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3.体験入学へ
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あの体験入学の日以来、グレイが視界に入ることが増えた気がする。何となく気配を感じて振り返ると、彼は慌てて隠れて…の繰り返しである。彼は真面目に働いているのに、隠れんぼや「だるまさんがころんだ」で遊んでいるように見えてしまって困る。別にもう私知ってるし、そこまで隠れなくてもいいんじゃ?
そう、体験入学と言えばだ。あのグレイを怒らせた少年は、攻略対象の一人だったことが分かった。結局、お互い名乗らなかったのだが、その話を兄にしていたら、あっさり判明した。その時のことを思い返す。
「それって多分、ブラウン家の子だよ。騎士団長の息子さんで、名前は…何だったかな」
騎士団長の、息子…。この流れ、確実に私を追い詰めるやつだ。ここまで来といて別人のはずがない。この世界で騎士団長の息子と言われるのは、間違いなく攻略対象者の彼だろう。
私の確信は、数秒後に兄によって証明された。思い出したと言いながら、兄はその名を口にする。
「ジャック、ジャック・ブラウンだよ」
驚きなどしない。ある意味、必然であろう。私が悪役の設定であり、ヒロインの恋する相手を奪おうとするなら、関わりがないわけがない。
奪う、ねぇ。そんなつもり微塵もないんだけどなぁ…。
『新たな男の登場じゃの』
セパル…その言い方、何か嫌だ。
そうして、例の少年の正体は、随分と簡単に知ることが出来た。攻略対象者達と知り合って、着々と物語の下地が出来上がってきているようで恐ろしい。
私、学園生活を無事に切り抜けられるだろうか…。
セパルは予想を遥かに上回るレベルで私に協力的なので、そこは非常に助かる。ただ、悪魔の気分次第で行動を起こさないかと言われると、否定できない。今でこそほぼゼロ距離の生活を送っているが、いつか「飽きた」と言われるかもしれない。そうなった場合を考えると、セパルに依存し過ぎてはならない。
セパル以外にも、協力者を見つけられれば良いのだが、中々難しいだろう。グレイはセパルのことを知っている点では、他の人よりも私の秘密に近い。しかし普通の人間が、転生した話を信じるか?
グレイが首を傾げる様子が頭をよぎる。多分そんな風な反応が返ってくるだろう。
私が今後の学園生活について考えを巡らせていると、どこか聞き覚えのある音が聞こえてきた。
この、ノイズ音は…!
それが意味するものに思い至り、私は急いで通信機を手に取った。通信機からはノイズの他にも音が混じっていて、次第にはっきりとした声が聞こえてくる。
「あー…、…、ほんと…聞こえ…かァ?」
久し振りに友人の声を聞いた。先程まで悩んでいたのが嘘のように、私は目を輝かせた。ようやく、我が発明品を使用したか友よ!
「聞こえているから安心して頂戴。御機嫌よう、シエル。ティーヌよ」
「…おー、久し……。すげ…!ちょ……ノイズもすげぇけど…」
一言多い…だがそれはまぁ、私もこの間思った。しかし、どうも現時点ではこれが精一杯のようなのだ。忘れてはいけないが、私は学園にも入学していない子供である。まだ、力が足りないということだ。
その後、シエルと最近の事を報告し合った。シエルは色々なところをブラブラしているらしい。…家のことを手伝わなくていいのか?少なくとも、彼が長男でないことは分かる。気楽な次男三男といったところか。
そして、話の最後にシエルはこう告げた。
「じゃ、またな」
それは、以前下町で交わした別れと同じだったので、私も何も疑わずに答えていたが、その意味はすぐに私の理解するところとなる。
そう、体験入学と言えばだ。あのグレイを怒らせた少年は、攻略対象の一人だったことが分かった。結局、お互い名乗らなかったのだが、その話を兄にしていたら、あっさり判明した。その時のことを思い返す。
「それって多分、ブラウン家の子だよ。騎士団長の息子さんで、名前は…何だったかな」
騎士団長の、息子…。この流れ、確実に私を追い詰めるやつだ。ここまで来といて別人のはずがない。この世界で騎士団長の息子と言われるのは、間違いなく攻略対象者の彼だろう。
私の確信は、数秒後に兄によって証明された。思い出したと言いながら、兄はその名を口にする。
「ジャック、ジャック・ブラウンだよ」
驚きなどしない。ある意味、必然であろう。私が悪役の設定であり、ヒロインの恋する相手を奪おうとするなら、関わりがないわけがない。
奪う、ねぇ。そんなつもり微塵もないんだけどなぁ…。
『新たな男の登場じゃの』
セパル…その言い方、何か嫌だ。
そうして、例の少年の正体は、随分と簡単に知ることが出来た。攻略対象者達と知り合って、着々と物語の下地が出来上がってきているようで恐ろしい。
私、学園生活を無事に切り抜けられるだろうか…。
セパルは予想を遥かに上回るレベルで私に協力的なので、そこは非常に助かる。ただ、悪魔の気分次第で行動を起こさないかと言われると、否定できない。今でこそほぼゼロ距離の生活を送っているが、いつか「飽きた」と言われるかもしれない。そうなった場合を考えると、セパルに依存し過ぎてはならない。
セパル以外にも、協力者を見つけられれば良いのだが、中々難しいだろう。グレイはセパルのことを知っている点では、他の人よりも私の秘密に近い。しかし普通の人間が、転生した話を信じるか?
グレイが首を傾げる様子が頭をよぎる。多分そんな風な反応が返ってくるだろう。
私が今後の学園生活について考えを巡らせていると、どこか聞き覚えのある音が聞こえてきた。
この、ノイズ音は…!
それが意味するものに思い至り、私は急いで通信機を手に取った。通信機からはノイズの他にも音が混じっていて、次第にはっきりとした声が聞こえてくる。
「あー…、…、ほんと…聞こえ…かァ?」
久し振りに友人の声を聞いた。先程まで悩んでいたのが嘘のように、私は目を輝かせた。ようやく、我が発明品を使用したか友よ!
「聞こえているから安心して頂戴。御機嫌よう、シエル。ティーヌよ」
「…おー、久し……。すげ…!ちょ……ノイズもすげぇけど…」
一言多い…だがそれはまぁ、私もこの間思った。しかし、どうも現時点ではこれが精一杯のようなのだ。忘れてはいけないが、私は学園にも入学していない子供である。まだ、力が足りないということだ。
その後、シエルと最近の事を報告し合った。シエルは色々なところをブラブラしているらしい。…家のことを手伝わなくていいのか?少なくとも、彼が長男でないことは分かる。気楽な次男三男といったところか。
そして、話の最後にシエルはこう告げた。
「じゃ、またな」
それは、以前下町で交わした別れと同じだったので、私も何も疑わずに答えていたが、その意味はすぐに私の理解するところとなる。
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