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3 魔法学校の聖人候補
498 メイロード姫出陣!
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498
「馬子にも衣装っていうが……やっぱりお前はアーサーとライラの子供だったんだな」
サイデムおじさまは私の姿を見て、なんだか驚いていた。
いよいよ最後の作戦を実行する今日、〝大金持ちのお姫様〟という設定の私が持ち込む予定の、キャサリナとの競りのための〝見せ金〟を用意してもらう約束になっていた。そのために会場のホテルへ向かう直前、会場へ向かう前におじさまのところへ立ち寄ったのだ。いよいよ直接対決だと思うと、私も気合が入ってしまう。
セーヤによる、完璧なヘアケアとヘアメイク。そしておじさまに頂いた〝ドレープス〟の最新流行のドレスのなかでも特に華やかで豪華なもの。さらにルミナーレ様から貸していただいた素晴らしいネックレスやイヤリングに指輪、ブレスレットをしてフル装備した気合の入った私の姿を見て、おじさまは唸っている。
(そういえば、ここまでおめかしした姿を見せたのは初めてかもね)
気合いといえば、特にセーヤは、珍しく私が〝派手めな感じのお嬢様〟風のヘアスタイルをオーダーしたことに、張り切ってしまい、今日の私の髪はくるくる巻き髪をあちこちに施し、さらにたくさんの美しい髪留めとリボンで流れを作りつつ装飾した、それはそれは手のかかったものになっており、正直、普段の私とは別人だ。
そういう事情で髪もドレスもゴージャスな今日の私だが、ドール公爵家からお借りした宝石類がまたすごい。魔石ほどの価値はないとはいえ、ここまで立派なものだとかかっている手間もすごいし、グレードも極めて高い。そんないくらするのかわからないほど高額な宝飾品を全身につけているので、それだけでもう、震えるほど緊張しているのだが、今日の私は〝こんなもの、大したことはありません、ほほほ〟という態度を貫かなければいけないので、ここから先はこの緊張も顔に出すわけにはいかない。
「今日の競りでは、大富豪のお姫様になりきらないといけないので、メイクまでバッチリしてますよ。皮膚が呼吸できなくて苦しいです。どうですか? お姫様っぽくできてます?」
おじさまの前でくるりと回って見せると、おじさまなんだか嬉しそうな照れくさそうな顔だ。
「お、おおう。なかなかいいぞ。ちゃんと姫君らしく見える。立派な化けっぷりだ。気を抜かず、あの女狐をしっかり締め上げてこいよ」
「もちろんです」
私は天使のような美しいお姫様姿に似合わない、なかなか不敵な笑顔でおじさまと今日の成功を誓い合った。
「はぁ~、本当にお美しいです。メイロードさま。どこの貴族のご令嬢よりも優雅でいらっしゃいます」
今日の私の御付きの役を頼んだキッペイが、なんだかポワンとした顔で私を褒めてくれた。
「ありがとう、キッペイ。今日は私の秘書役よろしくお願いね」
微笑みながらキッペイの前に立ちそう言うと、キッペイは更に顔を赤くしている。
今回の私の設定は、さる大貴族のお姫様だ。名前を明かすのもはばかられるほどのお大尽ということになっている。普段の私からはかけ離れた役どころだが、やるしかない。私は高飛車風な演技もしなくてはいけないし、うまくキャサリナを煽らなければいけない。なかなかプレッシャーのかかるポジションなわけだが、この計画の発案者は私なのでここは腹をくくろう。
準備が済んだ私とキッペイは、この日のためにおじさまに用意してもらった豪華な馬車でキャサリナの待つホテルへと出発した。
(貴族のお姫様って、お忍びでもこんな豪華な馬車移動なのね)
キャサリナのいるホテルはイスの高級ホテルが並ぶ一角にあるため、サイデム商会からだと馬車で10分とかからず到着できる距離だった。
(ここからはお姫様演技をしなくちゃね)
馬車がホテルの停車場に着くと、私はキッペイに手を取られ、ゆっくりと馬車を降りた。その瞬間から、周囲の人の態度が普段と違うことがわかった。すぐに近づいてきたホテルのドアマンも、緊張すら感じられる丁寧さで接してくれている。
(この馬車の効果も大きいんだろうけど、どうやら、ちゃんとお姫様に見えているみたいね)
私はどうやら自分の姿が、思った以上にお姫様らしく見えていることにホッとしながら、背筋を伸ばし堂々とした態度でいることを心がけつつ、キッペイを引き連れホテルへと入っていった。
(さあ、お金も情報も全部吐かせるよ! 行こう!)
「馬子にも衣装っていうが……やっぱりお前はアーサーとライラの子供だったんだな」
サイデムおじさまは私の姿を見て、なんだか驚いていた。
いよいよ最後の作戦を実行する今日、〝大金持ちのお姫様〟という設定の私が持ち込む予定の、キャサリナとの競りのための〝見せ金〟を用意してもらう約束になっていた。そのために会場のホテルへ向かう直前、会場へ向かう前におじさまのところへ立ち寄ったのだ。いよいよ直接対決だと思うと、私も気合が入ってしまう。
セーヤによる、完璧なヘアケアとヘアメイク。そしておじさまに頂いた〝ドレープス〟の最新流行のドレスのなかでも特に華やかで豪華なもの。さらにルミナーレ様から貸していただいた素晴らしいネックレスやイヤリングに指輪、ブレスレットをしてフル装備した気合の入った私の姿を見て、おじさまは唸っている。
(そういえば、ここまでおめかしした姿を見せたのは初めてかもね)
気合いといえば、特にセーヤは、珍しく私が〝派手めな感じのお嬢様〟風のヘアスタイルをオーダーしたことに、張り切ってしまい、今日の私の髪はくるくる巻き髪をあちこちに施し、さらにたくさんの美しい髪留めとリボンで流れを作りつつ装飾した、それはそれは手のかかったものになっており、正直、普段の私とは別人だ。
そういう事情で髪もドレスもゴージャスな今日の私だが、ドール公爵家からお借りした宝石類がまたすごい。魔石ほどの価値はないとはいえ、ここまで立派なものだとかかっている手間もすごいし、グレードも極めて高い。そんないくらするのかわからないほど高額な宝飾品を全身につけているので、それだけでもう、震えるほど緊張しているのだが、今日の私は〝こんなもの、大したことはありません、ほほほ〟という態度を貫かなければいけないので、ここから先はこの緊張も顔に出すわけにはいかない。
「今日の競りでは、大富豪のお姫様になりきらないといけないので、メイクまでバッチリしてますよ。皮膚が呼吸できなくて苦しいです。どうですか? お姫様っぽくできてます?」
おじさまの前でくるりと回って見せると、おじさまなんだか嬉しそうな照れくさそうな顔だ。
「お、おおう。なかなかいいぞ。ちゃんと姫君らしく見える。立派な化けっぷりだ。気を抜かず、あの女狐をしっかり締め上げてこいよ」
「もちろんです」
私は天使のような美しいお姫様姿に似合わない、なかなか不敵な笑顔でおじさまと今日の成功を誓い合った。
「はぁ~、本当にお美しいです。メイロードさま。どこの貴族のご令嬢よりも優雅でいらっしゃいます」
今日の私の御付きの役を頼んだキッペイが、なんだかポワンとした顔で私を褒めてくれた。
「ありがとう、キッペイ。今日は私の秘書役よろしくお願いね」
微笑みながらキッペイの前に立ちそう言うと、キッペイは更に顔を赤くしている。
今回の私の設定は、さる大貴族のお姫様だ。名前を明かすのもはばかられるほどのお大尽ということになっている。普段の私からはかけ離れた役どころだが、やるしかない。私は高飛車風な演技もしなくてはいけないし、うまくキャサリナを煽らなければいけない。なかなかプレッシャーのかかるポジションなわけだが、この計画の発案者は私なのでここは腹をくくろう。
準備が済んだ私とキッペイは、この日のためにおじさまに用意してもらった豪華な馬車でキャサリナの待つホテルへと出発した。
(貴族のお姫様って、お忍びでもこんな豪華な馬車移動なのね)
キャサリナのいるホテルはイスの高級ホテルが並ぶ一角にあるため、サイデム商会からだと馬車で10分とかからず到着できる距離だった。
(ここからはお姫様演技をしなくちゃね)
馬車がホテルの停車場に着くと、私はキッペイに手を取られ、ゆっくりと馬車を降りた。その瞬間から、周囲の人の態度が普段と違うことがわかった。すぐに近づいてきたホテルのドアマンも、緊張すら感じられる丁寧さで接してくれている。
(この馬車の効果も大きいんだろうけど、どうやら、ちゃんとお姫様に見えているみたいね)
私はどうやら自分の姿が、思った以上にお姫様らしく見えていることにホッとしながら、背筋を伸ばし堂々とした態度でいることを心がけつつ、キッペイを引き連れホテルへと入っていった。
(さあ、お金も情報も全部吐かせるよ! 行こう!)
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