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2.北の街
北の街、ルビア
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あの後、シェリマの部屋の光に気付いた護衛が駆けつけたものの、そこは既にもぬけの殻だった。聖女がいないという緊急事態に、夜の白い塔は騒然となった。
その頃、シェリマは北の街ルビアを目指して、天使と旅をしていた。夜の間に距離を稼いだのだが、何せ私は人間なので寝ないとやっていられない。そのため、途中で野宿をして身体を休めた後、昼頃になってまた動き出した次第である。
ルビアまであと少しといったところで、また天使が話しかけてきた。天使はもう何度目かと思うくらい同じ質問をしてきた。
「本当に家族には何も言わなくて良かったの?それに、せっかくの綺麗な髪が…」
家族に別れを言えなかったのは寂しい。だけど、家族に会いに行ったら、逆に迷惑になりかねない。私の行方を追うとしたら、私の家族の元へも帝国の兵士は足を向けるだろう。だから、今はこれでいいのだ。
そして、天使が言ったもう一つのこと、それは今の私の格好にある。
実は塔のある首都において、私が農民時代から貯めていたなけなしのお金を使い、服や必要品を購入しておいた。これは全て天使に頼んで買って来てもらった。そういうわけで、私はそこらへんにいる少年のような服装に身を包んでいるわけだ。
しかし、何よりも変わったのは私の髪で、腰元まであった赤毛は肩口でざんばらに切られていた。別にだれかにやられたわけでもなく、自分の意思だ。これくらいしないと、追手にすぐ見つかってしまう。
力を使うのも、直接ではなく薬師として振る舞い、その薬に治癒魔法をかけておくつもり。
だから、私は何の後悔もしていない。それなのに、天使はやたらと気にしている。少し水を汲みに行った間に、私が小刀で髪をバッサリ切っていたことにひどく驚き、嘆いていた。
「もう、少しくらい変装しないとばれちゃうでしょ!それに、髪は切ったって伸びるわよ」
「まぁ、君が女の子ってことは、僕だけが知っていれば充分だよね。変な虫もつかないし」
「え?」
そうやって問答をくりかえしているうちに、目的地に到着した。
ルビアは、昼だというのにまるで人気が感じられない。街の案内板は強い衝撃を受けたのか、あらぬ方向に曲がったままで、街は荒廃した雰囲気に包まれていた。
ポツリポツリと家が建っているが、その中に果たして人はいるのだろうか。
塔の中で盗み聞きした話によれば、ここは戦火に巻き込まれ怪我をした住民が多数、畑を焼かれて飢餓状況にあると言う。しかし、帝国はそんなルビアに救いの手を差し伸べなかった。ここは隣国との境界の街で、たった1回救ったところで無駄だと考えられていたからだ。
その話を聞いた時は怒りで頭がいっぱいだった。しかし、何よりも悔しいのはそれを聞くだけしかできないこと。
でも、今の私は違う。自分の足で歩ける。それに、自分の力を平等に扱うことができる。
私は気合を入れて、一軒目のドアに声をかけた。
その頃、シェリマは北の街ルビアを目指して、天使と旅をしていた。夜の間に距離を稼いだのだが、何せ私は人間なので寝ないとやっていられない。そのため、途中で野宿をして身体を休めた後、昼頃になってまた動き出した次第である。
ルビアまであと少しといったところで、また天使が話しかけてきた。天使はもう何度目かと思うくらい同じ質問をしてきた。
「本当に家族には何も言わなくて良かったの?それに、せっかくの綺麗な髪が…」
家族に別れを言えなかったのは寂しい。だけど、家族に会いに行ったら、逆に迷惑になりかねない。私の行方を追うとしたら、私の家族の元へも帝国の兵士は足を向けるだろう。だから、今はこれでいいのだ。
そして、天使が言ったもう一つのこと、それは今の私の格好にある。
実は塔のある首都において、私が農民時代から貯めていたなけなしのお金を使い、服や必要品を購入しておいた。これは全て天使に頼んで買って来てもらった。そういうわけで、私はそこらへんにいる少年のような服装に身を包んでいるわけだ。
しかし、何よりも変わったのは私の髪で、腰元まであった赤毛は肩口でざんばらに切られていた。別にだれかにやられたわけでもなく、自分の意思だ。これくらいしないと、追手にすぐ見つかってしまう。
力を使うのも、直接ではなく薬師として振る舞い、その薬に治癒魔法をかけておくつもり。
だから、私は何の後悔もしていない。それなのに、天使はやたらと気にしている。少し水を汲みに行った間に、私が小刀で髪をバッサリ切っていたことにひどく驚き、嘆いていた。
「もう、少しくらい変装しないとばれちゃうでしょ!それに、髪は切ったって伸びるわよ」
「まぁ、君が女の子ってことは、僕だけが知っていれば充分だよね。変な虫もつかないし」
「え?」
そうやって問答をくりかえしているうちに、目的地に到着した。
ルビアは、昼だというのにまるで人気が感じられない。街の案内板は強い衝撃を受けたのか、あらぬ方向に曲がったままで、街は荒廃した雰囲気に包まれていた。
ポツリポツリと家が建っているが、その中に果たして人はいるのだろうか。
塔の中で盗み聞きした話によれば、ここは戦火に巻き込まれ怪我をした住民が多数、畑を焼かれて飢餓状況にあると言う。しかし、帝国はそんなルビアに救いの手を差し伸べなかった。ここは隣国との境界の街で、たった1回救ったところで無駄だと考えられていたからだ。
その話を聞いた時は怒りで頭がいっぱいだった。しかし、何よりも悔しいのはそれを聞くだけしかできないこと。
でも、今の私は違う。自分の足で歩ける。それに、自分の力を平等に扱うことができる。
私は気合を入れて、一軒目のドアに声をかけた。
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