26 / 32
6.帝国の魔の手
聖女の企み
しおりを挟む
この塔に再び閉じ込められて何日が経ったのだろう。私は大人しく従うふりをして、着々と力を蓄え続けていた。自分の身の内には収まりきらなくなった力は部屋に流れ出し、部屋はピリピリと力の波動を受けて小刻みに震えている。
帝国側には、今回迷惑をかけたお詫びにいつでも奉仕できるよう集中しているのだと説明した。それを聞いた白の塔の責任者は一切疑うことなく、喜んでいた。彼らは私がここに来て以来大人しいので、すっかり油断しているようだった。
そういう背景もあって、こちらはかなり順調だった。あとは、もう一つのちょっとした騒ぎだ。これに関しては、部屋もしくはその周辺でボヤ騒ぎを起こすつもりだ。紙などに強い光を当て続けると、紙が燃えることを利用して。
これだけだと不十分だが、何と一人の兵士が私の逃亡に力を貸してくれると言ってくれた。彼は私が捕まったのは自分のせいだと謝っていた。また、保護とは名ばかりの監禁は間違っていると。私としては、助力は非常にありがたいので喜んで彼の申し出を受けた。
彼の手助けを計算に入れると、まず夜ご飯を運んでくる彼の手を借りて部屋から抜け出す。その際には兵士の変装をさせてもらうつもりだ。続けてボヤ騒ぎを起こして、人の目を集める。頃合を見計らった後に、その部屋の力を一気に増幅させ、部屋自体を壊す。
仕事熱心な者ならば聖女を助けなければと思うだろう。しかし、人間いざとなれば我が身が可愛いものだ。そうした状況であれば何とか逃亡のチャンスは掴めるかもしれない。
上手くいくかは分からないし、協力者もたった一人だけだ。不安は尽きないけど、やるしかない。今のうちに、燃えやすそうなものを確保しておこう。
私はそう決意して目を閉じる。
決行は明日の夜、そこで全てが決まる。
帝国側には、今回迷惑をかけたお詫びにいつでも奉仕できるよう集中しているのだと説明した。それを聞いた白の塔の責任者は一切疑うことなく、喜んでいた。彼らは私がここに来て以来大人しいので、すっかり油断しているようだった。
そういう背景もあって、こちらはかなり順調だった。あとは、もう一つのちょっとした騒ぎだ。これに関しては、部屋もしくはその周辺でボヤ騒ぎを起こすつもりだ。紙などに強い光を当て続けると、紙が燃えることを利用して。
これだけだと不十分だが、何と一人の兵士が私の逃亡に力を貸してくれると言ってくれた。彼は私が捕まったのは自分のせいだと謝っていた。また、保護とは名ばかりの監禁は間違っていると。私としては、助力は非常にありがたいので喜んで彼の申し出を受けた。
彼の手助けを計算に入れると、まず夜ご飯を運んでくる彼の手を借りて部屋から抜け出す。その際には兵士の変装をさせてもらうつもりだ。続けてボヤ騒ぎを起こして、人の目を集める。頃合を見計らった後に、その部屋の力を一気に増幅させ、部屋自体を壊す。
仕事熱心な者ならば聖女を助けなければと思うだろう。しかし、人間いざとなれば我が身が可愛いものだ。そうした状況であれば何とか逃亡のチャンスは掴めるかもしれない。
上手くいくかは分からないし、協力者もたった一人だけだ。不安は尽きないけど、やるしかない。今のうちに、燃えやすそうなものを確保しておこう。
私はそう決意して目を閉じる。
決行は明日の夜、そこで全てが決まる。
0
あなたにおすすめの小説
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです
籠の中のうさぎ
恋愛
日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。
「はー、何もかも投げだしたぁい……」
直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。
十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。
王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。
聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。
そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。
「では、私の愛人はいかがでしょう」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる