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6.帝国の魔の手
別離
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今までの中で一番時間と力を使い、私は病の治療に取り組んだ。その結果、ギルツナイトで疫病に苦しむ人はいなくなった。リヒト演じる神の御使いからの託宣という形で、井戸の水を清めたし薬も一応作った。これで、この街の疫病騒ぎは収束した。
今回は仕方なかったとはいえ、かなり目立ってしまったので、私達はやるべき事を終えた夜、静かに宿を抜け出した。
人目につかないところまで移動し、いざ旅立つ時、私達の目の前に幾筋もの光が浴びせられた。
「…聖女様でお間違いないですね。ご同行お願いします」
気づけば、周りを沢山の帝国兵に固められていた。眩しいと感じた光は、彼らが持っていたライトだった。いつかはこんな日がくるだろうと心のどこかで予想していたのだが、今日がその日になるとは。
不安になり、傍にいるリヒトの腕をぎゅっと掴む。リヒトがそれに応えるかのように、私の身体を包み込み兵士らの視線から私を隠す。
「聖女様…貴方が大人しくご同行してくだされば、そちらの方には危害を加えません」
そちらの方とは、私を守り兵士らを睨みつけるリヒトのことだ。つまり、私が抵抗すればリヒトを傷つけるぞということか。
兵士と言えど、ただの人間に天使を傷つけられるとは思えないが、不安は消えない。万が一でも、リヒトが傷を負うことになったらどうしよう。
「僕を、お前達人間が傷つけられるとでも?」
リヒトが見せつけるようにして、背中から翼を現す。暗闇の中で白く輝く雄大な翼に兵士達がどよめきの声を上げる。
しかし、私達を取り囲む先頭の兵士長は余裕の笑みを見せていた。
「貴方を捕らえるのは我々ではありません」
リヒトは見ていなかったようだが、その笑みに不安を煽られた私はリヒトに大人しく一旦捕まろうと提案しようとした。
「リヒト、ここは一旦…」
「やぁやぁ、やっぱりまた会ったね!お嬢さん?」
私がリヒトに声をかけている途中で、緊迫した状況に似合わない声がその場に割り込んできた。その声はつい最近聞いたあの金髪男性のものだ。
何故、彼がここに?そう思っていると、私を抱きしめていたリヒトが苦しげに呻き、その腕を緩めた。
「え…?リヒト…?」
リヒトは心臓の位置を抑えて脂汗をかいている。その異常な苦しみ方に私は慌ててリヒトに力を使おうとしたが、それは阻止された。
私達が離れた隙を狙って、兵士が私の身を拘束したのだ。治癒の力以外は一般人以下の能力の私がいくら抵抗しても、拘束は緩まなかった。
そして、苦しむリヒトの心臓にあの金髪男性は光の粒子でできた杖を突き刺していた。彼の背にはいつの間にか、リヒトと似たような翼があった。
「い、嫌!リヒト!リヒトに何をっ」
暴れる私を見かねたのか、兵士長が私の口元に布を押し当てる。動揺していた私は何かの匂いを感じると同時に意識が薄れていく。
眠り薬…!
こんな所で意識を失うわけにはいかないのに、身体は徐々に重たくなっていく。
リヒ…ト、逃げて…!
最後に聞こえたのは新たに現れた天使の笑い声だった。
今回は仕方なかったとはいえ、かなり目立ってしまったので、私達はやるべき事を終えた夜、静かに宿を抜け出した。
人目につかないところまで移動し、いざ旅立つ時、私達の目の前に幾筋もの光が浴びせられた。
「…聖女様でお間違いないですね。ご同行お願いします」
気づけば、周りを沢山の帝国兵に固められていた。眩しいと感じた光は、彼らが持っていたライトだった。いつかはこんな日がくるだろうと心のどこかで予想していたのだが、今日がその日になるとは。
不安になり、傍にいるリヒトの腕をぎゅっと掴む。リヒトがそれに応えるかのように、私の身体を包み込み兵士らの視線から私を隠す。
「聖女様…貴方が大人しくご同行してくだされば、そちらの方には危害を加えません」
そちらの方とは、私を守り兵士らを睨みつけるリヒトのことだ。つまり、私が抵抗すればリヒトを傷つけるぞということか。
兵士と言えど、ただの人間に天使を傷つけられるとは思えないが、不安は消えない。万が一でも、リヒトが傷を負うことになったらどうしよう。
「僕を、お前達人間が傷つけられるとでも?」
リヒトが見せつけるようにして、背中から翼を現す。暗闇の中で白く輝く雄大な翼に兵士達がどよめきの声を上げる。
しかし、私達を取り囲む先頭の兵士長は余裕の笑みを見せていた。
「貴方を捕らえるのは我々ではありません」
リヒトは見ていなかったようだが、その笑みに不安を煽られた私はリヒトに大人しく一旦捕まろうと提案しようとした。
「リヒト、ここは一旦…」
「やぁやぁ、やっぱりまた会ったね!お嬢さん?」
私がリヒトに声をかけている途中で、緊迫した状況に似合わない声がその場に割り込んできた。その声はつい最近聞いたあの金髪男性のものだ。
何故、彼がここに?そう思っていると、私を抱きしめていたリヒトが苦しげに呻き、その腕を緩めた。
「え…?リヒト…?」
リヒトは心臓の位置を抑えて脂汗をかいている。その異常な苦しみ方に私は慌ててリヒトに力を使おうとしたが、それは阻止された。
私達が離れた隙を狙って、兵士が私の身を拘束したのだ。治癒の力以外は一般人以下の能力の私がいくら抵抗しても、拘束は緩まなかった。
そして、苦しむリヒトの心臓にあの金髪男性は光の粒子でできた杖を突き刺していた。彼の背にはいつの間にか、リヒトと似たような翼があった。
「い、嫌!リヒト!リヒトに何をっ」
暴れる私を見かねたのか、兵士長が私の口元に布を押し当てる。動揺していた私は何かの匂いを感じると同時に意識が薄れていく。
眠り薬…!
こんな所で意識を失うわけにはいかないのに、身体は徐々に重たくなっていく。
リヒ…ト、逃げて…!
最後に聞こえたのは新たに現れた天使の笑い声だった。
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