとされている。
「リオン様なら聡明で見た目も良く、エリック様ほどずる賢くないのに」
「おっ、軽く俺を馬鹿にしたな」
ニコラの文句にエリックは反応した。
「褒め言葉としては光栄だがな。少し余裕がありそうだ、今度北のナ=バークへ偵察へ行って来い。半年くらいで良いぞ」
「嫌ですよ、あそこ寒いですもん。二ヶ月にしてください」
泣きながら抗議するが、けして断らない。
「それで許してやろう」
「ですが、マオの婚約式には出席させてくださいますよね」
「わかってる。婚約式の準備も少し早くするよう父と母にも伝えてきてくれ」
ドレスや宝飾品などは王妃であるエリックの母が既に準備を始めているのだ。
国王である父も祝辞の言葉選びや来賓のリスト作りに、うきうきしている。
「もしも、もしもですが見つからなければ……」
レナンが心配そうにエリックを見つめる。
「準備の為に使用した金は、第三王子の婚約式の為のものじゃなくなるから、あれらの費用は国庫じゃなく父と母の自腹となるな」
そうではなくて、と珍しくレナンが語気を強める。
「リオン様とマオの事ですよ」
「見つからなければリオンが死ぬだけだ」
さらりと言った言葉にレナンは驚いた。
「おかしいことはあるまい?俺はレナンを、ティタンはミューズを手に入れるため努力した。手に入れられなければ心が死んでいた、それだけ本気だ。その相手に拒絶されたら生きてなどいけない」
厄介な男ですまないなと、エリックも自身に対して呆れた口調だ。
「俺たちの血筋はそんな阿呆の集まりだ。その性質で国が滅びかけたこともあるらしい、たまたま運良く存続してるがな。リオンも大人しそうに見えてその血筋の男だ、死ぬ気で頑張るはずだ」
通信石が光りだす。
話をしているうちに始まりの時間が来たようだ。
「おはようございます、エリック兄様。レナン義姉様」
「おはようリオン、話はわかっている。マオの居場所だろ。見当だけだが良いか?」
エリックはリオンからルールを聞いていたから、こう動くだろうというのはわかっていた。
「ありがとうございます、助かります」
エリックとの会話は早い。
思考が似てるから、余計な会話はない。
人に聞くのはいいと言われたため、まずは親しい人間から大体の場所を聞いてみる。
リオンは帰ってきたばかりで、今のマオを知らない。
だから最初にエリックから聞こうと思ったのだ。
「黒髪黒目のマオがいそうな所は貧民街か、港町だ。異国の者が多い。フード等で隠れたとしても人の多い場所、そして周囲に見慣れぬ者がいても目立たない場所だからだ。移動することを考慮して二時間後くらいに連絡を貰えれば助かる。俺とレナンもたまたま街に行く用事があるからな、いつでも対応しよう」
「……助かります」
「ニコラは探してはいけないと言われてるからな。ここで留守番だ」
後ろでニコラが悲鳴を上げるが気にしない。
「次はティタンだろ。簡潔に話すんだぞ」
「はい!」
通信が途切れた後、大量の書類とニコラを置いて出かける準備をしようとした。
「目隠ししますんで、耳も塞いでおりますから、連れてってください」
「好きにしろ」
エリックは意にも介さぬ声音でニコラの泣き言に応じた。
忙しいので本当は構いたくないけど、兄として心配する気持ちくらいは推し量ってあげる。
テラスに移動をし、マオは説明をする。
「明日の九時からスタートし、二十四時間以内に僕を見つけられたらリオン様の勝ちなのです。見つけられなければ負けです」
口調も戻していた。
「見つけるだけなら優しいルールだね」
捕まえるでなければまだ分はありそうだ。
「それでも諜報活動が主な君を見つけるのは難しそうだ。ひと目でも見ればいいのかな。範囲はどの辺りまでとか細かいルールはあるかい?」
「この国の中ならどこでも。魔法も誰かに聞くのもOKです。ただし、ニコラ兄さんに聞くのだけはダメなのです。それ以外は大丈夫です」
「今君を捕まえてしまうのは?」
「始まってないから無効です」
それを聞き、リオンはマオを抱きしめた。
「無効と言ったですよ」
「無効だからした。ルール違反にはならなそうだったし、もしかしたら僕は君を見つけられないかもしれないから」
その手は震えている。
「一応聞くけど、君は僕が嫌いでこんなゲームをするわけではないよね?」
嫌いならばもう潔く身を引くから教えてほしいと呟かれる。
「嫌いではないです。僕がリオン様に相応しくないと思ってのことです。あとこのゲームは昔エリック様が兄に仕掛けた物です。あの時賭けられたのは僕の命でした」
「あぁそういうのがあったと聞いた事はあるね」
エリックが隠したマオをニコラが見つければ勝ち。
見つけられなければ……。
「兄さんは負けたです。なので約束の通り僕と兄さんは王家に忠誠を誓ったのです。結婚というものはそれくらい重いですよね」
リオン相手に契約結婚など出来ない、血筋的にも溺愛傾向が強いのだから。
「僕としては見つけてほしいですが、手は抜きません」
マオは本気が知りたい。
そしてリオンがどれだけの実力をつけてきたか、確認したいのだ。
「わかった、全力で頑張るよ」
「よろしくお願いします」
翌朝、朝食を食べたエリックとレナンとニコラは執務室に集まっていた。
エリックは執務をしながら、レナンもお手伝いをしつつ通信石の前で待っている。
「好きなら逃げなければいいのに」
「女心ですよ、エリック様」
報告を受けた後からエリックは苦虫を潰したような顔になっていた。
それをレナンが宥めている。
「かなりお膳立てもしたし、クロスが他国へ行くのも見逃した。それなのにマオも他国に行くと? あそこの領地取り潰しにするかな」
「まぁまぁ落ち着いて下さい。ここはリオン様が頑張らなければ行けないところですわ。マオも自分だけを愛する人がいるということにまだ戸惑っているのですよ」
幼少期にニコラ以外からの愛情を受けなかったマオは、今受けているリオンからの愛情を信じきれないのだ。
「家族とも友情とも違う、自分だけに向けられる愛情って得難いものですから。マオはそれが本当なのかまだ信じきれていないのです。子どもが親にする試し行動に似てますわね」
わざと反対の事を言って愛情を確かめるのだ。
「リオン様を見守ってあげましょうね。ニコラも頑張って我慢して頂戴」
「マオ、僕はお前が幸せになれると思って、リオン様なら、絶対に相応しいって思ったのに!」
ニコラは滝のような涙を流して、床を濡らしていた。
今回マオの出したゲームへの不参加を言われたため王宮に待機している。
ニコラだけは、何を見ても知っても言ってはいけないとされている。
「リオン様なら聡明で見た目も良く、エリック様ほどずる賢くないのに」
「おっ、軽く俺を馬鹿にしたな」
ニコラの文句にエリックは反応した。
「褒め言葉としては光栄だがな。少し余裕がありそうだ、今度北のナ=バークへ偵察へ行って来い。半年くらいで良いぞ」
「嫌ですよ、あそこ寒いですもん。二ヶ月にしてください」
泣きながら抗議するが、けして断らない。
「それで許してやろう」
「ですが、マオの婚約式には出席させてくださいますよね」
「わかってる。婚約式の準備も少し早くするよう父と母にも伝えてきてくれ」
ドレスや宝飾品などは王妃であるエリックの母が既に準備を始めているのだ。
国王である父も祝辞の言葉選びや来賓のリスト作りに、うきうきしている。
「もしも、もしもですが見つからなければ……」
レナンが心配そうにエリックを見つめる。
「準備の為に使用した金は、第三王子の婚約式の為のものじゃなくなるから、あれらの費用は国庫じゃなく父と母の自腹となるな」
そうではなくて、と珍しくレナンが語気を強める。
「リオン様とマオの事ですよ」
「見つからなければリオンが死ぬだけだ」
さらりと言った言葉にレナンは驚いた。
「おかしいことはあるまい?俺はレナンを、ティタンはミューズを手に入れるため努力した。手に入れられなければ心が死んでいた、それだけ本気だ。その相手に拒絶されたら生きてなどいけない」
厄介な男ですまないなと、エリックも自身に対して呆れた口調だ。
「俺たちの血筋はそんな阿呆の集まりだ。その性質で国が滅びかけたこともあるらしい、たまたま運良く存続してるがな。リオンも大人しそうに見えてその血筋の男だ、死ぬ気で頑張るはずだ」
通信石が光りだす。
話をしているうちに始まりの時間が来たようだ。
「おはようございます、エリック兄様。レナン義姉様」
「おはようリオン、話はわかっている。マオの居場所だろ。見当だけだが良いか?」
エリックはリオンからルールを聞いていたから、こう動くだろうというのはわかっていた。
「ありがとうございます、助かります」
エリックとの会話は早い。
思考が似てるから、余計な会話はない。
人に聞くのはいいと言われたため、まずは親しい人間から大体の場所を聞いてみる。
リオンは帰ってきたばかりで、今のマオを知らない。
だから最初にエリックから聞こうと思ったのだ。
「黒髪黒目のマオがいそうな所は貧民街か、港町だ。異国の者が多い。フード等で隠れたとしても人の多い場所、そして周囲に見慣れぬ者がいても目立たない場所だからだ。移動することを考慮して二時間後くらいに連絡を貰えれば助かる。俺とレナンもたまたま街に行く用事があるからな、いつでも対応しよう」
「……助かります」
「ニコラは探してはいけないと言われてるからな。ここで留守番だ」
後ろでニコラが悲鳴を上げるが気にしない。
「次はティタンだろ。簡潔に話すんだぞ」
「はい!」
通信が途切れた後、大量の書類とニコラを置いて出かける準備をしようとした。
「目隠ししますんで、耳も塞いでおりますから、連れてってください」
「好きにしろ」
エリックは意にも介さぬ声音でニコラの泣き言に応じた。
忙しいので本当は構いたくないけど、兄として心配する気持ちくらいは推し量ってあげる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
偽りの愛の終焉〜サレ妻アイナの冷徹な断罪〜
紅葉山参
恋愛
貧しいけれど、愛と笑顔に満ちた生活。それが、私(アイナ)が夫と築き上げた全てだと思っていた。築40年のボロアパートの一室。安いスーパーの食材。それでも、あの人の「愛してる」の言葉一つで、アイナは満たされていた。
しかし、些細な変化が、穏やかな日々にヒビを入れる。
私の配偶者の帰宅時間が遅くなった。仕事のメールだと誤魔化す、頻繁に確認されるスマートフォン。その違和感の正体が、アイナのすぐそばにいた。
近所に住むシンママのユリエ。彼女の愛らしい笑顔の裏に、私の全てを奪う魔女の顔が隠されていた。夫とユリエの、不貞の証拠を握ったアイナの心は、凍てつく怒りに支配される。
泣き崩れるだけの弱々しい妻は、もういない。
私は、彼と彼女が築いた「偽りの愛」を、社会的な地獄へと突き落とす、冷徹な復讐を誓う。一歩ずつ、緻密に、二人からすべてを奪い尽くす、断罪の物語。
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる