女神のいたずらで若返った大賢者、異世界と行ったり来たり……

ぽてたん

文字の大きさ
17 / 48
第1章 魔法学園入学編

魔法学園入学編⑫魔法の可能性とは?

しおりを挟む
「それでは引き続きマヌエーラさんに実験台になってもらい魔法使いの可能性を見てもらいましょう。では火魔法と水魔法であの的に向かって攻撃してみてください」

「それではまずは火魔法を使ってみます。輝き燃える熱き炎よ、我が手に集いて力となれ! ファイアー・ボール」

 マヌエーラの詠唱後マヌエーラの手の上に小さな炎が出てきたのでマヌエーラはすぐに的に向かってその炎を投げた。

 ヘロヘロ~ ボシュッ

 お世辞にも強い魔法とは言えない炎の玉が的に当たった。マヌエーラは悲しそうな目でその軌跡を追った。

「次は水魔法を使ってみます。空と大地より集めし水よ、我が手に集いてちからとなれ! ウォーターボール」

 ヘロヘロ~ バシュッ

 こちらも単なる水の玉が飛んでいったような感じで全然威力もなく、相手を濡らす程度の魔法だった。

「これが私の現状ですわ」

「今の状態でファイアー・ボールはどのくらい打つことができますか?」

「多分10発程度だと思います。休み休みでも12発くらいだと……」

「では、今からマヌエーラさんの魔力を強制的に増やします。その後の魔法の変化を見て下さい。マヌエーラさんさっきのように手を繋いでもらっていいですか?」

「え、えぇ」

 なんか真っ赤な顔をしているが、先程のように土魔法で少し足元を高くして顔の高さが同じくらいになるようにして両手を握りオデコをくっつける。

「マヌエーラさん、今から強制的に増やしますので少しクラクラくるかもしれませんができるだけ我慢して下さいね」

「わ、わかりましたわ……」

 オデコを付けた状態で魔力を注ぎ込む。両手は今度は流れるようにするのではなく、両手から魔力が漏れ出さないように栓をする役割を持っている。ゆっくりゆっくり魔力を流し込んでいると、マヌエーラの息が早くなってきた。

「はぁ はぁっ はぁあああ」

「マヌエーラさん大丈夫ですか? 痛いところとかありませんか? 頭の方から入ってくる魔力をお腹の中に貯めるようなイメージを持って下さい」

「は、はい…… 大丈夫です。はぁはぁ」

 マヌエーラへ魔力を風船を膨らませるような感じで注ぎ込んでいき、なんとなく抵抗感が急に強くなったような気がする。そろそろ止めどきかな?

「ではそろそろ魔力を流すのを止めますが、魔力が逃げないように魔力をお腹に止めるようにしてください」

「は、はい」

「それでは先程のように魔力を体の中で流していきますよ」

「はいぃぃ」

 それから5分ほど魔力を流していると、魔力の通りも良くなってマヌエーラ自らが魔力を流せるようになっていた。それなりに魔力の使い方は上手なようだ。今までの魔力と比べて現在は魔力だけで20倍はあるであろう。

「上手くできていますよ。手とオデコを外すので、そのまま魔力循環は繰り返してください」

「わ、わかりました…… ふぅぅ はぁぁ」

 マヌエーラが魔力循環をしているうちにクラスメイトにもう少し説明をしておこう。

「今日、マヌエーラさんにしたことは魔力の通りを良くして魔力を貯める容量を増やしました。今日はここまでですが、今後はこの魔力を更に多く持てるようにして魔力の精度を高めていく方法を教えていきます。いいですか?今までの概念は捨てて下さい。魔力は増やせます。魔力の精度は上がります。なによりダブル、トリプルはシングルよりも魔法の幅が広げられます。シングルの人はそれに特化した魔法使いになることができますので、決して諦めないでください。ではマヌエーラさん水魔法は難しいので火魔法だけで良いのであの的に攻撃してみてください。その際には魔力の通り道を意識して手から魔力を放出するイメージで攻撃してください」

「は、はい、魔力の通り道…… 手から意識を…… 輝き燃える熱き炎よ、我が手に集いて力となれ! ファイアー・ボール」

 さっきとは比べ物にならない大きさと強さのファイアーボールがマヌエーラの手から放たれた

 ヒューー ドン!

「えっ?」

 出した本人が一番びっくりしているようで、口をポカンと開けてみていた。

「じゃ何発打てるかをやってみて下さい」

「はい! 輝き燃える熱き炎よ、我が手に集いて力となれ! ファイアー・ボール  ……ファイアー・ボール ……ファイアー・ボール」

「その辺でストップしてください。まだ大丈夫そうですね」

 30発ほど放たれたがまだまだ余裕ありそうだ。

「ええ、威力も上がって魔力量も全然違います…… 私がこんな…… グスッ……」

 さっきとは違い笑い泣きのような感じで泣いていた。

「それでは最後に今は魔力が減っています。その状態で先程の魔力をオデコから取り込むようなイメージを持ってください」

「うーん、えー、こうかな? ちがーう」

 なかなか難しそうだ、マヌエーラのオデコあたりに少しだけ魔力を集めてあげるとなんとなくわかったようで

「あっ、少し魔力が入ってくる感じがしました」

「それでは寝る前までには魔力も普通に回復しているでしょうから、その状態で魔力の循環とさっきの魔力の取り込みを10分位毎日して寝て下さい。やり過ぎても疲れるだけですから程々にしてくださいね」

「うん…… ありがとう」

 マヌエーラは顔を真っ赤にして伏せながら感謝の言葉を呟いた。

「じゃ最後に魔法の精度について見てもらいます。まずは普通のファイアー・ボールから」

 シュッ ドーン!

 先程のマヌエーラとは全然違う威力のファイアー・ボールが放たれた。

「おい、あいつ詠唱してないぜ」
「あんな適当でこんな威力あるか?」

 クラスメイトのびっくりした声があちこちで聞こえる。

「詠唱は必要という概念も捨ててくださいね。詠唱なんてしてたら人間相手なら何がくるか理解るし、魔物相手ならその間にやられるから。あと威力はさっきのマヌエーラさんと同じくらいの魔力量で違いは魔力の精度の差です。次は同じ魔力量で更に精度を上げるよ」

 ヒュン ドーーン!

「すげぇえええ」
「何あの威力?」
「さっきと同じ魔力量って嘘だろ?」

「うそじゃないよ、同じ魔力量だよ。何が違ったかわかった人はいるかな?」

「大きさはマヌエーラが一番大きかったけど、威力は一番小さいさっきのが一番強かった」

 緑の髪で目もグリーンアイのブランジュが気がついたようだ。

「そう、魔法の大きさはマヌエーラさんが大きいけど、最後のはそれを圧縮して威力を上げた魔法なんだ。だから大きさは小さいけど威力は大きい。魔力の精度が上がれば魔力の無駄がなくなり今まで10発しか打てなかったのが15発とか打てるようになります。これもゆっくり覚えて下さい。これが一番難しいです。とりあえず、これでみんなにももっと大きな可能性があることがわかったでしょう。真面目にすればSクラスなんて簡単に超えることができますので頑張りましょう」

「おぉぉぉ!」
「そうだ、あいつらに目に物見せてやろう!」
「Sクラス以上……」
「玉の腰……」

 なんか違う願望も聞こえたような気がしたが……

「えー トラーオ君が私が言うべき言葉も全部言ってしまったのでもう言うことがありませんが、少なくともSクラスに勝てる希望は見えてきたでしょう。みなさん頑張りましょう」

「ところで、先生明日はこっそり休みをもらえませんか?」

「えっ? これだけ盛り上がってるのに?」

「たぶん、教えるときに視覚的な教材が必要になると思います。魔法は想像力が大切ですが、その事象をを体験することが何よりも強くなるためには必要なんです」

「わかったわ、明日は私とマヌエーラさんとで、今日タイーガ君がやったことをみんなに教えて出来るようになってもらえるようにしましょう」

「よろしくお願いします。じゃ明日中に魔力の循環ができた人にはヴァンサン商会で今度発売するお菓子の詰め合わせをプレゼントしましょう」

「そんな安請け合いして大丈夫なの? あそこのお菓子は予約制で貴族でも中々手に入らないのよ?」

 マヌエーラが心配そうに言ってきた。

「大丈夫です。次回の新作には少し関わっていますので、問題ありません。ですからみなさん頑張って出来るようになってくださいね。マヌエーラさんはもう出来るようになったので、明日どれだけクラスの方を教えることができるかで考えましょう」

「えっ…… そんな…… ヴァンサン商会の新作……」

 なにか呟いていたマヌエーラを放っておいて、その日の夕食が終わるとすぐに、王城の自室へ転移した。そこから王家の方達に1日だけ日本へ戻る事を伝えたら、向こうで買ってきてもらいたいリストとSDカードを渡された。お酒やお菓子類と美容関連のリクエストで圧がすごかったので忘れないように買って来なければ……
 クリス王女は日本語の勉強が出来るDVDと絵本が欲しいそうで、将来は日本にいる、まりのと日本語での文通が夢らしい。ロマーノ王子は江戸時代くらいの世界中の武器辞典や経済の勉強が出来るものが欲しいとの伝言があったが、大人達に比べて志が高すぎる。
 転移の魔法陣がある祠を開けてから魔法陣に魔力を流し、久しぶりの日本へ転移した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...