俺と幼馴染だけ、異世界の別の場所に転移したそうです

ふじ

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第2章 俺と幼馴染と異世界

12.

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「「行ってきます」」

カンパレリを出た俺たちは、冒険者ギルドへ向かう。

まだ街はスイッチが入ってないのか、
落ち着いているようだ。

今日はこの世界で言うところの金曜日で
週末にはよくここら辺では朝市が開催されているようだ。


「おはようございます」

俺たちは、ギルドに入り、受付のエルミンさんに声をかける。

「あのー、エルミンさん」
「私はシルミンと申します。何か御用でしょうか」

ええ、見た目エルミンさんなのに?
どう言うことだ??

「シンジさん、ユーリさん、おはようございます」
2階からエルミンが降りてきた。

ん???
目の前に同じ顔が2つも!?

「双子だったんですね」
悠理がエルミンさんに聞く。

「えぇ、彼女は双子の妹のシルミンよ。今は冒険者をしているのだけれど、たまにこうして受付を手伝ってもらってるの。今日はギルド会議で上がバタバタしてるから。」

「改めて、私はシルミン。ファミリー〔アルゲラ〕で弓使いをしているわ。またこうやって出会うこともあるかもしれないからよろしくね。見分けるポイントは私はピアスをしてるからそこかな。」

ファミリーとは、冒険者が4名以上集まった時に組めるものらしい。ファミリーを組む際にはギルドへ申請をしなければならない。

(弓使いかー、かっこいいなぁ。)

そういえば俺の召喚士って、具体的に何するんだ?
成り行きに乗っかって冒険者になったけど、召喚士って冒険の中じゃ何ができるのだ。

(まだまだ勉強が必要だな。)

「エルミンさん、今大丈夫ですか?」
「えぇ、朝の会議の準備がひと段落したところだから」
「私たち今日は色々と装備とか整えようと思って、シュリアさんからは〔ナルデレート〕をオススメされました。
けれど、ただ行ったところで何を買えば良いのか分からなくて。もしかしたらここで聞いてみたらわかるかなーと思いまして」

「ナルデレートなら、確かにピンからキリまで揃ってるから良いかもね。シルミンが受付やっておいてくれるなら、私も一緒に行くわ」

「しょうがない、高くつけとくね」

エルミンさんに見立ててもらいながら揃えられるなら安泰だ。

「じゃ、早速行きますか!」

---------------

「おう、いらっしゃい」

ガタイのいいおっさんが出迎えてくれた。

エルミンがナルデレートへ入る。
俺たちも続く。

「シンシアのところのお嬢ちゃんじゃねーか。もう冒険者やめてたと思ったけど?」

「私は違う、こっちが本命」

後ろにいた俺たちを紹介するエルミン。

「お客さんを連れてきたって…お、シンジとユーリじゃねーか」

「「アルシュさん!?」」

まさか、このナルデレートっておっさんのお店だったのかよ。

「お知り合いでしたか」

「エルミンが連れてきたってことは2人も冒険者試験合格か!坊主、どんなトリック使ったんだ??」

「失礼な!(多分)実力です!」

「そうかい、そうかい。んじゃ、これからお得意さんになってもらおうかね」

「初級クラスの冒険者でも扱いやすい武器と防具が欲しいです。」

「なるほどねぇ。お嬢ちゃんのステータスはなんだい?」
「私は暗殺者、シンジは召喚士」

「ほぉー、これまた2人とも珍しいステータスの持ち主だったか」

おっさんが、レジのところから立ち上がって俺たちの武器を見繕う。

「お嬢ちゃんは暗殺者だから、コンパクトサイズの短刀がいいな。お前さんはセンスがありそうだし、すぐに上達するだろうからちょっと良いやつを何本か選んでおくぞ。あとで小刀に毒を塗る方法を教えてやるからそれで魔獣を倒すんだ。足とかにつけられるような小刀、あとは薄くて硬い金属でできた防護のやつもいいだろう。金属が擦れても音がしない加工が施されている。また、マントなんかも姿隠しで必要だろう。こっちは採寸させてくれたらぴったしサイズに調整してやるぞ。暗殺者は基本相手と距離をとっていざとなったら近づいて殺す感じだからな」

「あとは針なんかもいいかもしれない。暗殺者のステータスの友人が良く使っていた」
エルミンもアドバイスをくれる。

テキパキと選んでくれているが、お金は大丈夫だろうか…

「坊主は召喚士だが、すでに魔獣とは契約してるのか?」
「いや、まだです。正直召喚士って何すれば良いんだが分かってないんですよね」

「シンジさん、分かってなかったんですね」
エルミンが呆れた顔してる。

仕方ねーじゃん。日本には召喚士なんて仕事ないんだからさ。それ言ったら暗殺者もか。

「お前さんがどれくらいの魔獣と契約するかによるが、一応魔力増幅のブレスレットをつけておく。ある程度の魔力がねーと契約すらできねーからよ。あとは基本魔獣が交戦するだろうからお前さんは自身の身を守れる防御性の高い防具を見繕ってやる」

「シンジさん、今後あなたにはギルドで行われている召喚士の講座を受けてもらいます。変に契約されたりしたら困りますので。」

そんなのがあるんだ!助かるー!

さーて、一通り見繕ってもらったが、
お値段はいかに………!!!

「あ、そうだ!カンパレリのシュリアさんからの紹介です!安くしてください!」
大事な一言を忘れていた!

「お前らシュリアのところに泊まってるのか!」
「はい、まずは半年ほどお世話になる予定です。カンパレリもエルミンさんからのご紹介で知りました」

「お前さんたちは本当に運がいい。冒険者は運も味方につけねーとな」

「………??」

「アルシュさんはシュリアさんのお兄さんですよ?」
エルミンが知らなかったのかと言う顔してる。

「そうなんですか!え、うそ!」
「気づかなかったし、兄妹で似てない」

「失礼なやつだな、お前ら。そうさ、シュリアは俺の妹、そしてダルタと俺は以前は同じファミリーで冒険者をしていたんだ。たまたまシュリアにあったダルタが一目惚れして、結婚まで至ったんだよ。結婚してからは、あいつはファミリーを抜けて、宿舎をやっている。あいつの料理うまいだろ??」

「はい、めっちゃ美味しいです!!」

なんというすげぇ偶然。
そして、ダルタさんの一目惚れなんだ。。
俺も悠理に一目惚れして今の関係だから、なんかダルタさんの事を先輩って呼びたくなるな。

「まぁ、大切な妹のお客さんじゃ安くしてやらねーとな。。2人合わせて金貨30枚だ。本来なら50枚と言いたいが、今後も贔屓にしてくれるならこんなもんかね。」

「わかりました」
悠理が4次元ポケットから巾着を取り出して、金貨30枚を取り出す。

「お前らへんてこりんな服じゃなくて、この見繕った服に着替えな。たぶんサイズぴったしじゃねーかと思うが」

俺たちはお店の奥の更衣室で着替えた。

「「なんか、(暗殺者/召喚士)っぽい!」」

思わず悠理と声が重なった。

とりあえずは見た目だけでも冒険者っぽくなれたのが嬉しかった。
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