絶対零度の悪役令嬢

コトイアオイ

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7.夏休み

局地的な雨

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 夏休みに入り、私は自宅に帰省している。そして帰省してからは、家でゆっくりと趣味に没頭している。新しい魔法道具の計画を練り、検証実験を行っていたのだ。兄も私が帰省して数日経った頃、家へ帰ってきた。これで家族が全員揃ったわけである。父は多忙で家にいないことも多いけれど。


公爵邸での平和な日常に、私も気が抜けていたのだろう。以前、セパルが言っていたことをすっかり忘れていた。


そして、ある穏やかな昼下がりのこと、天気はからりと晴れており、雨が降るなど誰も思わないような快晴である。



部屋の中で片付けをしていた私は、そこで信じられないものを目にする。



窓から見えるのは、魚、魚、魚、魚。



慌てて窓に駆け寄り、空を見上げた。しかし、見間違いではなく魚が水と共に空から降ってくる。


降ってきた魚は庭で、ビッチビチと勢い良く跳ねている。見ているだけで生臭さを感じる。


視線を再び上に向ける。この怪現象は何だと思って空を見上げていると、不思議なことが一つ。


…魚が降ってるの、うちの上だけなんですけど。



このようなことをしでかすのは、一人しかいない。今は部屋にいない悪魔の姿を探すべく、私は部屋を出た。





 難航するかに思われたが、 犯人の姿は意外にもすぐに見つかった。というのも、彼女は庭先で魚をつついていたのだ。人間の姿を模して、足のある状態ではあるが、知らない人間が魚をつついていたら皆が驚き不審に思うだろう。


なので、何よりもまず、セパルに早く姿を隠してもらう。セパルはうるさそうに顔を顰めたが、私がじっとりした目で訴えると、渋々姿を消す。


『なんじゃ、騒々しい。少しは気を抜かんか』


これを見て、気を抜けるか?否、身体中の血の気が引くわ。


『あー、すみませんね。私としては、さっきまで気を抜いていたつもりなんですが。…この魚、何ですか?』


私は棒読みで謝りつつ、事態の把握に努める。一体何をどうしたら、空から魚が降ってくるんだ。


私の疑問に、セパルは少し決まり悪そうに呟く。


『いや、その…な?妾、前に友に相談すると言うたじゃろ?やつを喚ぼうとしたら、間違ってしもうて』


つまりは、間違った道を開いてしまって、眷属(魚)が大漁…と。



「なにやってるんですか…。やっちゃったことはもういいので、早く回収して下さい!」



既に目撃している者の方が多いのだろう。邸内が騒がしい。とんでもないことをしてくれた、この悪魔。


『すまんすまん、返す道は今開いたから心配するな。じき、収まるから大丈夫じゃろ』


 新たに開いた魔界へ通じる渦へ、セパルは魔力を使い、まとめて魚を放り込んでゆく。確かに、このスピードならすぐに収まるだろう。しかし、目撃者がいるのだ。セパルの脳天気な謝罪を聞きつつ、私は皆への言い訳を必死に考えていたーー。


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