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第五章 教官ツルカ率いるギルド、危険種と遭遇する
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「あ、そういえばツルカさん。昨日、騎士団に連行されていましたが、結局なんだったんですか?」
「おい、あんたの言い方だと犯罪者みたいになるからやめろ」
「じゃあどうして」
「いやな、今日から始まる冒険者昇格試験の教官が不足していて、急遽、私がすることになったんだ」
「まあ、ツルカさんが!」
受付嬢はどこか如何わしそうにしていたが、それも僅かの間だった。
「でも確かに、秀才なツルカさんなら当然ですね。街中でかなり有名ですもの。騎士団が臨時士に推薦するのも納得です」
「だけどな……おかしいよ。こんな私に! 子どもに騎士団に入れって言うのも……」
ツルカは肩を落として、痛切に訴える。
「んでだ、まあ、こいつらが」
渋々といったツルカの表情は途端に柔らかくなり、心からの笑声を漏らす。
「私が担当することになった試験用ギルドのメンバーだっ」
ツルカは担当することになった三人のメンバーを指差しながら、あどけなく破顔した。
「そうでしたか! これまた誠実そうな方々ばかり!」
受付嬢はジンとナユ、マリナの肩に腕を回してぎっしり引き寄せると、輪になって何やら話し始める。ツルカに極力聞こえないくらいに声を潜めて───
「大丈夫よ~。ツルカさん、あー見えてもの凄く優秀よ。子どもだからって心配しなくても、きっとあなた達は昇格できるわっ。必死にあなた達をサポートしてくれるって」
「は、はい。私も、ツルカちゃんの事は信頼しています」
「確かに品は欠如しているわ。あんなにも優艶だけど、ちょっと男っぽい。でも、困っている人を見過ごせない篤実な子なのも事実。だから、困ったら頼りなさい。きっと何でも助けてくれ─────あはぁ~」
ツルカはがっしりと受付嬢の襟刳りを掴み、三人から引き離す。
「聞こえてるんだよ、バカタレが。確かに困ったら助けるけど、あくまでも試験だ。頻繁に助けたら意味ないだろ。ほら、とっととあんたは自分の持ち場に戻りやがれ」
氷河のように冷ややかな目でツルカは言うと、受付嬢は子どものようにはしゃぎだす。
「いやぁ、ツルカさん冷たい~! ……うっ、ちょ、シンプルに首が締まりそうなんで、離していただけませんか。あのツルカ……さん? ちょ、ちょちょ苦しい─────」
ツルカは受付嬢の襟刳りを掴みながら、地面を引きずっていく。三人はきょとんとしていると、しばらくして使命を全うしたように清々しい表情でツルカが戻ってくる。
「ふう、ゴミを片すのは疲れるな~」
一汗かいたツルカは肩を回しながら、笑顔で三人に言う。
「せめて人扱いはしてあげなよ。仲がいいのは良いけど~」
「仲がいいっていうか……まあ、いいや。とりあえずクエスト見て回ろうぜ」
「そうだな、人がもっと来る前にとっとと目を通しておこう」
改めてツルカ達は手分けして、更新されたクエストボードを総覧する。
「あ、これとかどう?」
目を煌めかせながら、早速ナユは意気揚々と一枚の張り紙に指差した。
「うーん、どれどれ」
内容はノリマルンナ地方のシルフ平原に生息する……粘着性の高い液状の魔物。
「……バカ言うな。そいつは平民も包丁さえ持っとけば倒せるレベルだろうが。お前、なんの得点にもならんぞ……Fランククエストだし。横着しようとすんなー」
「はいーそうですよねー……」
分かりきった返答に、ナユは下がり目で愛想笑いを浮かべてどこかへ行ってしまった。
「ったく馬鹿だなあいつー。さて、いいクエストは────げっ……」
ツルカは目に付いた一枚の張り紙に、どっと冷や汗をかいた。それには、砂漠地帯の爆破跡調査と、鳴り物入りに記されている。
「……心当たりしかねえな」
危険度はBと記されているが、時と場合により難易度は変動する可能性があるらしい。なんせあの爆発跡だ。危険種の可能性を懸念しているのだろう。
「あははー危険種だな、これはきっと」
《あんなところに危険種が現れてたまるもんですか。バカなマスターのせいなので、みなさんは安心して調査してほしいものです》
ニコッとツルカは目尻を吊り上げると、拳骨をかましたそうに握り拳を作る。
「ちょっと失礼」
何となく腹立たしい口吻で、ツルカの肩を引いて男が割り込む。男はその目立った張り紙を剥がし取ると、しれっとした表情で立ち去ろうとする。
「──ち」
ツルカはそのクエストを受けるつもりすらなかったが、何故か心底気分が悪かった。
「おい、お前」
今にも殴りに掛かりそうな殺気立った声で、ツルカは男を呼び止める。
「おい、あんたの言い方だと犯罪者みたいになるからやめろ」
「じゃあどうして」
「いやな、今日から始まる冒険者昇格試験の教官が不足していて、急遽、私がすることになったんだ」
「まあ、ツルカさんが!」
受付嬢はどこか如何わしそうにしていたが、それも僅かの間だった。
「でも確かに、秀才なツルカさんなら当然ですね。街中でかなり有名ですもの。騎士団が臨時士に推薦するのも納得です」
「だけどな……おかしいよ。こんな私に! 子どもに騎士団に入れって言うのも……」
ツルカは肩を落として、痛切に訴える。
「んでだ、まあ、こいつらが」
渋々といったツルカの表情は途端に柔らかくなり、心からの笑声を漏らす。
「私が担当することになった試験用ギルドのメンバーだっ」
ツルカは担当することになった三人のメンバーを指差しながら、あどけなく破顔した。
「そうでしたか! これまた誠実そうな方々ばかり!」
受付嬢はジンとナユ、マリナの肩に腕を回してぎっしり引き寄せると、輪になって何やら話し始める。ツルカに極力聞こえないくらいに声を潜めて───
「大丈夫よ~。ツルカさん、あー見えてもの凄く優秀よ。子どもだからって心配しなくても、きっとあなた達は昇格できるわっ。必死にあなた達をサポートしてくれるって」
「は、はい。私も、ツルカちゃんの事は信頼しています」
「確かに品は欠如しているわ。あんなにも優艶だけど、ちょっと男っぽい。でも、困っている人を見過ごせない篤実な子なのも事実。だから、困ったら頼りなさい。きっと何でも助けてくれ─────あはぁ~」
ツルカはがっしりと受付嬢の襟刳りを掴み、三人から引き離す。
「聞こえてるんだよ、バカタレが。確かに困ったら助けるけど、あくまでも試験だ。頻繁に助けたら意味ないだろ。ほら、とっととあんたは自分の持ち場に戻りやがれ」
氷河のように冷ややかな目でツルカは言うと、受付嬢は子どものようにはしゃぎだす。
「いやぁ、ツルカさん冷たい~! ……うっ、ちょ、シンプルに首が締まりそうなんで、離していただけませんか。あのツルカ……さん? ちょ、ちょちょ苦しい─────」
ツルカは受付嬢の襟刳りを掴みながら、地面を引きずっていく。三人はきょとんとしていると、しばらくして使命を全うしたように清々しい表情でツルカが戻ってくる。
「ふう、ゴミを片すのは疲れるな~」
一汗かいたツルカは肩を回しながら、笑顔で三人に言う。
「せめて人扱いはしてあげなよ。仲がいいのは良いけど~」
「仲がいいっていうか……まあ、いいや。とりあえずクエスト見て回ろうぜ」
「そうだな、人がもっと来る前にとっとと目を通しておこう」
改めてツルカ達は手分けして、更新されたクエストボードを総覧する。
「あ、これとかどう?」
目を煌めかせながら、早速ナユは意気揚々と一枚の張り紙に指差した。
「うーん、どれどれ」
内容はノリマルンナ地方のシルフ平原に生息する……粘着性の高い液状の魔物。
「……バカ言うな。そいつは平民も包丁さえ持っとけば倒せるレベルだろうが。お前、なんの得点にもならんぞ……Fランククエストだし。横着しようとすんなー」
「はいーそうですよねー……」
分かりきった返答に、ナユは下がり目で愛想笑いを浮かべてどこかへ行ってしまった。
「ったく馬鹿だなあいつー。さて、いいクエストは────げっ……」
ツルカは目に付いた一枚の張り紙に、どっと冷や汗をかいた。それには、砂漠地帯の爆破跡調査と、鳴り物入りに記されている。
「……心当たりしかねえな」
危険度はBと記されているが、時と場合により難易度は変動する可能性があるらしい。なんせあの爆発跡だ。危険種の可能性を懸念しているのだろう。
「あははー危険種だな、これはきっと」
《あんなところに危険種が現れてたまるもんですか。バカなマスターのせいなので、みなさんは安心して調査してほしいものです》
ニコッとツルカは目尻を吊り上げると、拳骨をかましたそうに握り拳を作る。
「ちょっと失礼」
何となく腹立たしい口吻で、ツルカの肩を引いて男が割り込む。男はその目立った張り紙を剥がし取ると、しれっとした表情で立ち去ろうとする。
「──ち」
ツルカはそのクエストを受けるつもりすらなかったが、何故か心底気分が悪かった。
「おい、お前」
今にも殴りに掛かりそうな殺気立った声で、ツルカは男を呼び止める。
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