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第4話 二人の密約
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私は、小百合お姉さんから聞かされた思惑の説明に困惑していた。
“二人で共有しよう”なんて...
そんな事を、私に出来るのかしら?
小百合お姉さんの説明では、このお正月を利用して隆と一線を越える計画を立てていたようだ。
その為に、叔父さんの経営する温泉宿を選んだとも言っていた。
それはこの宿に、いま私達が宿泊している離れが造られていて、外部の目を気にしなくても良いからという至極当然な理由からだった。
私は、如何したいんだろう...。
自分の部屋に帰ってきた私は思考錯誤していた。
小さい頃に一緒に住むようになって、学校も一緒に通って本当の姉妹の様に育ってきた私達。
でも、隆は...。
最初に会った時には、小さいながらも私は隆の事を好きになっていたと思う。
そう、一目惚れだった。
だから、小学校も中学校も片時も離れずにいたのだ。
他の誰かに取られたく無くて。
小百合お姉さんが、本当のライバルだったなんて微塵んも思っていなかった。
どうしよう、私!
どうしたいの、私は...。
小百合姉さんの言葉が耳の奥で甦る......、
“深雪、あなたも自分の気持ちに素直になりなさい”
そうだ、私の隆に対するこの気持ちは誰にも負けていない筈だ。
そう、そのことに気付いた私は意を決して、再び姉の小百合の部屋へと向かった。
コンコン
「良いわよ」
姉の小百合の返事を聞いて、私は部屋のドアを開けると中へと足を踏み入れた。
そしてドアを閉めて、姉の座っている椅子の方へと向かう。
姉は窓際に置かれた籐で出来たテーブル・チェアーセットの椅子に座っていた。
「深雪、心は決まったみたいね」
「はい」
そこで、立ったまま返事をした私に姉が椅子に座るように促した。
私は椅子に腰かけると、姉に顔を向けて目を合わせると、もう一度しっかりと気持ちを言葉にして伝えた。
「私は、隆が大好きです。 愛かどうかはまだ確信が持てないけど、ずっと一緒にいたい。 誰にも渡したくないの...」
「深雪、あなたの気持ちは十分わかったわ。 それで、私の提案した事はどう思うのかしら」
「私は...、お姉さんの事も好きだし、お姉さんとなら......」
「じゃ、良いのね」
姉の小百合の問いかけに、深雪は小さく頷いた。
この時、姉と義妹による共同戦線が引かれたのだった。
そして、二人の密約は簡素な箇条書きで綴られていた。
一つ、抜け駆けをしない。
一つ、二人きりになりたいときは事前に相談する。
一つ、一線を越える時はお互いがいるところで。
ありきたりな内容ではあるが、二人にとっては重要な事柄だった。
この密約により、隆に対する二人のラブアタックが始まるのだった。
その頃、何も知らない隆は暖炉のある部屋でライトノベルを読み耽っていた。
「姉さんも深雪も遅いな」
そして、朝食を待たされてお腹が空いたのか、少し苛立ちを覚えているようでもあった。
そこへ、姉の小百合と深雪が二人揃って部屋の扉を開けて現れた。
「ごめんね、隆。 待たせてしまって。 朝食を食べに行きましょうか」
「ごめんね、隆」
二人の謝罪の言葉を聞いた隆は、しょうがないなと言う顔を向けると、二人の居る扉の方へと移動した。
「じゃぁ、行こうか」
本館の食堂で朝食を済ませて来た三人は、離れの暖炉のある部屋で珈琲を飲んでくつろいでいた。
そのくつろぎの時間を利用して、姉と義妹の二人は密約を実行する為の算段をしていた。
そんな事は知る由も無い隆は、珈琲を口に含むと外の雪景色を眺めていた。
二人は目配せをすると、姉の小百合が外の雪景色を眺めている隆に声を掛ける。
「ねぇ、隆。 珈琲のおかわりはいらない」
「そうだね、良いの」
「良いわよ。 マグカップを貸して」
隆からマグカップを受け取った姉の小百合はキッチンの方へ珈琲を取りに向かう。
姉の小百合のその行動を受けて...今度は、義妹の深雪が隆に近付くと小さな声で話しかけた。
「ねぇ、隆。 昨日は、展望台でお姉さんとキスをしていたんでしょう」
グフッ!
突然、昨日の出来事を指摘されて狼狽える隆。
そして、隆が声を掛けてきた深雪の方へ顔を向けた瞬間、深雪が隆にキスをした。
チュッ!
最初は唇が触れるだけにして、深雪は何度も感触を確かめている。
チュッ!
そして、意を決したのか舌を絡めたキスへと発展した。
「・・・・・」
予期せぬ急な深雪の行動に戸惑いを隠せない隆。
その時、キッチン側の扉が開き姉の小百合が入ってくる足音が隆の耳に届いた。
(やばい、やばい)
心の中で、叫ぶ隆だったが...細身の深雪が以外にもガッチリと抱きついたままなので身動きが取れない状態となっていた。
そこへ、姉の小百合が珈琲のおかわりを注いだマグカップの手に近づいてきた。
(やばい、もうダメだ)
深雪にキスで口を塞がれた状態の隆の元へとやって来た姉の小百合は開口一番...
「あらぁ、深雪も大胆になったわね」
その姉の言葉を聞いた隆は、益々思考を混乱させるのであった。
“二人で共有しよう”なんて...
そんな事を、私に出来るのかしら?
小百合お姉さんの説明では、このお正月を利用して隆と一線を越える計画を立てていたようだ。
その為に、叔父さんの経営する温泉宿を選んだとも言っていた。
それはこの宿に、いま私達が宿泊している離れが造られていて、外部の目を気にしなくても良いからという至極当然な理由からだった。
私は、如何したいんだろう...。
自分の部屋に帰ってきた私は思考錯誤していた。
小さい頃に一緒に住むようになって、学校も一緒に通って本当の姉妹の様に育ってきた私達。
でも、隆は...。
最初に会った時には、小さいながらも私は隆の事を好きになっていたと思う。
そう、一目惚れだった。
だから、小学校も中学校も片時も離れずにいたのだ。
他の誰かに取られたく無くて。
小百合お姉さんが、本当のライバルだったなんて微塵んも思っていなかった。
どうしよう、私!
どうしたいの、私は...。
小百合姉さんの言葉が耳の奥で甦る......、
“深雪、あなたも自分の気持ちに素直になりなさい”
そうだ、私の隆に対するこの気持ちは誰にも負けていない筈だ。
そう、そのことに気付いた私は意を決して、再び姉の小百合の部屋へと向かった。
コンコン
「良いわよ」
姉の小百合の返事を聞いて、私は部屋のドアを開けると中へと足を踏み入れた。
そしてドアを閉めて、姉の座っている椅子の方へと向かう。
姉は窓際に置かれた籐で出来たテーブル・チェアーセットの椅子に座っていた。
「深雪、心は決まったみたいね」
「はい」
そこで、立ったまま返事をした私に姉が椅子に座るように促した。
私は椅子に腰かけると、姉に顔を向けて目を合わせると、もう一度しっかりと気持ちを言葉にして伝えた。
「私は、隆が大好きです。 愛かどうかはまだ確信が持てないけど、ずっと一緒にいたい。 誰にも渡したくないの...」
「深雪、あなたの気持ちは十分わかったわ。 それで、私の提案した事はどう思うのかしら」
「私は...、お姉さんの事も好きだし、お姉さんとなら......」
「じゃ、良いのね」
姉の小百合の問いかけに、深雪は小さく頷いた。
この時、姉と義妹による共同戦線が引かれたのだった。
そして、二人の密約は簡素な箇条書きで綴られていた。
一つ、抜け駆けをしない。
一つ、二人きりになりたいときは事前に相談する。
一つ、一線を越える時はお互いがいるところで。
ありきたりな内容ではあるが、二人にとっては重要な事柄だった。
この密約により、隆に対する二人のラブアタックが始まるのだった。
その頃、何も知らない隆は暖炉のある部屋でライトノベルを読み耽っていた。
「姉さんも深雪も遅いな」
そして、朝食を待たされてお腹が空いたのか、少し苛立ちを覚えているようでもあった。
そこへ、姉の小百合と深雪が二人揃って部屋の扉を開けて現れた。
「ごめんね、隆。 待たせてしまって。 朝食を食べに行きましょうか」
「ごめんね、隆」
二人の謝罪の言葉を聞いた隆は、しょうがないなと言う顔を向けると、二人の居る扉の方へと移動した。
「じゃぁ、行こうか」
本館の食堂で朝食を済ませて来た三人は、離れの暖炉のある部屋で珈琲を飲んでくつろいでいた。
そのくつろぎの時間を利用して、姉と義妹の二人は密約を実行する為の算段をしていた。
そんな事は知る由も無い隆は、珈琲を口に含むと外の雪景色を眺めていた。
二人は目配せをすると、姉の小百合が外の雪景色を眺めている隆に声を掛ける。
「ねぇ、隆。 珈琲のおかわりはいらない」
「そうだね、良いの」
「良いわよ。 マグカップを貸して」
隆からマグカップを受け取った姉の小百合はキッチンの方へ珈琲を取りに向かう。
姉の小百合のその行動を受けて...今度は、義妹の深雪が隆に近付くと小さな声で話しかけた。
「ねぇ、隆。 昨日は、展望台でお姉さんとキスをしていたんでしょう」
グフッ!
突然、昨日の出来事を指摘されて狼狽える隆。
そして、隆が声を掛けてきた深雪の方へ顔を向けた瞬間、深雪が隆にキスをした。
チュッ!
最初は唇が触れるだけにして、深雪は何度も感触を確かめている。
チュッ!
そして、意を決したのか舌を絡めたキスへと発展した。
「・・・・・」
予期せぬ急な深雪の行動に戸惑いを隠せない隆。
その時、キッチン側の扉が開き姉の小百合が入ってくる足音が隆の耳に届いた。
(やばい、やばい)
心の中で、叫ぶ隆だったが...細身の深雪が以外にもガッチリと抱きついたままなので身動きが取れない状態となっていた。
そこへ、姉の小百合が珈琲のおかわりを注いだマグカップの手に近づいてきた。
(やばい、もうダメだ)
深雪にキスで口を塞がれた状態の隆の元へとやって来た姉の小百合は開口一番...
「あらぁ、深雪も大胆になったわね」
その姉の言葉を聞いた隆は、益々思考を混乱させるのであった。
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