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第2章 俺と幼馴染と異世界
1.
しおりを挟む(昨日の今日でちょっと頭が疲れたなー。
テストも三者面談も終わったってーのに。)
真司は結局寝不足のまま朝を迎えていた。
気持ちとは裏腹な清々しい朝である。
(実際問題、俺に何ができるのかなんて昨日の今日でなんも用意ができねーしな。。。)
寝起きの姿で姿鏡に映る自分をみる。
もう少し筋トレとかしておけばよかったと後悔した真司だった。
--------
普段通りの準備で家を出る。
そして隣の家に住んでいる悠理をピックアップする。
「お前なんだその荷物!?」
悠理の荷物はまるで計画的な家出少女の姿である。
いつものスクールバッグではなく
リュックにボストンバック2個、小さなバックも肩からぶら下げている。
「何入ってんだよ、こんなに」
「備えあれば憂いなしだと思って」
まぁ、そうともいうな。
とりあえずボストンバック一つとリュックは俺が持つことにして、学校へ向かう。
修学旅行の時期でもないこのタイミングで
この荷物を持ってるのはだいぶ違和感があるのだが、悠理は気にしていないようだ。
「深見に和田、なんだその荷物は」
玄関先で服装チェックをしていた担任に声をかけられる。
(やば、今日チェックの日か…)
うちの学校は抜き打ち検査がある。
検査さえなければ授業中のこの荷物は、俺と悠理のロッカーに押し込められるかと思っていたが、そもそもの段階でバレた。
「これは命を救い、生き延びるためのものです」
悠理は堂々と答える。
「誰の命を救うんだ、和田」
真っ当なツッコミだよ。先生。
「とりあえずその荷物の中身を見せなさい」
そこにはキャンプで使うような調理グッズ、寝袋や、包帯や絆創膏などのグッズがこんもりと入っている。
(いや、マジなやつじゃん…)
中身を見ないまま持ってきた俺がいうのもなんだけど、マジなやつじゃん。
「私はこれらを用いて私と真司の命を救うのです。1週間も前から準備してたんです」
悠理、淡々と答えているが
先生の求める回答にはないってないような気がするぞ。
「俺も知らずに運んでたのは悪いと思うけど、これらはちょっと…」
なんとか悠理と先生の間で及第点を見つけようとする俺。
「学校にいる間に起こる可能性があるの、これらは私の机の近くに置いておく。幸い私の机は一番後ろの窓際で、誰にも迷惑かけない」
あー、もうこれ意思固いやつだ。
こうなったら悠理は頑として譲らない。
先生も何が何だかわからない様子ではあるが、ぱっと見で危険物がないことを確認し、和田がそこまでいうならと俺の座席を悠理の隣にして監視としてつけることとして通してくれた。
いいのかよ、担任。
そして結局尻拭いは俺なのね。。。
クラスメイトからも
冷ややかな目で見られながらクラスに入る。
「おはよう。深見くんも大変だね」
そう話しかけてきたのは持田だった。
「まぁ、まだ人様には迷惑かけてないから。これくらいはどうってことないよ」
決まり文句のような返しをする。
持田は健二郎のことが好きで、健二郎がライバル視している悠理になにかと突っかかってくる。
「持田さんにも関係あるけど、私あなたまでは助けてられないので。自力で頑張って」
「どういうことよ」
「そのまんまの意味よ」
まったくもって伝わらなかったよな。
今にも持田さんが噛み付いてきそうな感じで悠理を睨む。
(この言葉足らずが、それじゃ何も伝わらねーだろ!)
「まぁまぁ、持田さん。
なんか悠理が悪い夢を見たみたいで、そのためにこんだけ用意したんだとよ。
まぁ、ちょっと邪魔になるだろうけど、気にしないでくれよな」
「深見くんも、つくづく彼女の尻拭いばっかりで大変ね」
「真司は悪くないわ、私の問題なの」
持田さんが は? という顔をしている。
まーた、わけわからんことを。。。
これ以上ややこしくさせないでくれるかなぁ!
始業5分前のチャイムがなる。
やっとこさ平和な時間がやってきた。
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