欲望

♚ゆめのん♚

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3話 崩壊

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〇 喫茶店「和」

“カランカラン”

喫茶店「和」のドアか勢い良く開く。

絵梨花が慌ててお店に入ってくる。

凛「どうしたの?そんな慌てて」
絵梨花「凛、冷静になって聞いて」
凛「うん。聞くよ」

絵里香は黒い小さめのリュックから
1枚の紙を取り出し紙を開きカウンター席に置く。

『 橘 凛 さんへ。
    トラウマは克服されましたか。
    あなたを近々、取りにいきます。
    では、またお会いしましょう   』

凛への脅迫文の内容が手書きで書いてあった。
それを、幹人も興味深々に見ている。


これは、え、、なんで絵梨花が、、

幹人「どうしてそんな紙持ってるの?」
絵梨花「再婚した父の手帳からこの紙が落ちたの」
凛「え、絵梨花のその再婚したお父さんってキャバクラの...」
絵梨花「そう。あいつが犯人なのかもしれない!」


“カランカラン”

ビシッとスーツを着ている大我さんがお店に入ってくる。

絵梨花「大我!」
大我「おぉ。絵梨花」
凛「大我さん、、、」
大我「キュルキュルな凛ちゃんはレアだなぁ」

幹人が大我を睨みつける。

幹人「なんか、脅迫文の下書きが
           絵梨花さんの新パパの手帳から出てきたって」

大我「あ、、」

何か知ってそうな顔をした大我さん。
こうゆうのに敏感な私。

大我「何かの間違いじゃないか?」

完全に怪しい。
本当か?とか言う所をなぜ1言目「あ、、」だったのだろうか。

凛「大我、、」

と言いかけた時、幹人が割って入る。

幹人「まぁ、どんな形であれ、
           その絵梨花さんの新パパは関わってるんでしょ。
           明日お店休みだし、呼んだらどうです?」
絵梨花「忙しい人だけど呼んでみる」
凛「絵梨花、お願い」

私は、大我さんを疑うばかりで
この時は何かの間違いだと信じるしかなかった。





~翌日~

新宿の今日の天気はどんより曇り空が広がっている。
そんな中、カラスが鳴いて飛び回っている。

〇喫茶店「和」

喫茶店の「和」のドアには定休日の看板がかけてある。

大我は、カウンターに座りアイスコーヒーを飲んでいて
カウンター越しに幹人と凛が立っている。

店内は地獄みたいな雰囲気が流れていた。

いつもなら、わちゃわちゃしていて
うるさい位に騒がしいはずだが、
今日ばかりは気持ちが悪いぐらいに静寂だ。

昨夜、祖父母に聞いてみたが何も知らないようだった。
この目の前にいる大我さんは何を隠しているのだろうか。


“カランカラン”

絵梨花とスーツを着ている絵梨花の新パパの田中真司が、ゆっくりと入ってきた。

絵梨花「呼んできたよ」
凛「絵梨花、ありがとう」

真司「手紙のことかい?」
幹人「それ以外、何があるって言うんだよ」

真司は凛の真向かいのカウンターの席に座る。

真司「凛ちゃん。」
凛「なっ...なんですか...」
絵梨花「あの手紙を書いたのも、凛のお父さんを殺したのも貴方なの?」

真司は隣に座っている大我の方を見る。

真司「大我。もう時効だ。」
大我は、静かに頷いた。

真司「もう20数年前になるか。
           当時、俺はホストの黒服をしていてな。
           まだ無名の新人ホストから
           客との間の子供が生まれていて、どうしたらいいかという相談を受けた。
           俺はそいつに売れる見込みがあると思ったから 
           離婚させて、その子供のお父さんになったんだ。
           なぁ、大我」

は?え?大我さんと絵梨花が親子?どうゆうこと?
          

絵梨花は、驚いた表情をし、口を手で塞いでいた。

絵里香「私のお父さんって大我?大我なの?」

大我さんは黙っていた。

絵梨花「なんか言ってよ!大我!」

大我は、目の前のアイスコーヒーを一口飲んで重い口を開けた。

大我「だから、枕もしなかった。
            俺は絵梨花の父なんだよ」

絵梨花は、唇を噛んで涙目でお店を風の様に何も言わずに走って出ていった。

凛「絵梨花!!」
私は、大声で名前を呼ぶことしか出来なかった。 

大我も追いかけるなんて事はしなかった。

こんな時でも冷静で落ち着いている幹人が口を開く。

幹人「その大我さんの話と今回の件、何か関係があるんですか?」
真司「関係あるよ。
           大我が売れ始めたちょうど3年前、その話を公にしようとした
           2人の情報屋が、凛ちゃん、あんたの両親なんだよ」

言葉に詰まる。
凛「それで殺したの?」
真司「俺は、指示しただけさ」

そう言ってカウンター席で足を組む真司。

凛「指示?」
真司「そう。殺した奴はもういないよ。そいつは殺ったから」

幹人「そうゆうことか。」

実質、それって真司さんに殺されたのと同じじゃん。

凛「でも、大我さんが脇腹を刺されたのは?」
大我「それは、、」
真司「こいつがホスト辞めるとか言い出したから似たようにしただけ」

凛は、涙目になりながら大我さんを見つめる。

絵里香に、、私たちに、、
大我さんは伝えようとしてたのかな?

真司「凛ちゃん。
         これを聞いたってことは消えてもらわないとなぁ」

真司は、ポケットからカッターナイフを取り出し
カウンターから身を乗り出し、凛へ向ける。

大我「真司さん!やめてください!」

真司「黙れ」

真司は、そのまま凛を切りつけようとした時、幹人が凛の前に立ち
手首を切りつけられる。

凛「いやあああああ!!!!」

そこに、2階から凛の祖父が降りてくる。

凛の祖父「君たち何をやってるのかね」
真司「え。なんで貴方が?」
凛の祖父「この子の祖父でね。消えてもらおうかぁ」

悪魔みたいな微笑みを浮かべる凛の祖父。

こんなに怖いおじいちゃんは見たことが無かった。

真司は、カッターナイフを床に捨て慌てて大我と店を出る。


凛「おじいちゃん。ありがと」
凛の祖父「ううん。それより幹人くん手首大丈夫かね?」
幹人「あ、痛いですけど大丈夫っす」

凛の祖父は、棚の中にある救急箱を取り出し幹人の手当てをする。

凛「おじいちゃん。もしかして聞いてた?」
凛の祖父「うん。全部聞いていたよ。」
凛「そっか。おじいちゃんの知り合い?」
凛の祖父「知らない人達だなぁ」
幹人「手当て、ありがとうございますっ。でも、知ってるみたいな感じでしたよね」
凛の祖父「昔、色々やってたからのぉ」

一方的に知られてるって...おじいちゃん、もしかして凄い人なのかも....

凛の祖父「凛。お前は生きてくれ。
                   やり返したい気持ちもわかるけど..これ以上失うのはもう嫌なんだ」

どこか切ない顔をしている凛の祖父。

凛「わかった」

わかっている。けれど、わからない。

絵梨花のお父さんが大我さん。
その大我さんがホストを続ける為に
真司さんに絵梨花を渡したという情報を
公にしようとしたから殺された。こんな事実、信じたくもない。
おまけに幹人くんも傷つけられた。

生きてくれと言われても、今は生きた心地がしなかった。

生きた心地がしない1日が溶けるように過ぎていく。

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