女神のいたずらで若返った大賢者、異世界と行ったり来たり……

ぽてたん

文字の大きさ
14 / 48
第1章 魔法学園入学編

魔法学園入学編⑨授業が秒で終わりました。

しおりを挟む
 ロッソさんから寮内での注意点や禁止事項の説明も終わり、寮内の掃除当番を決めたりして午前中が終了した。午後からはいよいよ授業が始まる。最初の1ヶ月は基礎魔法として全ての属性の魔法を習い、属性が無くても、それらの属性魔法の種類や弱点などを勉強する期間になっているそうだ。その後はクラス関係なく属性毎にカリキュラムが組まれているとロマーノ王子から聞いていた。

 始まりの鐘がなり、みんな椅子に座り先生が来るのを待っていると、教室の前のドアがガラッと開き神経質そうなメガネを掛け真っ赤なローブを羽織った男性が入ってきた。

「Sクラスの担任のステファンだ、5月の対抗戦までにこれらの教科書を読んで全員火、水、風の魔法を第2ランクまで使えるようになっておくことだ。それから対抗戦ではFクラスはSクラスと対戦する。それに負けたらお前らはその後はSクラスの従者として3年間過ごしてもらうからな。良いな」

 クラス全員の目が点になっている。教科書読んで第2ランクまで覚えろ? 対抗戦で負けたら従者? 学園長の言っていた平等はどこにいった?

「先生、質問があります」

 思わず質問してしまった。

「なんだ?」

「学園長は入学式で、全てのクラスは平等だとおっしゃっておられましたが、従者になるっていうのはそれに反するのでないでしょうか?

「ハッハッハ! あれを真に受けているのか? 平民はどこまでいっても平民なんだよ、さらに言えばシングルでない魔法使いはカスだ、貴族で火魔法シングルが一番なんだ。お前らごときに大事な時間と金は掛けられないので勝手に教科書読んで覚えとけ」

「それでは他のクラスの人もみんな5月までには3属性の魔法が2ランクまで使えるようになるんですか?」

「あ、あたりまえだろ!他のクラスはお前らより優秀なんだから」

「最後にいいですか?」

「その前にお前の名前はなんだ?」

「僕はトラーオと申します。全属性持ちの平民です」

「なんだ、カスか」

「先程の話をまとめると5月まではFクラスは今後の授業は全て自習をして、自分たちの力だけで3属性を2ランクまで使えるようにならなければいけないということですね。そして対抗戦でSクラスに負けたら3年間従者になるで間違いないですか?」

「それで間違いないぞ、お前らだけでなくてこの出来損ない教師は手伝っても構わんぞ」

「それでは、対抗戦でFクラスが勝った場合にはSクラスの人が僕らの従者になるということですね?」

 ステファン先生は爆笑してしまった。

「あははは! 笑わせるなあああ!! お前らがSに…… Sクラスに勝つだと? そんな事は絶対にありえない。そんな時はSクラスが従者だけなく、そこの出来損ない教師以外は陛下の前で裸踊りしてやるよ!」

「本当ですね?」

「あぁ! その代わりに負けたら、特にお前は今後3年間俺に絶対服従だ。靴の裏を舐めろって言ったら舐めてもらうからな! 退学はゆるさん3年間いじめ抜いてやる。お前ら知らないかも知れないが、毎回対抗戦は学園外の人も見学に来て対抗戦自体で賭けが行われるんだが、Sクラスが相手の場合にSクラスが負けに賭けるのはBクラスくらいからだな。それでも超大穴で賭けるやつは殆どおらんが。毎年Sクラス対Fクラスが最初の試合の恒例なのは、どうせ勝つクラスと負けるクラスがはっきりしているから消化試合として組んでるだけで、本来はFクラスなんぞ試合に出すだけ無駄なんだがお客さんも今年はFクラスがどのくらいの時間耐えられれるかを楽しみにしてるから出すんだ。今までのSクラス対Fクラスの最短は始まって1秒で最長で10年ほど前に5分耐えたクラスがいたな。まっせいぜい3分くらいは持ってくれよ。最近は1分以内の降参ばかりで掛けのオッズも低くて面白くないからな!」

「わかりました。せいぜい足掻いてみせますよ」

「ふん! それから魔法の練習場は寮の裏の旧練習場しか使えないからな。向こうは落ちこぼれのお前ら以外の練習でスケジュールが一杯なんだよ。障壁の魔石もお前らなら無くても大丈夫だろうからあっちの練習場で十分だろ? その代わりお前らだけの貸し切りでいつでも使えるから思う存分練習してくれ」

「ステファン先生それはあんまりではないですか?」

 ナタリー先生が抗議をするがステファン先生は一瞥をくれただけ教室のドアの方へ歩いていきドアを出る直前で振り返った。

「出来損ない教師が文句言うな! 魔法障壁のいるような魔法を使えるようになってから文句は言え」

 それだけ言い放つとさっさと出ていってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...