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3.東の村
神の御使い
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少年に連れて行かれたのは、村で1番大きな家だった。村に入るとお香のような甘い香りが漂っている。虫除けの薬だろうか?ルビアで聞いた通り、この村では近くの森の獣や周辺をうろつく狼に、多くの人々が困っているという。
少年は家のドアを静かに開けた。その中では、10人くらいの人々が所狭しと身体を横たえていた。そして、その間を一人の老婆が慌ただしそうに動き回っている。薬をすり潰したり、患者に薬湯を飲ませたりしているところからして、どうやら彼女がこの村の薬師のようだ。
「ばばぁー、こいつら薬師らしいぜ!」
少年が老婆に声をかけるが、耳が遠いのか老婆は私達の存在に全く気が付かない。そこで、少年はさらに声を張り上げる。
「おいこらばばぁー、薬師だゴルァァァァ!」
患者がいるのに大声出すなよ!と言いたいが、耳も遠く忙しなく動く老婆にはこれくらいでないと伝わらないらしい。彼の声の大きさはこの老婆と話していたことによる癖だろう。
ようやく、老婆がこちらを振り返り、私達の姿を目に入れる。
「ロム…あんた、神様でも連れてきたのかい?えらくキラキラしてるじゃないか」
はい、分かります分かります。私のお隣の天使様のことですね?私ではないことは、よーく分かりますよ。
老婆に凝視されたリヒトは、居心地悪そうに微笑む。そんな顔でさえ麗しい。リヒトを神様だと判断した老婆は、手を組みながら涙を流し始めた。老婆の言葉を少年も信じたようで、尊敬と好奇心の目で私達を見つめる。
「そっか、兄ちゃん神様だったんだな…。なら、横のカカシみたいなのは神様の下っ端か」
誤解がどんどんエスカレートしていく。そして、相変わらず私への評価が酷い。カカシか。太っていると言われるのも嫌だけど…複雑だ。
老婆と少年の誤解に、私達二人は引きつった笑いを浮かべた。訂正するのも難しそうだ。
しかし、いつまでも入口で問答するわけにもいかない。私は老婆に向かって、横たわる人々の容態を尋ねた。
「私達は薬師です。彼らの容態を聞いても?」
「あぁ、神様なのに薬師だと偽っているんだね。良い神様だ…。こいつらは全部狼にやられたんだよ」
変に誤解されているが、そこはもう気にしない。
老婆が続けた説明によると、彼らは腕や足に裂傷を受けたものがほとんどだという。また、数人は狼に追い立てられて、村の裏の崖口から落下し、骨折したらしい。
話を聞いて、私はどのように力を行使すべきか考える。
薬に力を込めるのもいいが、彼らは都合の良いことに、私達を神様だと信じている。それならば、ここは素直に力を使ってもいいかもしれない。
リヒトもそう考えたらしく、私を見てこくりと頷く。
そうと決まれば、後は行動あるのみ。
「神の御使いである私がこの者達の傷を癒しましょう」
それっぽい言葉を言いつつ、胸の前で手を組む。集中して力を込めていくと、私の胸元や手から光が溢れ出した。その光景を老婆と少年は口をあんぐり開けて見つめる。
「我が口を出ずる言の葉の力より、この者らを癒し給え」
やってみて分かったが、私、意外と演技力あるのかもしれない。その証拠にあんなに詐欺師だと決めつけていた少年は私の姿を見て、興奮に顔を赤く染めている。
どうやら、カカシという不名誉な評価は覆されたようで良かった。
そうして、私はこの家にいた怪我人全ての傷を癒した。北の街と違って、1度に大きな力を使ったせいか、身体がふらつく。
ぐらりと傾いた私の身体だが、床に倒れ込むことはなかった。後ろから優しく抱きとめられたからだ。リヒトが耳元で小さく労いの言葉をかける。その声を聞くうちに、私は意識を失った。
少年は家のドアを静かに開けた。その中では、10人くらいの人々が所狭しと身体を横たえていた。そして、その間を一人の老婆が慌ただしそうに動き回っている。薬をすり潰したり、患者に薬湯を飲ませたりしているところからして、どうやら彼女がこの村の薬師のようだ。
「ばばぁー、こいつら薬師らしいぜ!」
少年が老婆に声をかけるが、耳が遠いのか老婆は私達の存在に全く気が付かない。そこで、少年はさらに声を張り上げる。
「おいこらばばぁー、薬師だゴルァァァァ!」
患者がいるのに大声出すなよ!と言いたいが、耳も遠く忙しなく動く老婆にはこれくらいでないと伝わらないらしい。彼の声の大きさはこの老婆と話していたことによる癖だろう。
ようやく、老婆がこちらを振り返り、私達の姿を目に入れる。
「ロム…あんた、神様でも連れてきたのかい?えらくキラキラしてるじゃないか」
はい、分かります分かります。私のお隣の天使様のことですね?私ではないことは、よーく分かりますよ。
老婆に凝視されたリヒトは、居心地悪そうに微笑む。そんな顔でさえ麗しい。リヒトを神様だと判断した老婆は、手を組みながら涙を流し始めた。老婆の言葉を少年も信じたようで、尊敬と好奇心の目で私達を見つめる。
「そっか、兄ちゃん神様だったんだな…。なら、横のカカシみたいなのは神様の下っ端か」
誤解がどんどんエスカレートしていく。そして、相変わらず私への評価が酷い。カカシか。太っていると言われるのも嫌だけど…複雑だ。
老婆と少年の誤解に、私達二人は引きつった笑いを浮かべた。訂正するのも難しそうだ。
しかし、いつまでも入口で問答するわけにもいかない。私は老婆に向かって、横たわる人々の容態を尋ねた。
「私達は薬師です。彼らの容態を聞いても?」
「あぁ、神様なのに薬師だと偽っているんだね。良い神様だ…。こいつらは全部狼にやられたんだよ」
変に誤解されているが、そこはもう気にしない。
老婆が続けた説明によると、彼らは腕や足に裂傷を受けたものがほとんどだという。また、数人は狼に追い立てられて、村の裏の崖口から落下し、骨折したらしい。
話を聞いて、私はどのように力を行使すべきか考える。
薬に力を込めるのもいいが、彼らは都合の良いことに、私達を神様だと信じている。それならば、ここは素直に力を使ってもいいかもしれない。
リヒトもそう考えたらしく、私を見てこくりと頷く。
そうと決まれば、後は行動あるのみ。
「神の御使いである私がこの者達の傷を癒しましょう」
それっぽい言葉を言いつつ、胸の前で手を組む。集中して力を込めていくと、私の胸元や手から光が溢れ出した。その光景を老婆と少年は口をあんぐり開けて見つめる。
「我が口を出ずる言の葉の力より、この者らを癒し給え」
やってみて分かったが、私、意外と演技力あるのかもしれない。その証拠にあんなに詐欺師だと決めつけていた少年は私の姿を見て、興奮に顔を赤く染めている。
どうやら、カカシという不名誉な評価は覆されたようで良かった。
そうして、私はこの家にいた怪我人全ての傷を癒した。北の街と違って、1度に大きな力を使ったせいか、身体がふらつく。
ぐらりと傾いた私の身体だが、床に倒れ込むことはなかった。後ろから優しく抱きとめられたからだ。リヒトが耳元で小さく労いの言葉をかける。その声を聞くうちに、私は意識を失った。
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