拾ったネコがくれたもの

小夏 礼

文字の大きさ
6 / 8

6.ノアの決意

しおりを挟む

先日、舞加の幼馴染という女が来た。
舞加と違い、見た目は少々派手な女だったが、中身は良い女のようだ。
舞加のことをとても思いやっているのがわかった。
舞加の方も、あの女のことが好きなのがわかったからな。
あの舞加が好きになる女だ。良い女に決まっている。

最初はどんな奴なのかわからず少し距離をとっていたが、
良い奴だとわかったので、吾輩を撫でさせてやった。
吾輩の毛並みの素晴らしさに気づいた点を見ても、良い奴だろう。
この毛並みを整えた、舞加を褒めるがいいぞ!

舞加とこの女の話を舞加の傍で聞いてみた。
その内容を繋げて考えてみると、
舞加が時々悲しそうな、痛みを耐えるような顔をする原因は、
舞加の親と姉の存在のようだ。

今まで会ったことはないのだから、別の場所に住んでいるのだろう。
詳しくはよくわからなかったが、舞加の親は舞加の良さを理解しない奴らで、
舞加の姉は性悪らしい。

なんてことだ。
舞加はそいつらからいじめられていたのではないのか?
その時のことを、時々思い出してあの表情をしていたのではないのか?

舞加のすばらしさを理解できないなど、おろかなことだ。
こんなに他のものに優しく、愛情豊かな存在などなかなかいないのだぞ!?
あのブラッシング技術も滅多にお目にかかれないというのに。


ふむ。
舞加には、舞加を認めてくれる存在が必要なのだろう。
吾輩やあの女もいるが……ここは同じ人間の男もいた方が良いのではないだろうか。

確か人間は1人の相手と結婚というものをして一緒に住むらしい。
一緒に住む男がいれば、舞加ももっと安心できるであろう。

となれば、舞加に似合いの男を見繕わなければ。
どんな男が良いか……
人間の男の良さはどういったものなのかわからないが、舞加には穏やかな男が良いような気がする。吾輩も騒がしいのは嫌いだしな。
それに吾輩を邪険にしない奴でなければならないから、ネコ好きの奴だな。
吾輩の撫で方も重要だ。

近所を散歩している時に会っている奴で誰かいないだろうか。
そいつの家の庭に行くといつも撫でてくれる男は、撫で方は良いがやや力が弱いし、年も舞加より年上すぎるからダメだろう。公園でよく会う男は、撫で方が雑で力加減も下手で、年も舞加より年下すぎるからダメだな。魚屋の前で会う男は、撫で方はやや雑だが、力加減はできている。年は舞加よりやや年上という感じだが、声がうるさいのが気になる。家でもあの声の大きさだと……舞加が疲れてしまうからダメか。吾輩も嫌だな。

うーん、他の男、他の男……
あ、時々道端で会う男はどうだろう?力加減は良いし、年も舞加に近いような気がする。声も普通の大きさだし、雰囲気も悪くないし、何より撫で方が良い。

うむ。あの男なら良いかもしれん。
時期を見て、舞加をあやつと会わせてみようか。
実際会って見なければ、相性がわからないからな。

吾輩の大切なご主人。
舞加がもっと笑顔でいられるように、吾輩がんばるぞ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

孤児が皇后陛下と呼ばれるまで

香月みまり
ファンタジー
母を亡くして天涯孤独となり、王都へ向かう苓。 目的のために王都へ向かう孤児の青年、周と陸 3人の出会いは世界を巻き込む波乱の序章だった。 「後宮の棘」のスピンオフですが、読んだことのない方でも楽しんでいただけるように書かせていただいております。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

遊鷹太
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

身分違いの恋

青の雀
恋愛
美しい月夜の晩に生まれた第1王女ベルーナは、国王と正妃の間に生まれた初めての娘。 権力闘争に巻き込まれ、誘拐されてしまう。 王子だったら、殺されていたところだが、女の子なので、攫ったはいいものの、処理に困って、置き去りにされる。 たまたま通りすがりの冒険者家族に拾われ、そのまま王国から出る。 長じて、ベルーナの容姿は、すっかり美貌と品位に包まれ、一目惚れ冒険者が続出するほどに 養父は功績を讃えられ、男爵の地位になる。 叙勲パーティが王宮で開かれ、ベルーナに王子は一目ぼれするが、周囲は身分違いで猛反対される。

残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……

処理中です...