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3.東の村
謎の神様の噂
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シェリマ達が東の村クォーツから立ち去った後、その村にある兵士が訪れていた。彼は、元々聖女の住まう白い塔で護衛の任についていた若い兵士だったのだが、この度聖女が行方不明とのことで、捜索隊に加えられた。
本来、聖女の護衛がしっかりしていれば、これほど大事にはならなかったと、上司や王侯貴族は口を揃えて護衛を非難した。それはその通りなので、護衛は何も言えなかった。
聖女の部屋から鮮烈な光が生じ、おかしいと思った兵士が駆けつけた時には、聖女は忽然と姿を消していたのだ。
その兵士が言うには、駆けつけた時、部屋に純白の羽が落ちていたらしい。もしかすると、重要な証拠かと思ったが、上司はゴミをわざわざ持ってくるなと早々に捨ててしまった。
聖女の力は治癒の力であって、空を飛ぶわけではない。部屋の鍵は中から閉められており、窓だけが開けられた状態だった。
ならば、どう考えても誰かが連れ出したに違いないのだが、その羽は決定的な証拠にはなり得なかった。普通の鳥では考えられないような大きさの羽だったので、作り物と思われたのかもしれない。
作り物なら、聖女を連れ去った犯人の私物かとも思われたが、あの塔の最上階に位置する聖女の部屋に外部から侵入することは不可能である。
それならば、内部犯か?けれど、それもまたありえなかった。あの時、護衛達は全員自分達の持ち場におり、不審な行動をしたものはいなかったからだ。そもそも、聖女を誘拐するなどそんな恐ろしいことをする者など誰もいない。
謎に包まれた聖女失踪事件は、今の所一部の者しか知らされていない。聖女が攫われたなど、白の塔の醜聞であり、王族の恥だからだ。
いっそのこと、国中に通達した方が早いと思うのだが、それもまた難しい。聖女の力を利用しようとする悪い輩もいる。だからこそ、手間がかかろうと、こうして事情を知る者だけがひっそりと聖女を探しているのである。
その兵士がクォーツに来たのは偶然だった。兵士は、聖女がどこにいるかも分からないので、捜索がてら家に寄ろうと思っていた。
そして、彼の故郷は東の地域にあり、その通過点にあった村こそ、クォーツだった。
しかし、この村の外れで兵士は思いもよらないものを目にする。
誰もが寝静まった夜に、大きな翼を持った人影が空を飛んでいたのだ。
勿論、その人影はすぐに視界から消えていった。兵士は疲れから来た幻覚かと思い、故郷に行く前にクォーツで一休みすることにした。
けれど、兵士はその村でまた驚くことを耳にした。何と、最近神様がこの村に現れ、村人の怪我をあっという間に治してみせたというのだ。
その「神様」とやらについて詳しく聞くと、神様は銀髪の男神で、「下僕」の少年を連れていたらしい。
治癒の力と聞いて聖女かと思ったが、自分の記憶にある聖女とは性別が一致しない。本当に神様だったのかと思いかけたが、ある少年の発言で思い直すこととなった。
「あいつさ、ほんっと細くて心配になるぜ。赤毛もせっかく綺麗な色してんのにボッサボッサだったしよ。俺が整えてやったんだ」
赤毛という点では、聖女も見事な赤毛だった。
1度疑うと、何もかもがそのように思えてきた。兵士は念の為に、その赤毛の少年の背丈や年頃を聞いてみたが、聖女と同じくらいのようだ。
自分があの時見た翼を持った人影に、治癒の力を持った神様と、赤毛の少年…。
いや、実際に治癒の力を使ったのは赤毛の少年の方だと聞いた。その赤毛の少年が、まず間違いなく聖女だろう。治癒の力はそうそう見られるものではない。ましてや、複数人を1度に治す程の力は、聖女だからこそ出来る御業だ。
先程まで聖女がいたことに、すれ違った悔しさはあるが、あの人影の飛び去った方角を辿っていけば何とかなるかもしれない。少なくとも、今までよりは捜索が容易になるはずだ。
ようやく見えた聖女の足取りに一息つくも、頭をよぎるのは、あの翼を持つ神様とやらである。彼は一体何者だろうか。人間ではないことだけは確かだが、自分達が敵う相手なのだろうか。
別の意味で、兵士はまた不安を覚えた。
本来、聖女の護衛がしっかりしていれば、これほど大事にはならなかったと、上司や王侯貴族は口を揃えて護衛を非難した。それはその通りなので、護衛は何も言えなかった。
聖女の部屋から鮮烈な光が生じ、おかしいと思った兵士が駆けつけた時には、聖女は忽然と姿を消していたのだ。
その兵士が言うには、駆けつけた時、部屋に純白の羽が落ちていたらしい。もしかすると、重要な証拠かと思ったが、上司はゴミをわざわざ持ってくるなと早々に捨ててしまった。
聖女の力は治癒の力であって、空を飛ぶわけではない。部屋の鍵は中から閉められており、窓だけが開けられた状態だった。
ならば、どう考えても誰かが連れ出したに違いないのだが、その羽は決定的な証拠にはなり得なかった。普通の鳥では考えられないような大きさの羽だったので、作り物と思われたのかもしれない。
作り物なら、聖女を連れ去った犯人の私物かとも思われたが、あの塔の最上階に位置する聖女の部屋に外部から侵入することは不可能である。
それならば、内部犯か?けれど、それもまたありえなかった。あの時、護衛達は全員自分達の持ち場におり、不審な行動をしたものはいなかったからだ。そもそも、聖女を誘拐するなどそんな恐ろしいことをする者など誰もいない。
謎に包まれた聖女失踪事件は、今の所一部の者しか知らされていない。聖女が攫われたなど、白の塔の醜聞であり、王族の恥だからだ。
いっそのこと、国中に通達した方が早いと思うのだが、それもまた難しい。聖女の力を利用しようとする悪い輩もいる。だからこそ、手間がかかろうと、こうして事情を知る者だけがひっそりと聖女を探しているのである。
その兵士がクォーツに来たのは偶然だった。兵士は、聖女がどこにいるかも分からないので、捜索がてら家に寄ろうと思っていた。
そして、彼の故郷は東の地域にあり、その通過点にあった村こそ、クォーツだった。
しかし、この村の外れで兵士は思いもよらないものを目にする。
誰もが寝静まった夜に、大きな翼を持った人影が空を飛んでいたのだ。
勿論、その人影はすぐに視界から消えていった。兵士は疲れから来た幻覚かと思い、故郷に行く前にクォーツで一休みすることにした。
けれど、兵士はその村でまた驚くことを耳にした。何と、最近神様がこの村に現れ、村人の怪我をあっという間に治してみせたというのだ。
その「神様」とやらについて詳しく聞くと、神様は銀髪の男神で、「下僕」の少年を連れていたらしい。
治癒の力と聞いて聖女かと思ったが、自分の記憶にある聖女とは性別が一致しない。本当に神様だったのかと思いかけたが、ある少年の発言で思い直すこととなった。
「あいつさ、ほんっと細くて心配になるぜ。赤毛もせっかく綺麗な色してんのにボッサボッサだったしよ。俺が整えてやったんだ」
赤毛という点では、聖女も見事な赤毛だった。
1度疑うと、何もかもがそのように思えてきた。兵士は念の為に、その赤毛の少年の背丈や年頃を聞いてみたが、聖女と同じくらいのようだ。
自分があの時見た翼を持った人影に、治癒の力を持った神様と、赤毛の少年…。
いや、実際に治癒の力を使ったのは赤毛の少年の方だと聞いた。その赤毛の少年が、まず間違いなく聖女だろう。治癒の力はそうそう見られるものではない。ましてや、複数人を1度に治す程の力は、聖女だからこそ出来る御業だ。
先程まで聖女がいたことに、すれ違った悔しさはあるが、あの人影の飛び去った方角を辿っていけば何とかなるかもしれない。少なくとも、今までよりは捜索が容易になるはずだ。
ようやく見えた聖女の足取りに一息つくも、頭をよぎるのは、あの翼を持つ神様とやらである。彼は一体何者だろうか。人間ではないことだけは確かだが、自分達が敵う相手なのだろうか。
別の意味で、兵士はまた不安を覚えた。
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