男装聖女と暴走天使

コトイアオイ

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5.西の港町

西の港町、ギルツナイト

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  セイユを出て、私達が次に足を踏み入れたのは、帝国の西地域にある港町、ギルツナイトだ。ここは漁師の町として有名らしい。途中で休み休み移動しつつ、この町へやって来たのである。


 ギルツナイトは港町なだけあって、交易が盛んで賑やかだ。夕方でも通りには必ず人がおり、人気ひとけが全くなかったセイユとは正反対で、その賑やかさにまだ慣れない。


 町1番の大きな橋を渡っていた時などは、忙しそうに大きなダンボールを抱えた人にぶつかりそうになった。そこは、間一髪でリヒトが抱き寄せてくれたから何とか衝突は免れたが、リヒトの広い胸板を背に感じて照れてしまった。


そう、何が問題かというと、セイユでのことやオーウェンの言葉のせいで、今の私は必要以上にリヒトを意識してしまっている。


だから、以前までは普通に彼に抱かれて飛んでいた旅路も、今回は心臓が激しく脈打ち耐えられなかった。おかげで、陸路をタラタラ歩くハメになってしまったのだ。それでもって、私の体力が貧弱なもので、休憩がないと進めなかった。


ただ、ギルツナイトの前だけは、検問所や駐屯所があったので空から行かせてもらった。今の所、兵士とはかち合っていないけど、念には念をということだ。


 私が悩んでいることなど知らないリヒトは、「まずは情報を仕入れないとね」と冷静に言う。


正にその通り。リヒトのことで頭がいっぱいな私は、それを聞いて頑張ってリヒトから意識を逸らす。


情報、情報を得るなら…やはりあそこしかないだろう。


「今日は夜を待って動くわ。情報は酒場にあり!」


酒場という言葉にリヒトがぴくりと反応する。天使はそんなところへ行ったことなさそうだし、大丈夫かしら…。


しかし、私の心配とは逆に、リヒトは私の心配をしていた。


「シェリ、そこは安全なところなんだね?」


「えぇ、美味しい飲み物を飲んで楽しむ所よ」


酒場で殺人事件など、滅多に聞かないし問題ないだろう。


 私達は夜に動くことを決め、それまでは泊まる場所を求めてこの港町をぶらぶらと歩いた。
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