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6.帝国の魔の手
再会
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「さっさとしてくれるかな、31の。僕のシェリが待ってるんだから」
「君、ほんとお熱いねぇ。そう急かさなくとも、もう着いたよ。あれだろう?お姫様が囚われている塔っていうのは」
空の上から見下ろした先に、かつて見た白い塔がそびえ立っている。空は既に夜闇に包まれる頃合になっていた。だが、事を起こすのなら夜の方が都合がいい。
シェリマと引き離されてから、身体の回復を待ってリヒトは動き出していた。以前、31の使徒と話をしていた空間は彼の作り出した擬似空間だと言う。そこから出てきて、暫く空を飛んで移動してきたという次第である。
31の使徒を説得して、リヒトはここまで戻ってきた。思った通り、帝国の後ろ暗い話などを説明すると、彼はそれに反応した。どうやら、帝国の裏を暴く方がより楽しいことだと判断してくれたらしい。こちらとしては願ったり叶ったりだ。
「で?ここからどうするんだい」
「最上階を破壊して脅す」
天使とは思えない物騒なことを平気で言うリヒトに、31の使徒はにやりと笑う。それは彼が同意したことを意味していた。
リヒトの考えでは窓がある最上階の部屋、すなわち昔シェリが過ごしていた部屋は二度と使わないと考えている。一度聖女の誘拐を許した奴らからすれば、窓のある部屋は決して使わないだろう。一応、シェリの気配を辿るが、最上階からは一切人の気配を感じない。むしろ、塔のある一部の場所が異様に力に満ちている。これは…彼女が何かしているのか。
何にせよ、早く彼女の無事な姿を目にしない限り安心できない。それに、彼女を逃がすには、帝国兵の目をこちらにひきつけなければならない。
指先に力を集めて、光の粒子を形に変えていく。31の使徒がしたように、何か形を定めた方が力を集めやすいので一振の剣を想像する。
身の丈を優に超える光の大剣を振り下ろし、リヒトは躊躇いなく最上階を破壊した。
塔全体を震わすその衝撃と激しい物音に、塔内部が一気に騒然となる。それを見下ろし、リヒト達は先程感じ取ったシェリの力を目印に、彼女がいるだろう位置へと向かう。
シェリがいると思われる部屋はやはり窓はなく、ただの白い壁にしか見えない。
ここを同じように破壊するわけにはいかないと思い、リヒトが宙で立ち止まっていると。
「待て、これは…爆発するぞ!離れるんだ!」
31の使徒が慌てた顔でリヒトの腕を掴み、その場から離れた瞬間、部屋は轟音と共に崩れていく。おまけに、瓦礫からはパチパチと弾ける炎が見える。
一体、何が起こっている?シェリ…!
部屋には人が残っている気配はしないから避難しているとは思う。それでも心配を抑えきれず、リヒトは瓦礫と炎の中を突っ切って白の塔へ侵入した。羽やら服やらが焦げるのも構わず。
「シェリ!どこにいる!?」
塔内は混乱と悲鳴で溢れかえっていた。人々は我先にと塔の崩壊や火の手から逃れようと必死だ。異物である自分を追い出す余裕もないらしい。邪魔が入らない中堂々と塔内を駆け回るが、リヒトの探す人影は一向に見当たらない。
早く見つけ出さないと、塔自体も危ない。
シェリの力の残滓をたどっていくと、一人の兵士がこちらを見上げて立ち止まっていた。初めは天使の姿に驚いて声も出ないのかと思っていた。だけど、すぐに間違いに気がつく。この、力の感じ。そして、この声。
「リヒト!!」
彼女の声を聞くより早く、リヒトはその華奢な身体を抱きしめた。久し振りに会った彼女は少し痩せてしまったようだ。それでも、こうして無事でいてくれた。ーー名前を呼んでくれた。
「守りきれなくて、怖い思いをさせて、ごめん。遅くなったけど…迎えに来たよ」
腕の中の彼女は、嬉しそうに微笑んだ。
「君、ほんとお熱いねぇ。そう急かさなくとも、もう着いたよ。あれだろう?お姫様が囚われている塔っていうのは」
空の上から見下ろした先に、かつて見た白い塔がそびえ立っている。空は既に夜闇に包まれる頃合になっていた。だが、事を起こすのなら夜の方が都合がいい。
シェリマと引き離されてから、身体の回復を待ってリヒトは動き出していた。以前、31の使徒と話をしていた空間は彼の作り出した擬似空間だと言う。そこから出てきて、暫く空を飛んで移動してきたという次第である。
31の使徒を説得して、リヒトはここまで戻ってきた。思った通り、帝国の後ろ暗い話などを説明すると、彼はそれに反応した。どうやら、帝国の裏を暴く方がより楽しいことだと判断してくれたらしい。こちらとしては願ったり叶ったりだ。
「で?ここからどうするんだい」
「最上階を破壊して脅す」
天使とは思えない物騒なことを平気で言うリヒトに、31の使徒はにやりと笑う。それは彼が同意したことを意味していた。
リヒトの考えでは窓がある最上階の部屋、すなわち昔シェリが過ごしていた部屋は二度と使わないと考えている。一度聖女の誘拐を許した奴らからすれば、窓のある部屋は決して使わないだろう。一応、シェリの気配を辿るが、最上階からは一切人の気配を感じない。むしろ、塔のある一部の場所が異様に力に満ちている。これは…彼女が何かしているのか。
何にせよ、早く彼女の無事な姿を目にしない限り安心できない。それに、彼女を逃がすには、帝国兵の目をこちらにひきつけなければならない。
指先に力を集めて、光の粒子を形に変えていく。31の使徒がしたように、何か形を定めた方が力を集めやすいので一振の剣を想像する。
身の丈を優に超える光の大剣を振り下ろし、リヒトは躊躇いなく最上階を破壊した。
塔全体を震わすその衝撃と激しい物音に、塔内部が一気に騒然となる。それを見下ろし、リヒト達は先程感じ取ったシェリの力を目印に、彼女がいるだろう位置へと向かう。
シェリがいると思われる部屋はやはり窓はなく、ただの白い壁にしか見えない。
ここを同じように破壊するわけにはいかないと思い、リヒトが宙で立ち止まっていると。
「待て、これは…爆発するぞ!離れるんだ!」
31の使徒が慌てた顔でリヒトの腕を掴み、その場から離れた瞬間、部屋は轟音と共に崩れていく。おまけに、瓦礫からはパチパチと弾ける炎が見える。
一体、何が起こっている?シェリ…!
部屋には人が残っている気配はしないから避難しているとは思う。それでも心配を抑えきれず、リヒトは瓦礫と炎の中を突っ切って白の塔へ侵入した。羽やら服やらが焦げるのも構わず。
「シェリ!どこにいる!?」
塔内は混乱と悲鳴で溢れかえっていた。人々は我先にと塔の崩壊や火の手から逃れようと必死だ。異物である自分を追い出す余裕もないらしい。邪魔が入らない中堂々と塔内を駆け回るが、リヒトの探す人影は一向に見当たらない。
早く見つけ出さないと、塔自体も危ない。
シェリの力の残滓をたどっていくと、一人の兵士がこちらを見上げて立ち止まっていた。初めは天使の姿に驚いて声も出ないのかと思っていた。だけど、すぐに間違いに気がつく。この、力の感じ。そして、この声。
「リヒト!!」
彼女の声を聞くより早く、リヒトはその華奢な身体を抱きしめた。久し振りに会った彼女は少し痩せてしまったようだ。それでも、こうして無事でいてくれた。ーー名前を呼んでくれた。
「守りきれなくて、怖い思いをさせて、ごめん。遅くなったけど…迎えに来たよ」
腕の中の彼女は、嬉しそうに微笑んだ。
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