女神にさらわれ異世界で魔王を倒した大賢者!魔法も使える勝ち組人生予定で現代に戻ってみたら駄女神のミスで何故か猫の体にされちゃったにゃ

ぽてたん

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第1章

飛び降りようとする女

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 山からトコトコと自分の足で降りてきた。少し町中を散策してみるかな?この体の状態を把握するためにも少し走ってみたりした方が良いだろう。二足歩行から四足歩行に変わったが、あまり違和感なく走れる。二足歩行も試したがこちらも問題なく歩けるが、ネコが二足歩行は目立つからやっぱり普通に四足で歩いたがよさそうだ。

 小さな岩からのジャンプをしてみるが、まったく問題無い。自分の3倍位の高さでも難なく飛び降りることが出来た。それに気を良くして、三メートル程の高さの岩から回転しながら飛び降りる。
 これは気持ちが良い!かなり高い場所からでも、シュタッと着地できる。走る早さも子猫の体の割には速く走れていると思う。
 駄メルが作った割には良い出来だと思っていたが……

 ふと気がつくと……

 蝶々を無我夢中で追っていた…

 そんな条件反射まで忠実に再現するなよ……

 意識をしっかり持っておかないと、結構猫の習性に引っ張られるみたいだ。マタタビとか大丈夫かな?毒耐性は持っているがマタタビとか毒認定されそうにないし、一度試しておかないといけないかな?

 山を下るついでに、いろいろな魔法を試す。初級だがすべて使えたので問題は無いだろう。本当であれば人の姿で魔法を使えて、向こうから持ってきた貴金属で悠々自適な生活を送るはずだったのに……

 自宅付近まで戻ったときに、向こうの方から悲しそうな顔をして、とぼとぼと旅行カバンを引いている女性とすれ違う。顔を見ると真っ青だし何処からどう見ても尋常じゃない。
 家に戻ったところですることもないので、気になったのでトコトコと女性の後ろを着いていく。時々ため息を付きなから歩いている。なんか嫌な予感しかしない。とりあえず話しかけてみる。

「ニャッ ニャーニャー(おい!どうかしたのか?)」

 女性が振り返りこちらを見た。少し笑顔を見せながら

「あら! ニャーニャー言うと思ったらカワイイ子猫ちゃんだったのね」

 やはり俺の声はニャーとしか聞こえないようだな……
 少し首をかしげながら、上目遣いに女性を見上げる。子猫のこの仕草でまいらない人間はGと毛虫のうごめくプールに落ちるが良い……

「あなた、お母さんネコはいないの?一人なの?」

 そのように聞いてくるが、どうせ向こうには伝わらないのだろうが、
「ニャーニャー・ニャーニャ(そうだ、親もないくて一人だ)」

「いないのかな?じゃ私と一緒だね……」

 しばらく沈黙が流れる。そして女性は寂しそうな顔に戻り

「一人じゃ寂しいし、一緒に死んでくれないかなぁ? でも迷惑だよね。いきなり会ったばかりの人間に巻き込まれて死んじゃうなんて、ネコちゃんも可愛そうだもんね?」

「ああーあ、もう少し楽しい人生だったら良かったのにな……」

 目頭から一筋の涙がこぼれ、太陽に反射してキラリと光る。

「ネコちゃんって名前は無いのかな?」

 そう言いながら俺を抱っこする。ネコの姿で抱っこされるのは少し恥ずかしさもあるが、気持ちよさが勝るきがする。首に首輪も無いことを確認して

「ネコちゃんじゃ可愛そうだから、名前付けてあげる」

「うーん」

「トラ柄だから、トラちゃんでどうかな?」

 まじか……

 駄メルと一緒のセンスですよお嬢さん……

「トラちゃん最後に私の話を聞いてくれるかな? どうせわからないと思うけど……」

 おれはクーンという感じで鼻先を近づける。

「私ね、今日死ぬの!」

 ちょっと……
 まてまて……
 重すぎる話なんだけど……

 少し悲しそうな顔をしてみる

「あれ? 私の言うことわかるのかな? そんな事ないよね?」

「私ね、岩田 来夢て言うの。26才で昨日までOLをしてたんだけど。ボッチで家族も親戚も誰も心配してくれる人はいないんだ。高卒で入った会社に昨日までいたけど、クビになって寮も追い出されちゃった。給料もなにもかも取られて一文無しでもう死ぬしかないんだよね……」

「本当はね、死にたくないの……」

「でも私が死なないと、別の人に迷惑かけちゃうから……」

 また泣き出してしまった。
 体を擦り寄せるようにして慰めるが、なかなか泣き止んでくれない。ひとしきり泣いたところでようやく顔を上げてこちらを見た。

「なんでこんな人生だったんだろうね……」
 泣き笑いの顔でこちらを見つめる。

「トラちゃんはいいよね、好きなことできるんだから……」

 いやいや、来夢さんや、俺も苦労しているんだよ?
 抗議するが、鳴き声にしか聞こえていない。

「トラちゃん、あなたは幸せになってね! バイバイ」

 女性は俺をそっと下ろすと、またトランクを引いて歩き始めた。
 これはヤバイ!
 理由はわからないが、目の前で死なれたら目覚めが悪いわ!
 どこでどうやって死ぬ気なんだろうか?
 しばらく歩くと陸橋の上に来た。この陸橋はかなり高いところにあり、落ちたら絶対に助かりそうにない。ここで死ぬ気か?

「ニャー! ニャニャニャー(おい! やめろ!)」

「あっ トラちゃん見送りに来てくれたんだ! それとも付き合ってくれるのかな?」

 女性はトランクを歩道の端に横向きに置いてトランクの上に座った。

「おいで!」

 手をこちらに差し伸べてくる。俺はとりあえずは流れに身をまかせて、その手に身を委ねる。

「やっぱり一緒に死んでくれないかな?一人じゃ寂しい」

 女性は俺をなでながらそんな事をつぶやく。
 やめて、せっかくこちらに戻ったのに、なんでその日に死ななきゃならないんだよ!
 しかも道連れとか勘弁してくれ!
 どこで、俺の正体を明らかにして、自殺を思い止まらせるかを考えていたら、突然俺を抱っこしたまま

「ごめんね!」

 そう言いながらトランクに乗り、片手を欄干に置いたと思ったら、そのまま欄干の外にジャンプした!

「エエエエエエエエッ!」
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