盾の騎士は魔法に憧れる

めぐ

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再び手にした決意

ユリアの戦い2

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 夜は、あたしの成人祝いの食事会を開いてくれた。

 神殿のお仕事が忙しい父さまも、都合をつけて来てくれた。おばあさまは、もっと忙しいみたいで来られないみたい。

 残念。

 母さまがあれこれ、まるであたしを着せ替えのお人形の様にして選んでくれたドレスを着て、母さまに教わった挨拶をする。

 一応、貴族の一員なんだから──と、母さまは礼儀作法やマナーを教えてくれている。
 あたしは、ヒルダ先生の魔法の授業やおじいちゃんとの身体や剣の鍛練のほうが好きだけど。

「・・・ぷっ!」

 自分でもぎこちなかったとは思うけど、慣れない挨拶を頑張ってしたのに、おじいちゃん・・・笑ったね?

 何か仕返ししてやる。

 乾杯したあとは、皆からお祝いのプレゼント。

 昔から、女性への成人のお祝いの品は短剣と決まっているらしく、父さまからは綺麗な短剣のプレゼント。稀少な白銀で作られているらしく、少し魔力を上げる効果もあるらしい。

 母さまからは、たくさんのドレス。
 は、はは・・・。この一着だけじゃなくてこんなに選んでたのね・・・。

 メイドのカーラさんとジュディさんからは、素敵な花束。
 あとで部屋に飾ってもらおう。

「さて、お姫様。この爺めは何を差し上げれば宜しいのでしょうか?」

 おじいちゃんはあたしをからかっているのか、紳士然とした作法で尋ねてくる。

「・・・おじいさま?先程のことは、後でゆっくり聞かせてもらいますわね?」

 あたしの返事を聞いて、おじいちゃんの頬が少しひきつっている。
 フフ。少し、スッキリしたかな?

 おじいちゃんからのプレゼントは、あたしが欲しいものをお願いすると前から約束していた。ずっとこの日を楽しみにしてて出来れば欲しかった神様の『加護』もあったら、もっと素敵だったんだけど。

 あたしが欲しいもの・・・。

「あ、私にピッタリの盾を、おじいさまに選んで欲しいの」

 おじいちゃんの様に誰かを、大切な人を守れる盾。

 少し気取って応えたからか、おじいちゃんは最初呆然としてたみたいだった。また笑うんじゃないでしょうね?って思ってたら、おじいちゃんは優しく良いよって言ってくれた。明日、一緒に見に行ってくれるって。

 何だか分からない加護のことは不安だけど、そんなことどうでもよくなるくらいに、嬉しかった。





 次の日は、朝食を食べてからおじいちゃんと街に出掛けた。ハリルも一緒。 
 昨日はハリルと遊んであげれなかったからか、ハリルはとっても嬉しそう。

 先におじいちゃんの用事を済ませてから、馴染みだっていうお店に向かう。 
 ほら穴みたいなお店。

 モグラでも住んでるのかな?

 中に入ると、ランプの灯が揺らめいていて、不思議な雰囲気。
 おじいちゃんが大声を出して誰かを呼ぶとカウンターの下からむくりと誰かが起き上がる。

 あ!ホントにモグラが居た!

 土竜族の鍛治士ダンダルさんに連れられて、地下の倉庫に案内してもらう。そこには、たくさんの武器や鎧が置いてあって、格好良いんだけど、ちょっと恐い。

 あれやこれやと色んな盾を持ってきて見せてくれる。あたしも、壁にたくさん置かれた盾を呆っと眺める。

 あたしが、初めて見た盾──

 それはお家に飾ってある、おじいちゃんの盾。

 当時のあたしの何倍も大きくて、おばあさまから「おじいさまはね、この盾で私や勇者様を守って、たくさんの魔物と戦っていたのよ」と、教わった。

 その美しくて、力強い盾の姿が、今でもあたしの中で色褪せず輝いている。

 青と白が綺麗な盾──

 おじいちゃんの盾と同じ色をした、綺麗な盾が目の前にある。あたしの目はその盾に釘付けになった。

 ダンダルさんが説明してくれるには、あたしにはちょっと重いみたいだけど良い盾みたい。手に取ると、不思議と吸い付くように馴染んだ。

 確かにちょっと重いけど。

「あたし・・・、これがいいっ!!この盾が欲しい!!」

 おじいちゃんの盾と同じ、青と白の色をした盾。

 流石に、思うところがあったかな?おじいちゃんはまた少し呆っとしてたみたい。

「・・・ん?あ、ああ。ユリアが気に入ったのならそれにしよう」

 調整してもらった盾を持って店を出る。ずっと手で持ってるのはやっぱり少し重いから抱くようにして持とう。
 おじいちゃんは「持とうか?」って言ってくれたけど、今はずっと持っていたい。

 お家に戻って、お昼を食べて、あたしの部屋に戻る。
 窓の前の机の上に盾を乗せてじぃっと見つめる。自然とニタニタ顔が笑ってしまう。
 手に取って構えてみる。ちょっと強くなった気分。

 そんなことをしていたら、ノックの音に気づかなかった。
 ミリアーナさんが来たみたいで、呼びに来てくれたカーラさんに見られてしまった・・・。恥ずかしい~~っ!

 ミリアーナさんは、昨日話をしたばかりだというのにあたしの加護のことを色々調べてくれたみたい。無口でちょっと冷たい印象があって、おじいちゃんにはもっと冷たいけど、なんだかんだ優しい人みたい。

 ミリアーナさんの話を聞いたあと、付与の神様の加護を確かめるために庭に出て付与魔法を使ってみることになった。
 前回のヒルダ先生の授業でやったばかりだから、忘れてないよ。

 おじいちゃんが確認にと説明してくれたんだけど、どんどん説明が難しくなっていって頭がパンクしそう・・・。
 もっと勉強しなきゃな。

 ハリルとおじいちゃんを実験台にして色んな魔法を試してはみたけれど、全然加護の実感はわいてこなかった。

 その夜は、ベッドに入っても色んなことを考えてしまって、なかなか寝付けなかった──




 翌朝、呆っとしながら朝食を食べて、なんとなくいつものように庭に居るおじいちゃんとハリルを眺めていると、凄く慌てた感じでヒルダ先生が庭に駆け込んできた。

 いつもは母さまに怒られるからしないけど、おじいちゃんの様に部屋からそのまま庭に飛び出す。

 ヒルダ先生、何があった・・・

 えっ?!ルシオスが──




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