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第2話 義妹の疑念
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ベンチに腰掛け姉が落ち着くのを待っていると、小道の下の方から義妹の深雪の姿が見えて来た。
「小百合お姉さん、如何したの?」
「そこの小道を昇る途中で、木の根に躓いて足首を少し捻ったようなんだよ」
「あら、それは大変だわ。 小百合お姉さん、大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。 もう立てると思うわ」
そう言うと、姉の小百合は俺の脚の上から降りようと、痛めていた方の足を地面へと着いてしまった。
痛いっ...
そう言った瞬間、背中から倒れ込みそうになったので、俺は慌てて立ち上がると姉の背中を支えてやった。
「もう、小百合お姉さん無理しちゃダメよ」
と、義妹の深雪に窘められた姉の小百合は...
「ごめんなさい」
と、素直に謝っていた。
「このままじゃ、歩くのは無理そうだから。 隆が背負って行くしかないわね」
「そうだな」
俺は支えていた姉の小百合を、もう一度ベンチに座らせると屈んで背中を向けた。
すると直ぐに、姉の小百合は身体を預けて両腕を俺の首へと絡めてきた。
「じゃぁ、帰りましょうか」
義妹の深雪に促されて、俺は姉の小百合を背負った状態で小道を下り宿の離れへと戻った。
離れに戻ると暖炉のある部屋へと向かい、俺は背負っていた姉の小百合を暖炉近くのソファーへと座らせた。
「私、濡らしたタオルを取って来るわ」
そう言うと、義妹の深雪はキッチンの方へと行ってしまった。
「隆...背負ってくれて、ありがとう。 重かったでしょう私」
「そんなの事ないよ。 逆にこんなに軽いのかと思ったくらいだもの」
「ありがとう。 隆は部活で鍛えているものね」
そんな話を、俺が姉の小百合としていると、義妹の深雪がタオルと氷を浮かべた水の入った洗面器を持って来た。
「はい、隆...後は、宜しくね」
と、言って...徐に、それを俺の方へと渡してきた。
冷たい水には、触りたくないということだろう。
俺は仕方なくタオルと洗面器を受け取ると、氷の浮かんだ冷たい水にタオルを浸して絞ると、姉の痛めた足首にそっと当ててやった。
「冷たくて気持ちがいいわ」
「それはなにより。 俺には冷たすぎるけどね」
そうして冷やし過ぎないようにしながら、タオルを交換していると...
「ただいまぁ~」
と、言って...義妹の深雪が部屋へと入ってきた。
「あれっ、深雪。 居なくなったの気が付かなかったよ」
「わざと、そ~と出ていったからね。 はい、これ...叔父さんの所から貰って来たわよ」
「あ~、湿布か。 寒い中ありがとう。 深雪も気が利くようになったんだな」
俺にそう言われた深雪は頬を膨らませながらも、満更ではない笑顔を見せていた。
その日の夕食を、離れのダイニングで食べた俺達は、その後は思い思いに過ごしていた。
ただ、姉の小百合は足がまだ痛むのか、早々に自分の部屋に入ってしまった。
俺と深雪は暖炉のある暖かい部屋で、深雪は受験勉強を頑張り、俺は持って来ていたライトノベルを読んでいた。
「ねぇ、隆...」
「なに?」
深雪の呼びかけに、俺は言葉を質問で返す。
「ここを、教えて欲しいの」
如何やら、勉強内容の事らしい。
俺は、昼間...姉の小百合をお姫様抱っこしていたことを聞かれるのかと思い身構えたのだが、杞憂だったようで安心した。
「何処どこ...」
「ここなんだけれど」
深雪の隣に座り、質問に答えて行く。
「ここまで出来れば、合格は間違い無しじゃないかな」
「隆は特待生だから良いけど、私は一般入試なんだから上位で合格するにはまだまだよ」
俺からすれば合格できれば良いのだが、深雪は順位にも拘りが有るようだった。
「深雪、この辺で少し休憩しようか」
「そうね、余り根を詰めても逆効果になるかも知れないし」
そう言うと、深雪は立ち上がりキッチンの方へと歩いて行った。
10分ほどすると、トレーに湯気の漂うマグカップを二つ乗せて深雪が帰ってきた。
「もう、お姉さん...寝ていたわ」
「そうか...。 明日には、足の痛み取れると良いんだけね」
深雪は俺の方へと近づいて来るとローテーブルの上にトレーを乗せた。
そして、俺の隣に座るとマグカップを一つ取り、それを俺に渡してきた。
「おっ、ありがとう。 これは、ホットココア?」
「そうよ。 頭を使ったから、甘いものをね」
暖炉の炎の暖かさを肌で感じながら、ココアの暖かさをのど越しに感じる。
ただ先程の勉強の時よりも遥かに深雪は密着して俺の隣に座っていた。
そのことで、違う暖かさも肌で感じていた。
「ねぇ、如何して昼間は小百合お姉さんを、ベンチでお姫様抱っこしていたの」
急に深雪がそんな話をして来たので、俺は飲んでいたココアを吹き出しそうになった、が...何とかこらえると、深雪の方へと顔を向けた。
「お姉さんの表情がね、もの凄く艶々だったの」
この時の俺は、女の子の観察眼は侮れないと戦慄を覚えていた。
「小百合姉さんをお姫様抱っこしたのは展望台に着く手前で、ベンチで休ませた方が良いと思ったからだよ。 俺が急に抱っこしたから照れてたんじゃないかな」
「ん~、そうなのかなぁ」
「きっと、そうだよ。 明日の朝、小百合姉さんに聞いてみれば」
この日はその後、受験勉強はすることなくそれぞれの部屋に入って就寝した。
「小百合お姉さん、如何したの?」
「そこの小道を昇る途中で、木の根に躓いて足首を少し捻ったようなんだよ」
「あら、それは大変だわ。 小百合お姉さん、大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。 もう立てると思うわ」
そう言うと、姉の小百合は俺の脚の上から降りようと、痛めていた方の足を地面へと着いてしまった。
痛いっ...
そう言った瞬間、背中から倒れ込みそうになったので、俺は慌てて立ち上がると姉の背中を支えてやった。
「もう、小百合お姉さん無理しちゃダメよ」
と、義妹の深雪に窘められた姉の小百合は...
「ごめんなさい」
と、素直に謝っていた。
「このままじゃ、歩くのは無理そうだから。 隆が背負って行くしかないわね」
「そうだな」
俺は支えていた姉の小百合を、もう一度ベンチに座らせると屈んで背中を向けた。
すると直ぐに、姉の小百合は身体を預けて両腕を俺の首へと絡めてきた。
「じゃぁ、帰りましょうか」
義妹の深雪に促されて、俺は姉の小百合を背負った状態で小道を下り宿の離れへと戻った。
離れに戻ると暖炉のある部屋へと向かい、俺は背負っていた姉の小百合を暖炉近くのソファーへと座らせた。
「私、濡らしたタオルを取って来るわ」
そう言うと、義妹の深雪はキッチンの方へと行ってしまった。
「隆...背負ってくれて、ありがとう。 重かったでしょう私」
「そんなの事ないよ。 逆にこんなに軽いのかと思ったくらいだもの」
「ありがとう。 隆は部活で鍛えているものね」
そんな話を、俺が姉の小百合としていると、義妹の深雪がタオルと氷を浮かべた水の入った洗面器を持って来た。
「はい、隆...後は、宜しくね」
と、言って...徐に、それを俺の方へと渡してきた。
冷たい水には、触りたくないということだろう。
俺は仕方なくタオルと洗面器を受け取ると、氷の浮かんだ冷たい水にタオルを浸して絞ると、姉の痛めた足首にそっと当ててやった。
「冷たくて気持ちがいいわ」
「それはなにより。 俺には冷たすぎるけどね」
そうして冷やし過ぎないようにしながら、タオルを交換していると...
「ただいまぁ~」
と、言って...義妹の深雪が部屋へと入ってきた。
「あれっ、深雪。 居なくなったの気が付かなかったよ」
「わざと、そ~と出ていったからね。 はい、これ...叔父さんの所から貰って来たわよ」
「あ~、湿布か。 寒い中ありがとう。 深雪も気が利くようになったんだな」
俺にそう言われた深雪は頬を膨らませながらも、満更ではない笑顔を見せていた。
その日の夕食を、離れのダイニングで食べた俺達は、その後は思い思いに過ごしていた。
ただ、姉の小百合は足がまだ痛むのか、早々に自分の部屋に入ってしまった。
俺と深雪は暖炉のある暖かい部屋で、深雪は受験勉強を頑張り、俺は持って来ていたライトノベルを読んでいた。
「ねぇ、隆...」
「なに?」
深雪の呼びかけに、俺は言葉を質問で返す。
「ここを、教えて欲しいの」
如何やら、勉強内容の事らしい。
俺は、昼間...姉の小百合をお姫様抱っこしていたことを聞かれるのかと思い身構えたのだが、杞憂だったようで安心した。
「何処どこ...」
「ここなんだけれど」
深雪の隣に座り、質問に答えて行く。
「ここまで出来れば、合格は間違い無しじゃないかな」
「隆は特待生だから良いけど、私は一般入試なんだから上位で合格するにはまだまだよ」
俺からすれば合格できれば良いのだが、深雪は順位にも拘りが有るようだった。
「深雪、この辺で少し休憩しようか」
「そうね、余り根を詰めても逆効果になるかも知れないし」
そう言うと、深雪は立ち上がりキッチンの方へと歩いて行った。
10分ほどすると、トレーに湯気の漂うマグカップを二つ乗せて深雪が帰ってきた。
「もう、お姉さん...寝ていたわ」
「そうか...。 明日には、足の痛み取れると良いんだけね」
深雪は俺の方へと近づいて来るとローテーブルの上にトレーを乗せた。
そして、俺の隣に座るとマグカップを一つ取り、それを俺に渡してきた。
「おっ、ありがとう。 これは、ホットココア?」
「そうよ。 頭を使ったから、甘いものをね」
暖炉の炎の暖かさを肌で感じながら、ココアの暖かさをのど越しに感じる。
ただ先程の勉強の時よりも遥かに深雪は密着して俺の隣に座っていた。
そのことで、違う暖かさも肌で感じていた。
「ねぇ、如何して昼間は小百合お姉さんを、ベンチでお姫様抱っこしていたの」
急に深雪がそんな話をして来たので、俺は飲んでいたココアを吹き出しそうになった、が...何とかこらえると、深雪の方へと顔を向けた。
「お姉さんの表情がね、もの凄く艶々だったの」
この時の俺は、女の子の観察眼は侮れないと戦慄を覚えていた。
「小百合姉さんをお姫様抱っこしたのは展望台に着く手前で、ベンチで休ませた方が良いと思ったからだよ。 俺が急に抱っこしたから照れてたんじゃないかな」
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この日はその後、受験勉強はすることなくそれぞれの部屋に入って就寝した。
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