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馬と鹿を黙らせたい
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「ランベル・ウィルハーン!貴様はここに居る、マリアベル・ディーオリン嬢を卑劣に虐めた犯人である!よってお前との婚約は破棄させて貰う!!」
今日はとある学園の卒業式だ。そこには大勢の人達で溢れかえっており、先程まで賑やかだった会場はいきなりの大声にシンと静まり返っている。
今、一人の女性を指差し声高らかに宣言したのはこの国の第一王子であるギルベルト・ヴォルフリーグだ。
「……殿下、何方かとお間違えではないでしょうか」
「白を切るつもりか!証拠はあるんだぞ!潔く罪を認め彼女へ謝罪を求める!!」
「ですから、私は虐め等しておりません。そもそも虐める理由がございませんし、彼女の事も存じ上げません。」
「……ギル様、これは嘘です!だって、だって……あんなことしたのに……!酷いわ……」
「っこの!往生際の悪い魔女め!!彼女はこんなに怯えているではないか!」
泣き出し自分に縋り付くマリアベルを庇いながら怒り心頭な王子に比べ、対峙している女性はとても落ち着いて冷静である。
それも当然だ。
(私、貴方の婚約者では無いので全く身に覚えがないのですが!!)
-----そう、彼女は王子の婚約者では無かったのだ。よって動機は無く、この罪は冤罪。
「殿下とお会いした頃から何度も申し上げておりますが、私は貴方様の婚約者ではございません。それに、私は学生では無いのでほとんどを学園の外で過ごしております」
「ここまで来てまた、婚約者じゃないと嘘をつくのか!?貴様何処まで性根が腐っているのだ!」
腐っているのは貴方の耳ですとは流石のランベルも言えなかった。
コレを納得させるのも骨が折れるが
(ベル、コイツ潰そう)
(やめなさい。仮にも王子よ)
先程から王子の斜め後ろの護衛アランヴェッシュ・リドリアーヌがランベルに物騒な事を目で語りかけてくるのもあり、気が遠くなりそうだ。
「殿下、失礼ながら発言してもよろしいでしょうか。申し上げたい事がございます」
「アランヴェッシュか。いいぞ許す。この女を叩きのめしてくれ!そして罪を自覚させ謝罪させろ!罪を認めたら牢へ投獄しろ!!!」
「アランヴェッシュ様……!お願いしますぅ!」
猫撫で声でアランヴェッシュへ抱き着くも
「お離しください。私は結婚しておりますので、不愉快です」
バッサリと切られたマリアベル。
「過去に私も何度も申し上げておりますが、事実彼女は殿下の婚約者では無かったのですよ 。現に彼女も既婚者です」
王子とマリアベルは、彼女が既婚者という事実にキョトンとしている。
何を言ってるのか解らないとでもいいたそうだ。
その2人の反応を見たアランヴェッシュからはプツンと何かが切れる音が聞こえた。
「何度も何度も申し上げておりますが……ベルは俺の嫁だ!殿下に俺の婚約者だと紹介した時から思ってたが!ベタベタベタベタと人の婚約者に触れるな!勝手に勘違いして聞く耳持たねえし、色々とベルに贈り物するわ、口説くわでいつ殺してもおかしくないくらい腸煮えくり返ってるんだぞ!?あと!数ヶ月前に結婚したと2人で報告しただろ!?聞いてなかったのか!?それともただの馬鹿なのか!?」
「ついでに私も言わせていただきますが!……私も何度も何度も申し上げましたよ!?それに、花束やらドレスやらを婚約者でも無い人から贈られるのは気持ち悪いわ!!それに!私は騎士科在籍の女性達の臨時講師!!受け持ってる授業がない限りは騎士の詰所で仕事!!……卒業式には臨時講師したから招かれてるだけ!お二人共、その耳はお飾りなのですか!?要らないなら即刻削ぎ落としますよ!?……あと、マリアベル様!いつまでアッシュにくっ付いてるのですか!今すぐに私の旦那様から離れてくれませんか!?」
今まで静まり返っていた会場からはなんとも言えない生暖かい視線が王子とマリアベルへ注がれる。
そろりとアランヴェッシュから離れたマリアベルと王子は羞恥で顔を染め、言葉が告げないようだ。
「……愚息がすまぬな、ランベルにアランヴェッシュ。……いやほんと申し訳ないと思ってるから、早いとこその殺気抑えてくれんか?」
タイミングを見計らったかのように陛下が兵士を連れて(単純に先程の怒涛の口撃に登場するタイミングを失ったのだろう)現れた。
「……陛下何してたんですか。遅いです。それと、俺達しばらく仕事しませんからね」
「それは……、いや、はい。わかった、わかったから存分に休んでくれ」
国のトップから言質を取ったので、心置き無く休めることが確定した。
「ねえ、アッシュ。この馬鹿達のせいで行けなかった新婚旅行にでも行きましょうか」
「あー……いいなそれ。いくか」
王子とマリアベルが兵士に連れてかれる中、どこ行こうかしらと相談する二人は既にお互いだけの世界だ。
既に混沌としている卒業式と婚約破棄騒動(笑)は、騒動を起こした王子が連行されるという異常な光景で幕を下ろした。
これ以降人の恋路(というか新婚生活)を邪魔する奴は、たとえ馬でも鹿でも蹴られてしまうと人々の記憶に刻まれ、後に語り継がれていくこととなった。
今日はとある学園の卒業式だ。そこには大勢の人達で溢れかえっており、先程まで賑やかだった会場はいきなりの大声にシンと静まり返っている。
今、一人の女性を指差し声高らかに宣言したのはこの国の第一王子であるギルベルト・ヴォルフリーグだ。
「……殿下、何方かとお間違えではないでしょうか」
「白を切るつもりか!証拠はあるんだぞ!潔く罪を認め彼女へ謝罪を求める!!」
「ですから、私は虐め等しておりません。そもそも虐める理由がございませんし、彼女の事も存じ上げません。」
「……ギル様、これは嘘です!だって、だって……あんなことしたのに……!酷いわ……」
「っこの!往生際の悪い魔女め!!彼女はこんなに怯えているではないか!」
泣き出し自分に縋り付くマリアベルを庇いながら怒り心頭な王子に比べ、対峙している女性はとても落ち着いて冷静である。
それも当然だ。
(私、貴方の婚約者では無いので全く身に覚えがないのですが!!)
-----そう、彼女は王子の婚約者では無かったのだ。よって動機は無く、この罪は冤罪。
「殿下とお会いした頃から何度も申し上げておりますが、私は貴方様の婚約者ではございません。それに、私は学生では無いのでほとんどを学園の外で過ごしております」
「ここまで来てまた、婚約者じゃないと嘘をつくのか!?貴様何処まで性根が腐っているのだ!」
腐っているのは貴方の耳ですとは流石のランベルも言えなかった。
コレを納得させるのも骨が折れるが
(ベル、コイツ潰そう)
(やめなさい。仮にも王子よ)
先程から王子の斜め後ろの護衛アランヴェッシュ・リドリアーヌがランベルに物騒な事を目で語りかけてくるのもあり、気が遠くなりそうだ。
「殿下、失礼ながら発言してもよろしいでしょうか。申し上げたい事がございます」
「アランヴェッシュか。いいぞ許す。この女を叩きのめしてくれ!そして罪を自覚させ謝罪させろ!罪を認めたら牢へ投獄しろ!!!」
「アランヴェッシュ様……!お願いしますぅ!」
猫撫で声でアランヴェッシュへ抱き着くも
「お離しください。私は結婚しておりますので、不愉快です」
バッサリと切られたマリアベル。
「過去に私も何度も申し上げておりますが、事実彼女は殿下の婚約者では無かったのですよ 。現に彼女も既婚者です」
王子とマリアベルは、彼女が既婚者という事実にキョトンとしている。
何を言ってるのか解らないとでもいいたそうだ。
その2人の反応を見たアランヴェッシュからはプツンと何かが切れる音が聞こえた。
「何度も何度も申し上げておりますが……ベルは俺の嫁だ!殿下に俺の婚約者だと紹介した時から思ってたが!ベタベタベタベタと人の婚約者に触れるな!勝手に勘違いして聞く耳持たねえし、色々とベルに贈り物するわ、口説くわでいつ殺してもおかしくないくらい腸煮えくり返ってるんだぞ!?あと!数ヶ月前に結婚したと2人で報告しただろ!?聞いてなかったのか!?それともただの馬鹿なのか!?」
「ついでに私も言わせていただきますが!……私も何度も何度も申し上げましたよ!?それに、花束やらドレスやらを婚約者でも無い人から贈られるのは気持ち悪いわ!!それに!私は騎士科在籍の女性達の臨時講師!!受け持ってる授業がない限りは騎士の詰所で仕事!!……卒業式には臨時講師したから招かれてるだけ!お二人共、その耳はお飾りなのですか!?要らないなら即刻削ぎ落としますよ!?……あと、マリアベル様!いつまでアッシュにくっ付いてるのですか!今すぐに私の旦那様から離れてくれませんか!?」
今まで静まり返っていた会場からはなんとも言えない生暖かい視線が王子とマリアベルへ注がれる。
そろりとアランヴェッシュから離れたマリアベルと王子は羞恥で顔を染め、言葉が告げないようだ。
「……愚息がすまぬな、ランベルにアランヴェッシュ。……いやほんと申し訳ないと思ってるから、早いとこその殺気抑えてくれんか?」
タイミングを見計らったかのように陛下が兵士を連れて(単純に先程の怒涛の口撃に登場するタイミングを失ったのだろう)現れた。
「……陛下何してたんですか。遅いです。それと、俺達しばらく仕事しませんからね」
「それは……、いや、はい。わかった、わかったから存分に休んでくれ」
国のトップから言質を取ったので、心置き無く休めることが確定した。
「ねえ、アッシュ。この馬鹿達のせいで行けなかった新婚旅行にでも行きましょうか」
「あー……いいなそれ。いくか」
王子とマリアベルが兵士に連れてかれる中、どこ行こうかしらと相談する二人は既にお互いだけの世界だ。
既に混沌としている卒業式と婚約破棄騒動(笑)は、騒動を起こした王子が連行されるという異常な光景で幕を下ろした。
これ以降人の恋路(というか新婚生活)を邪魔する奴は、たとえ馬でも鹿でも蹴られてしまうと人々の記憶に刻まれ、後に語り継がれていくこととなった。
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