男装聖女と暴走天使

コトイアオイ

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3.東の村

お礼

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 東の村が落ち着き、お礼に私のざんばらだった髪の毛を綺麗に切り揃えてもらった。


私の髪を誰が切ったかというと、驚くことなかれ。あの生意気な少年だ。いつも大声で怒鳴る姿からは全く予想出来ず、髪の毛を触られている時は心臓が落ち着かなかった。


 その時のことを私は遠い目で思い返す。


ーーー



「おめぇ、動くなっつってんだろ!」


「すみませんっ!」


いつばっさりやられるかとビクビクしていたら少年に怒られた。ごもっともである。謝った私に鬼のような目を向けながらも、少年は適当に切られた髪を揃えていく。


「…おめぇ、見た目アレだけど、すげぇんだな」


「えっ?」


「1度しか言わねぇからな!ありがとな、シェリマ」



…幻聴?最初に教えたけど、完全に無視され続けていた私の名前が聞こえた。それに、ありがとうって。髪を切ってもらっていることを忘れて、私はつい後ろに立つ少年の顔を見ようとした。


「だ、だから動くなってば!」


慌てた少年ががしっと私の頭を固定する。


「きゃあ、痛いじゃないの!」


強い力で顔を押さえられて、私は反論した。しかし、その時ごく普通に女言葉で話してしまった。

まずい、ミスった…!私はそう思って顔を青くしていたのだが…。



「何だ、女みてぇな声出してんじゃねぇよ。おめぇ、男だろ。男はもっと鍛えなきゃ嫁もらえねぇぞ」


何故…?ばれていないことに安堵しているはずなのに、この心に燻る想いは何かしら…。私の女としてのプライドが、この村で尽く打ち砕かれている気がしてならない。


嫁なんていらないわよ!私は、嫁に行く側なんだから。


この時、私は決意した。絶対にこの少年より先に結婚して高笑いしてやる、と。


 そして、私をフォローするように、リヒトも口添えした。


「シェリは僕のだから、他はいらないよ?嫁も婿も…そんなのいたら僕が徹底排除するし」



…全然フォローになっていなかった。しかも、何かすっごい怖いことを聞いてしまった。


あれ、私もしかして結婚できない?高笑いする前に相手やられちゃうんじゃ…。



リヒトの発言に、少年は「ま、神様の下僕だし、結婚とかねぇか」と勝手に納得している。  



いや、違うって。どんだけ便利な理由だ、神様の下僕。めんどくさいから深く考えたくないだけだ、絶対。


色々物申したいが、嘘をついているのはこちらなので、我慢する。それに、下手なことを言って少年を驚かせて、私の髪の毛が犠牲になるのも嫌だ。


その後暫く、私は大人しく髪を切ってもらったのだーー。


ーーー


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