絶対零度の悪役令嬢

コトイアオイ

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4.魔法学園入学

ぼっち疑惑

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 春に入学して、もう早いもので三ヶ月が経った。授業にも慣れ、広過ぎる校舎に迷うこともなくなった。


変わらないものと言えば、私に同じクラスで親しい友人が一人もできないことくらいだ。私ぼっちだよ、異世界でぼっちの辛さを味わうことになろうとは。別に人を避けているわけではないのに。


 シエルは三組だから別のクラスだし、このまま友情を育んでいてもいいのか、少し疑問もある。


 考えた末に思い切って聞いてみることにした。この間のクラス合同の授業の際、一組に在籍するフレッドに会ったのでそれとなく尋ねてみた。すると、フレッドはノートに落書きしながらこう答えた。


「あ~、クリスティーヌは高嶺の花だ!って男子は言ってるな。まぁ、嫌われてはいないし大丈夫じゃね?」


「高嶺の花?」


「あとは…お前の言い方キツイ時あるからな~、小心者は近寄れねぇんだろ多分。あ、俺は強気な子タイプだから安心していいぞ?むしろ大歓迎」



フレッドにしては真面目な答えが返ってきた。最後の言葉は無視だ、無視。

言いながら、フレッドがダレンに「な?」と同意を求める。ダレンは確かに…と言いかけて、ハッと口を閉じる。そして、私の方をちらりと見て謝って来た。


「殿下、気にしないで下さいませ。フレッドが言ったことは珍しく的を射ていますし」


そう、フレッドは基本的に冗談を言って、話を濁すことが多い。前も、さりげなくダレンの好きなタイプに探りを入れようとしたが、のらりくらりと交わされてしまった。挙句の果てには、「王子止めて俺にしない?こう見えて俺、お買い得だぞ~」とふざけていた。いつか、背後から女性に刺されそうな奴である。


そして、自分のキツイ言い方といえば、まさしくダレンこそ最初の被害者だ。


 そういうわけで、私には未だ同じクラスに友人という友人がいない。ダレンとフレッドは入学前から知っていたのでたまに話すが、あくまでも必要な時だけだ。向こうに話しかけられない限りは、なるべく距離を取っている。


『友人などおらぬ方が動き易かろうに』


まぁね、悪魔憑きだしね私。ずっと一緒に行動するような友人がいたら、セパルのことがバレそうで怖い。


そう開き直って、私は友人を作ることを放棄した。

 ところが、学校というものは友達を作らせようとあの手この手でイベントを持ってくる。


今日の帰りのホームルームで、二週間後に「ウォークラリーIN王都」の告知がなされた。


出欠は自由のようだが、これは成績にも加算されるらしい。何故だ、地理を学ぶ勉強か?それとも王都の文化を学ぶ勉強?どちらにしても、ウォークラリーとなると、貴族の令嬢はあまり参加しないのでは…。


延々と歩く?冗談じゃないですわよ!という声が聞こえる気がする。


これ、私どうしようかな。でも、成績のためと言われたら、休めない私の石頭よ…。


迷って数秒で私は腹を決めたのだった。
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