俺と幼馴染だけ、異世界の別の場所に転移したそうです

ふじ

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第2章 俺と幼馴染と異世界

21.

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コンコン

「どうぞ」

俺と悠理、なんでなのか付いてたベスラムとルルラ
俺たち2人と2匹はローリエさんの部屋に来ていた。

角部屋であるこの部屋は
俺たちの部屋と同様に代わり映えのしない部屋だ。

ただ、とても
違和感なのかどうなのかは俺には分からなかった。

「椅子が足りないからベットにでも座ってちょうだい」

俺と悠理は顔を見合わせて頷き、
言われるままにベットに座る。

「あれま、いつのまにか家族を増やしたのね」

ローリエさんがお茶を用意してくれながら
ベスラムとルルラの話を振ってきた。
「色々ありまして、今は僕と契約してます」
「なるほどね、、分かったわ」
するとローリエが指をその場で揺らす。
するとベスラム、ルルラの口元に包帯が巻かれる。
「この2匹がくるとややこしそうだから、ちょっと黙っててもらおうと思って、
なぁに喋れないだけで息は出来るから安心してね?」

すると簡易台所へ向かい
私たちにお茶出すとローリエさんは椅子に座る。
「それで魔術師である私に何かようかしら?」
 そういった彼女から感じるオーラは
瞬く間にそれまでの優しい感じから禍々しいものへと変化した。

「私たちはあなたから魔術を学びたいのです」
悠理はこのオーラに気づいているのだろうか、
単刀直入にローリエさんに言った。

ローリエさんは鼻で笑う。
「教えてあげれるわよ、魔術くらい。それよりも本題があるでしょ?」

あたかも今日俺たちがここにきた理由がわかっているかのような話し方をするローリエさん。

「まずはこの前のことについて謝りたいんです。そのあと彼女の話を聞いてもらえませんか?」

俺が先に話始める。
「こいつはいつも少し言葉が足りなくて、いざこざが起こるのです。
あの時あなたになんと言ったのか、僕は分かりませんが、
あの時の様子からとても不快な気持ちにさせてしまったのは確かですから。まずは謝ります」

俺は悠理の頭を掴み一緒のタイミングで頭を下げる。

「勘は彼女のがさえてるけど、思いやりとかの感情はあなたのが優秀なのね。そうねまずはそこからね」

ローリエさんは自分が淹れたお茶を飲む。

「彼女が気づいたことはね、私の中では生死に直結することなの。それもこのをたやすく壊せるくらいの破壊力を持ってる私を。それをあんな自分以外にたくさんの行商や人々がいるような所で言われたら、私その場にいる全員をしなければいけなくなってたわ。だから、手っ取り早くあなたの意識を飛ばした。それなら、犠牲はあなただけで済んだもの。よっぽど効率的でしょ?」

わかるでしょ?という感じでローリエさんが話す。
(人を抹殺とか国をたやすくなんて、なんて人なんだ…)

「あなたたちの細かな背景までは分からないけど、
それに気づくとしたら、、、あなたたちはにでもあったのかしら?」

こっちが尋問されているようだ。
ものすごく気味が悪い。

「.......」
悠理は女神様にあっている。
この話だって、きっと女神から聞いたに違いない。

そして、ちょっと置いてけぼりにされていた俺も、
何となく話の全体像が見えてきた。
(悠理の態度とローリエさんの話からするに、ローリエさんは魔女なのか…?そして魔女であるローリエさんから魔術を学びたいと、、、昨日の様に機嫌損ねてここで争うなんてしたら、俺らに勝ち目はない)

「答えないなんてあなたたちは?」
ローリエは足を組み俺たちに問いかける。

「死ぬつもりはありません。あなたも殺す気はないでしょう?」
悠理がはっきり答える。

「あははははは!!!」
ローリエさんが大きく口を広げて笑う。


その時悠理の体に恐ろしいくらいの負のエネルギーがまとわりつく。意識を飛ばしたらに全部持っていかれるくらいのエネルギーだ。

「さ、、、すがは、、ま、、じょ、、、です、、ね」
何とか意識が飛ばされないように堪えながら悠理が答える。
(それでも声が出せるなんて、ナタリー姫よりもいじめがいがあるわね…)

ローリエさんが折れてくれたのか
「そうよ、私が。姿を知る者は私の事を《赤×黒の魔女》と呼ぶわ」

《赤×黒の魔女》、それは数百年前に一つを滅ぼしたとされる魔女の話。
全てを炎で焼き尽くした彼女の髪は赤く、
その当時は黒い服を来ていたことでその名前が付けられたとされている----


「や、、、っと、、ほん、、しょう、、、をあらわ、、しま、、たね」
悠理は未だ負のエネルギーに耐えていた。

「さて、やっと本題に入れたわね。良かったじゃない。
それで、、、の私に何か用??」


俺は悠理の状況を救いたいと思い
「お互い冷静に話すためにも、悠理のこれを解いてくれませんか?」
「私は必要だと思ったからそれをやっているだけさ。必要でないと判断したらきってあげるよ」
「こんなんじゃ冷静に話すことなんてできませんよ!」
ローリエさんはキセルをふかす。
「私は別にいいわよ、冷静でない話し合いも時には必要だろう?」
俺ら2人じゃ歯が立たない事を知っての発言。
お店で見せた姿は仮初めだったのか??

「まじょ、、、教わ、、、れば、、より、強くなる、、、だから、、教えて、、、欲しい、、、」
悠里が話し始める。ローリエは解く気はないようだ。
「悠理、相手にしちゃダメだ!強くなるのだったらいくらでも方法はあると思う!
クエストを頑張ればいいじゃねーか!エルミンさんやシンシアさんにアドバイスもらってさ!」
「そうね、クエストを熟す日々はさぞ有意義になるでしょうね」
ローリエがあたかも名案ねと言う。

悠理は俺の足に手を添える。
「それじゃ、、、間に、、、合わない、、
だめ、、、はや、、く、、力、、、欲しいの、、、!」
「俺らまだ来たばっかりだぞ!急いだって仕方ないだろ!
いつも死に急ぐようにして少しは俺の話も聞いてくれよ!」
ムキになってしまう真司に対し、悠理は
「真司、、、には、、わか、、らない、、」
簡単な言葉、でもその言葉が彼を傷つけたのは間違いない。

(あー、そうかよ、、お決まりの言葉かよ)

悔しくなった俺は、悠理の手を払いのけ立ち上がる。
「もう、いい。俺は部屋に戻る。ベスラム、ルルラ行くぞ」
俺は2匹を捕まえて部屋に戻ろうとする。
「部屋から出れば、2匹のやつは取れるわよ」
ローリエさんが言う。
「分かりました」

俺は部屋から出た。

いつもそう。分かっていたんだ、俺だけが知らないって。いつも置いてけぼり。
分かってないんだって、そんなこと言われなくても分かるんだよ。。。

《君に悠理の全てを託すことは今はできない。
それは君自身もわかっていることだろう。
けれど、もしも悠理が君を頼ってきた場合には、
君の全力を見せて欲しいんだ》

晶馬さん、俺分かってたんですよ。悠里が俺を頼ることなんてないんです。
晶馬さんが思ってるほど、悠理は俺に期待なんてしてないんです。
今までもこれからも、ずっと。。あいつは俺を頼りになんてしてない。

俺は部屋を出てドアにもたれかかるように座り込む。
《ご主人…》
ルルラが魔術が解けたのか声をかけてくれる。

情けないくらいに俺は泣くことしかできなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

パチン

ローリエが指を鳴らす。
すると、悠理の負のエネルギーが解かれ、
同じタイミングで部屋にかけていた装飾の魔術も解かれた。
今までのすごい圧から開放された悠理は体のバランスが崩れて床に倒れる。
真司を追いかけなきゃいけない事も分かっている。
けど、ここでローリエとの契約を逃すわけにはいかない。

(真司、、、ごめんなさい、、、)

そこには部屋中に魔術の紋があり、全てで書かれていた。
なんとも不気味な空間だ。
でも本来はこの感じがこの部屋の雰囲気なのだろう。

すると部屋の壁の端に扉があるではないか。
(さっきまでは無かった、はず)
悠里たちが泊まっている部屋は脱衣所、トイレ用としての扉はあるが
基本的には見渡せて全ての家具が見えるくらいの部屋である。
ローリエも長期滞在ではあるため、長期滞在者の部屋の作りはほぼ近い部屋の作りのはず。
それに角部屋であるこの部屋のあの位置に扉があることがおかしいのだ。
(だってあそこの壁の隣は、、、)
30センチほどの間隔をあけて隣に家が建っているはずなのだから。

「こっちよ」
ローリエは、普段から使い慣れているかのようにその扉を開く。

驚いた顔をしている悠理をローリエは気にすることなく部屋に入って行く。
悠里は慌てて追いかけ部屋に入る。

《ーーーーーーここは!!》

中は闘技場のような、いや一部森のような、水辺もある。
(どう言う事なの!?)

「彼には悪いことをしたわね。でも、今は彼にはこの力は必要ない。
必要なのはあなただけ。そうでしょ?
私はね、必要な人に必要なだけをポリシーにしているわ。
身に余るほどの多くを持っていると人はどんどん崩れていくから」

「だからってあんなケンカを……?」

「少しは彼にとっても刺激になったんじゃない?」

そんな、、、、

「さて、契約しましょうか!」

「!?」
こんなあっけなく契約ができるものなのか?
今までのことを考えると何かあるとしか思えないのだが、、、

「女神から何言われたか分からないけど契約したところで、
急に強くなれるわけではないのよ。
さっさと強くなりたいなら私と契約して魔術の力の使い方を身につけなさい」

そしてローリエは笑う。
「彼を守りたければね」

全てではないにしろ、大筋は読まれているようだ。

覚悟を決める。
「私は何をすればいいの?」
ローリエは子供が喜ぶような笑顔を見せた。
「そうこなくっちゃ!すこーしだけ、血を貰うわね。腕出して」

先ほどの部屋の壁の紋を思い出す。
(あれは全て血だった、ってことは全て契約の紋ってこと!?)

どれだけの契約数なのだろうか。どれだけの血で契約するのだろうか。
考えただけで背筋が凍る。

(だけど真司を守るためだもの、、、)
悠理は左腕を出す。念のため利き腕ではない方にしておく。
ローリエがナイフを持ち、刃の先端を悠理の肌に当てる。
「綺麗な肌ね、、ちゃんと傷が残らないようにするわ」

静かに刃の先を動かすと跡を辿るように表面上に血が浮き上がる。
「ーーーーーっ!」
思わず下唇を噛みしめる。
血が出てきたところでローリエは悠理の腕を傾けて血を床に垂らす。
悠理の血が腕を伝い、床に落ちる。

ーーーーーーポタンーーーー

その瞬間、床に紋が浮かび上がる。
《我と契約し、我の力を与える。この血を持つ者、名はユーリ》
悠理の体が一瞬浮いた。
そして足が床につくと同時に、強烈な吐き気に襲われその場にうずくまる。
(吐き気というか、体内が別のものに乗っ取られているような、、、)

「なに、、、したの、、、!?」
「私の魔力をあんたに流しているのよ。
まぁ、純潔の魔力に慣れないからそうなってるだけ。
一週間ほどで楽になるわ。辛抱よ。
その間あなたにはここにいてもらう。
ここは魔女と契約した人間専用の訓練場よ。もちろん私が作ったね。
私の魔力を使いこなせずに暴走してしまうなんて事もあり得るから
慣れるまではここでしか魔力を使ってはダメよ。良いわね」

「そんな、、、、」

「勘違いしないで?
魔力を使わないことを約束するなら、この部屋にいなくても大丈夫。
普通に暮らして貰ってかなわないわ、、、っておーい。」

悠理は自身のダメージからか、うずくまったまま倒れ込んでしまった。

「あのシンシアも確かそうだったわね、、、」
ローリエはシンシアを思い出し、クスリと笑った。



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