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2タマゴから生まれた王子たち
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王子はこの国にはもういませんでした。
兵隊たちが一年かけて探し回りましたが見つかりませんでした。
しかし、王様は王子が逃げて、すぐにあることを決めていました。
それは、新しいタマゴをまた作ることです。
あの王子よりも、もっともっと、より優秀な王子を!
王様は今度こそはと一度にたくさんのタマゴを沢山作りました。
その生まれた中から一番優秀な王子を跡取りにするのです。
たくさんのタマゴから十人の王子が生まれました。
幼い王子たちは仲良く遊びながら成長しました。
王子たちが生まれて五年ほどたった頃、王様は言いました。
お前たちの中で一番優秀な者を跡取りにする。
王子たちは互いに顔を見合わせました。
その意味を理解するにはまだ難しかったからです。
月日がたち、王子たちはその意味が何なのか、ぼやけた月がその輪郭をはっきりとさせていくように、それぞれで理解していきました。
それと同時に、幼い頃は仲が良かったのに、会話どころか目を合わせることも無くなりました。
王子たちの能力は皆優秀で拮抗していましたが、ある王子は魔法が得意だったり、ある王子は武芸に秀でていたりと、若干ですが差が出てきました。
そして、その能力を他の王子たちと比べて自慢したり、他の王子たちをけなしたりと、そのような会話ばかりになってしまいました。
ある日、王子が一人の王子を殺してしまいました。
武芸の練習中、言い争いになり、もっていた剣で殺してしまったと言います。
王様は殺した王子を咎めませんでした。
王様は殺された王子は武芸が苦手だった。
単純な攻撃を避けられなかったほうが悪いと言いました。
王子たちの中で、何かが変わりました。
次の日、別の王子が前日王子を殺した王子を殺しました。
眠っているところを狙ったと言います。
王様は咎めませんでした。
その次の日、また別の王子が前日王子を殺した王子を殺しました。
読書に集中していたところを狙ったといいます。
王様は咎めませんでした。
そして、次の日も、その次の日も、王子が一人、二人と殺されました。
そして、最後に残った一人の王子。
彼は血が付いた剣を持ちながら震え、泣いていました。
その王子は一番気が弱く、泣き虫な王子でした。
王様が跡取りになることは無いだろうと目をつけていなかった王子です。
王子の目元には大きなクマができていました。
いつ自分が殺されるのだろう、殺したら僕も殺されるのではないかという恐怖でずっと眠れなかったからです。
王子は王様に言いました。
本当は殺したくはなかったのです。
王様は泣き続ける王子を諭そうと、王子に近づきました。
お前は最後に選ばれた王子だ。王座につくことが彼らへの弔いだ。
ならば、と王子は言いました。
お父様、貴方がいる限り、私は王座につけない。
王様が気付いた時には、王子の剣は王様の胸を貫いていました。
これが王子の弔いでした。
王様は力尽きる中、自分が本当に欲しかったものを何も手にしていないと気付きました。
しかし、もう、王様には魔法を使う力もありません。
念願の跡取りに手を握られることもなく、王様は息を引き取りました。
生き残った王子が王座につきました。
しかし、母体を介さず生まれた人間など人間ではないと、不満を持っていた家臣たちに殺され、国は滅んでしまいました。
王子の在位期間は一日もありませんでした。
兵隊たちが一年かけて探し回りましたが見つかりませんでした。
しかし、王様は王子が逃げて、すぐにあることを決めていました。
それは、新しいタマゴをまた作ることです。
あの王子よりも、もっともっと、より優秀な王子を!
王様は今度こそはと一度にたくさんのタマゴを沢山作りました。
その生まれた中から一番優秀な王子を跡取りにするのです。
たくさんのタマゴから十人の王子が生まれました。
幼い王子たちは仲良く遊びながら成長しました。
王子たちが生まれて五年ほどたった頃、王様は言いました。
お前たちの中で一番優秀な者を跡取りにする。
王子たちは互いに顔を見合わせました。
その意味を理解するにはまだ難しかったからです。
月日がたち、王子たちはその意味が何なのか、ぼやけた月がその輪郭をはっきりとさせていくように、それぞれで理解していきました。
それと同時に、幼い頃は仲が良かったのに、会話どころか目を合わせることも無くなりました。
王子たちの能力は皆優秀で拮抗していましたが、ある王子は魔法が得意だったり、ある王子は武芸に秀でていたりと、若干ですが差が出てきました。
そして、その能力を他の王子たちと比べて自慢したり、他の王子たちをけなしたりと、そのような会話ばかりになってしまいました。
ある日、王子が一人の王子を殺してしまいました。
武芸の練習中、言い争いになり、もっていた剣で殺してしまったと言います。
王様は殺した王子を咎めませんでした。
王様は殺された王子は武芸が苦手だった。
単純な攻撃を避けられなかったほうが悪いと言いました。
王子たちの中で、何かが変わりました。
次の日、別の王子が前日王子を殺した王子を殺しました。
眠っているところを狙ったと言います。
王様は咎めませんでした。
その次の日、また別の王子が前日王子を殺した王子を殺しました。
読書に集中していたところを狙ったといいます。
王様は咎めませんでした。
そして、次の日も、その次の日も、王子が一人、二人と殺されました。
そして、最後に残った一人の王子。
彼は血が付いた剣を持ちながら震え、泣いていました。
その王子は一番気が弱く、泣き虫な王子でした。
王様が跡取りになることは無いだろうと目をつけていなかった王子です。
王子の目元には大きなクマができていました。
いつ自分が殺されるのだろう、殺したら僕も殺されるのではないかという恐怖でずっと眠れなかったからです。
王子は王様に言いました。
本当は殺したくはなかったのです。
王様は泣き続ける王子を諭そうと、王子に近づきました。
お前は最後に選ばれた王子だ。王座につくことが彼らへの弔いだ。
ならば、と王子は言いました。
お父様、貴方がいる限り、私は王座につけない。
王様が気付いた時には、王子の剣は王様の胸を貫いていました。
これが王子の弔いでした。
王様は力尽きる中、自分が本当に欲しかったものを何も手にしていないと気付きました。
しかし、もう、王様には魔法を使う力もありません。
念願の跡取りに手を握られることもなく、王様は息を引き取りました。
生き残った王子が王座につきました。
しかし、母体を介さず生まれた人間など人間ではないと、不満を持っていた家臣たちに殺され、国は滅んでしまいました。
王子の在位期間は一日もありませんでした。
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