男装聖女と暴走天使

コトイアオイ

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6.帝国の魔の手

白の塔

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 戻ってきてしまった。あの白い塔へ。二度と帰ってきたくなかったこの場所へ。今度は窓もない無機質な石の壁の部屋だ。しかも、リヒトが大怪我を負ったかもしれないのに私は彼の安否を知る術を持たない。目覚めてすぐ、リヒトのことを問い詰めたが、兵士長は頑なに口を開かなかった。


部屋に閉じ込められた私の元へ食事を運んできてくれた兵士は、「天使のことは天使に対応してもらったってことらしいです。僕も詳しくは知らされていないので…」と申し訳なさそうに言った。


あの金髪が天使ということは流石に翼を見れば分かる。問題はリヒトが無事でいるのかということなのだ。あの金髪天使がリヒトをどう扱っているのかが心配で仕方がない。もし、リヒトが酷い目にあっていたら…絶対許さない。


そう意気込んでみても、所詮今の私は籠の中の鳥。向こうが動かない限りはどうすることもできないのがもどかしい。


今の私にできることは何かないのだろうか。



私の力を改めて分析してみる。私に出来ることは治癒全般、薬の生成くらいだ。治癒の力を使う際、光魔法も自然に使っているから純粋に力を使うならばそれも数に入るかもしれない。


治癒は今役立つとは言えないし、薬を作ろうにも材料がない。とすれば、可能性は最後の一つしかない。せいぜい、神の使徒だぞ私達は!的な見せかけの威厳にしか使ったことがないけど…。


光魔法でただ光を発するのは使い時を考えなくてはいけない。


…うーん…。それよりも、私の力そのものを溜め続けて一気に解放するのはどうだろうか。イメージは限界まで膨らんだ風船が衝撃を受けて、一気に破裂する感じで。これなら攻撃能力を持たない私でもできそうだ。



あとは…そのタイミングを見極める。下手な時に力を解放してもすぐに制圧されて、より厳しい監視下に置かれてしまう。だから…出来れば何かの騒ぎに乗じて…という事態が一番望ましい。


その騒ぎをどうして引き起こすべきか、私の意識はまた、思考に沈んだ。
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