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3 魔法学校の聖人候補
450 合宿が終わって
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450
ほとんどのグループは二日目の狩りから帰ってくるまで、上位陣が無謀極まりない狩りに挑戦をして大怪我し、全員がリタイアとなったことを知らなかった。
そのため狩りから戻ってきたグループはみんな蜂の巣を突いたような大騒ぎで、最終組の私たちが帰った時にも、合宿所の中は騒然とした雰囲気に包まれていた。
学校側は、今回の三組のグループの危険行動を非常に重く見ており、厳しい処罰を下すつもりのようだとの噂も駆け巡っている。確かに、これが悪しき先例となれば、これからの学校運営のためにも非常によろしくないことは明らかだし、学生たちのためにもならない。学校側が厳罰で臨むことは間違いがないだろう。
それはグッケンス博士の怒りようからも想像できる。
博士は普段、生徒の失敗や準備不足には寛容だ。学生たちには能力の差だけでなく性格の違い、向き不向き色々な要素があることをよく理解されているので、ほとんど怒ることすらない。人格者であるし、素晴らしい教育者だと思う。
だが、今回のような命に関わる無謀さは許すことができないようだ。もちろん私も許されるべきではないと思う。その無謀さは本人だけでなく多くの人たちの命まで危険にさらすことを、彼らは理解しなければならない。
今回の狩りでは魔道具の持ち込み制限はなかったが、これも是正すべきだという声も上がった。なぜなら、彼らが使った高速移動できる特殊な魔道具のようなものは、大変高価で一般の生徒は絶対に手に入れることができないアイテムだからだ。力量の差ではなく財力の差で優劣が決まるというのはこの学校の理念に反する。
「最初の規定では〝自作の魔道具〟は持ち込んでよろしい、ということだったはずなのだが、いつの間にか〝自作の〟という規定が曖昧になってな。これももう一度厳格化せねばなるまい」
リビングの机でコーヒーを飲みながら、博士は早々に決めなければならない彼らへの罰をどうすべきか悩んでいるようだ。今回のことでは、彼ら全員をひとりの死者も出さず救出した英雄的行動から、グッケンス博士にはかなり大きな発言権が与えられている。博士の一言で、彼らの処罰は決定すると言っても過言ではなく、まだベッドで過ごしている成績上位者たちは退学になるのではないかと眠れぬ夜を過ごしているだろう。
「ところで博士、今朝からひっきりなしに贈り物が届いてうるさくてかなわないんですけど、これ止められないんですか?」
リビングには金銀財宝、目の眩むようなお宝が山積みになっていて、今も片付ける間もなく次から次へ届き続けている。送り主は、今回助けた上級貴族の学生たちの家やその関係者で、その数は膨大。私とソーヤは、合宿からの帰宅直後から、ずっとその対応に追われ続けだ。
「拒否するのは容易いのだが、受け取らぬと罪もない使者が罰せられるからの。貴族というやつは、こういう形でしか感謝を表せぬ者たちなのだと思うしかなかろう。それに、今回の功労者は本当はお前なのだ。できれば全部持っていかんか、メイロード」
「いりませんよ、こんなの」
私はものすごく重い純金製の飾り刀と、これまた純金製でゴテゴテの装飾の入ったご大層な杖を運びながら断った。こんな実用性ゼロの漬物石にもならないもの、もらっても意味がない。
(いっそ全部溶かせば、漬物石ぐらいにはなるかもしれないけど……)
そして、このことで博士の持っていた雑多な品物がどうやって溜まったのかもわかった。博士が大きな事件を解決するたびに、高貴な方々からこういった品物が大量に送られてくるせいだ。
「そういえば、結局、お前たちの組は優勝したのだったな。そのお祝いに、やっぱり少し持っていかんか?」
「いりませーん!」
そう、上位陣総崩れ、というだけでなく、私たちの狩りの成績は例年の実績に比べても遜色のない素晴らしいものだ、と表彰式で讃えられた。クローナは最優秀狩人賞も獲得し(本人はとてもバツが悪そうだったが、みんなで絶対に受け取るべきだと説得した)、彼女は赤い宝石のついた金の羽のバッジを、私たちも宝石のない金の羽のバッジを頂いた。
クローナには〝アイスベア・ハンター〟とか〝氷熊殺しのクローナ〟とか、やたらと勇ましい字名が囁かれるようになり、今や時の人だ。表彰式直後から貴族たちからの招待状が凄まじい数届いているそうで、冬休み中社交に追われることになりそうだとため息をついていた。
クローナ以外の私たちグループ全員の評価ももちろん上がり、成績にもかなり加点されることになった。
これだけ平民の多いグループが優勝したことは今までになかったそうで、貴族たちの私たちを見る目も少し変わってきたように思えた。クローナも〝仲間の力がなければ決してこの成績は残せなかった〟と、授賞式の壇上で強く語り、協調性、協力することの大切さをみんなに訴えてくれた。クローナは本当に貴族には珍しい素直で傲りのないいい子だ。
「あっ!」
片付けをしていた私はひとつ思いついたことがあり、博士に提案した。
「上位の子たちへのお仕置き、こんなのどうですか?」
ほとんどのグループは二日目の狩りから帰ってくるまで、上位陣が無謀極まりない狩りに挑戦をして大怪我し、全員がリタイアとなったことを知らなかった。
そのため狩りから戻ってきたグループはみんな蜂の巣を突いたような大騒ぎで、最終組の私たちが帰った時にも、合宿所の中は騒然とした雰囲気に包まれていた。
学校側は、今回の三組のグループの危険行動を非常に重く見ており、厳しい処罰を下すつもりのようだとの噂も駆け巡っている。確かに、これが悪しき先例となれば、これからの学校運営のためにも非常によろしくないことは明らかだし、学生たちのためにもならない。学校側が厳罰で臨むことは間違いがないだろう。
それはグッケンス博士の怒りようからも想像できる。
博士は普段、生徒の失敗や準備不足には寛容だ。学生たちには能力の差だけでなく性格の違い、向き不向き色々な要素があることをよく理解されているので、ほとんど怒ることすらない。人格者であるし、素晴らしい教育者だと思う。
だが、今回のような命に関わる無謀さは許すことができないようだ。もちろん私も許されるべきではないと思う。その無謀さは本人だけでなく多くの人たちの命まで危険にさらすことを、彼らは理解しなければならない。
今回の狩りでは魔道具の持ち込み制限はなかったが、これも是正すべきだという声も上がった。なぜなら、彼らが使った高速移動できる特殊な魔道具のようなものは、大変高価で一般の生徒は絶対に手に入れることができないアイテムだからだ。力量の差ではなく財力の差で優劣が決まるというのはこの学校の理念に反する。
「最初の規定では〝自作の魔道具〟は持ち込んでよろしい、ということだったはずなのだが、いつの間にか〝自作の〟という規定が曖昧になってな。これももう一度厳格化せねばなるまい」
リビングの机でコーヒーを飲みながら、博士は早々に決めなければならない彼らへの罰をどうすべきか悩んでいるようだ。今回のことでは、彼ら全員をひとりの死者も出さず救出した英雄的行動から、グッケンス博士にはかなり大きな発言権が与えられている。博士の一言で、彼らの処罰は決定すると言っても過言ではなく、まだベッドで過ごしている成績上位者たちは退学になるのではないかと眠れぬ夜を過ごしているだろう。
「ところで博士、今朝からひっきりなしに贈り物が届いてうるさくてかなわないんですけど、これ止められないんですか?」
リビングには金銀財宝、目の眩むようなお宝が山積みになっていて、今も片付ける間もなく次から次へ届き続けている。送り主は、今回助けた上級貴族の学生たちの家やその関係者で、その数は膨大。私とソーヤは、合宿からの帰宅直後から、ずっとその対応に追われ続けだ。
「拒否するのは容易いのだが、受け取らぬと罪もない使者が罰せられるからの。貴族というやつは、こういう形でしか感謝を表せぬ者たちなのだと思うしかなかろう。それに、今回の功労者は本当はお前なのだ。できれば全部持っていかんか、メイロード」
「いりませんよ、こんなの」
私はものすごく重い純金製の飾り刀と、これまた純金製でゴテゴテの装飾の入ったご大層な杖を運びながら断った。こんな実用性ゼロの漬物石にもならないもの、もらっても意味がない。
(いっそ全部溶かせば、漬物石ぐらいにはなるかもしれないけど……)
そして、このことで博士の持っていた雑多な品物がどうやって溜まったのかもわかった。博士が大きな事件を解決するたびに、高貴な方々からこういった品物が大量に送られてくるせいだ。
「そういえば、結局、お前たちの組は優勝したのだったな。そのお祝いに、やっぱり少し持っていかんか?」
「いりませーん!」
そう、上位陣総崩れ、というだけでなく、私たちの狩りの成績は例年の実績に比べても遜色のない素晴らしいものだ、と表彰式で讃えられた。クローナは最優秀狩人賞も獲得し(本人はとてもバツが悪そうだったが、みんなで絶対に受け取るべきだと説得した)、彼女は赤い宝石のついた金の羽のバッジを、私たちも宝石のない金の羽のバッジを頂いた。
クローナには〝アイスベア・ハンター〟とか〝氷熊殺しのクローナ〟とか、やたらと勇ましい字名が囁かれるようになり、今や時の人だ。表彰式直後から貴族たちからの招待状が凄まじい数届いているそうで、冬休み中社交に追われることになりそうだとため息をついていた。
クローナ以外の私たちグループ全員の評価ももちろん上がり、成績にもかなり加点されることになった。
これだけ平民の多いグループが優勝したことは今までになかったそうで、貴族たちの私たちを見る目も少し変わってきたように思えた。クローナも〝仲間の力がなければ決してこの成績は残せなかった〟と、授賞式の壇上で強く語り、協調性、協力することの大切さをみんなに訴えてくれた。クローナは本当に貴族には珍しい素直で傲りのないいい子だ。
「あっ!」
片付けをしていた私はひとつ思いついたことがあり、博士に提案した。
「上位の子たちへのお仕置き、こんなのどうですか?」
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