24 / 62
蓮side/so far
告白/蓮side.7
しおりを挟む
待ちに待った高校の入学式。
俺と美優は同じクラスだった。…というのは、実は入学前から知っていた。高校のデータベースにハッキングして事前に確認していたからだ。もし別々のクラスならデータをいじって変更する必要があったけど、運良く同じクラスだったので手間が省けた。
学校の敷地内にあるホールで行われた入学式では、出席番号順で着席する為、美優の隣の席だった。すぐ隣に美優がいる。それだけで俺の心臓はどうにかなりそうだった。
高校の真新しいブレザーの制服を身に纏った美優は凄く可愛い。そう思うのは俺だけじゃないらしく、チラチラと美優に向けられる視線に苛々する。
入学式では在校生代表で美優の従兄(久遠大智)が挨拶を務めた。久遠が壇上から美優に笑顔を向け、美優もまたニコニコと微笑み返している様子に更に怒りと焦りが募る。
やっと美優と一緒に居られるのに、このままじゃ他の奴に取られてしまう…。
そんな焦りが俺を追い込んだのか、入学式の後教室に移動して行ったホームルームで俺は覚悟を決めた。
「甘音美優さん、好きです!
俺の誕生日1月15日で苺の日なんだ。美優は1月22日のショートケーキの日だろ?これって運命だよね?だからお願い、付き合ってください。」
そう言って差し出した手は少し震えていた。
もっとカッコ良くスマートに言いたかったが、これが限界だった。
「えーっと…」
驚きと困惑で美優の瞳が揺れていた。
俺の後ろの席にいる省吾が「あちゃー」っと頭を抱えていたが気にしない。
担任に邪魔をされ自己紹介の時間になり
「相澤蓮です。俺、美優にしか興味ないんで」と、クラスの男子へ牽制を忘れない。
自己紹介が美優の番になった時「ちょっと待って!」とポケットを漁る。よし、ボイスレコーダーのスイッチ良し。
「美優、ごめんね。いいよ」
美優は少しむくれた顔で俺を一瞥し自己紹介をする。
「甘音美優です。並木中から来ました。みなさんと仲良くなれると嬉しいです。よろしくお願いします」
うわぁー。めちゃくちゃ可愛い。
いつも少し離れた場所から声を聞いていたし、性能の良いボイスレコーダーでも、生声とは比べ物にならない。
今すぐ抱き締めたい気持ちをぐっとこらえ、隣の席の美優を見つめる。合法的に堂々と美優を見つめる事ができる喜びに思わず口元がニヤケる。
ホームルームの後、俺は早速美優に話しかけた。
「美優、さっきの返事聞かせて?」
「あ、あのっ!相澤君…!」
「なぁに?美優っ♪」
「私達……初対面だよね?」
「そうだね。美優の瞳にちゃんと映るのは初めてかな。嬉しいっ」
実際にはファミレスでハンカチを貰った時に会っているけど、美優から見たら‘一般人A’であって‘相澤蓮’として認識されたのは今回が初めてだ。
「は?…えっと、まだ出会って数時間だよね?」
「美優は覚えてないかもしれないけど、出会ったのは1年前だよ」
「ごめんなさい、覚えてない…。私相澤君の事知らないから返事はできないよ」
「じゃあこれから知っていって。ね、付き合おう」
「ごめんなさい」
美優が頭を下げたのを見て、一気に血の気が引いた。
「待って!待って!やっぱり返事は保留にして!美優に振られたら俺何するかわかんないよ?ね、お願い。俺の事知ってから返事ちょうだい」
やっと一緒に居られるのに、美優に拒絶されたら監禁するしかなくなってしまう。いや、本音は誰にも見せずに閉じ込めてしまいたいんだけど…。
美優と俺が将来の大事な話をしているのに、伊村由妃や久遠大智の邪魔が入る。
今まで美優のガードマンをしていた事は感謝するが、これからは俺が側にいるから不要だ。
美優を俺の元から連れ出してしまう二人に、心底苛々する。思わず力が入り、真っ二つに折れたシャーペンが足元を転がった。
「蓮…初日から飛ばしすぎだよ…」
「省吾うるさい」
俺と美優は同じクラスだった。…というのは、実は入学前から知っていた。高校のデータベースにハッキングして事前に確認していたからだ。もし別々のクラスならデータをいじって変更する必要があったけど、運良く同じクラスだったので手間が省けた。
学校の敷地内にあるホールで行われた入学式では、出席番号順で着席する為、美優の隣の席だった。すぐ隣に美優がいる。それだけで俺の心臓はどうにかなりそうだった。
高校の真新しいブレザーの制服を身に纏った美優は凄く可愛い。そう思うのは俺だけじゃないらしく、チラチラと美優に向けられる視線に苛々する。
入学式では在校生代表で美優の従兄(久遠大智)が挨拶を務めた。久遠が壇上から美優に笑顔を向け、美優もまたニコニコと微笑み返している様子に更に怒りと焦りが募る。
やっと美優と一緒に居られるのに、このままじゃ他の奴に取られてしまう…。
そんな焦りが俺を追い込んだのか、入学式の後教室に移動して行ったホームルームで俺は覚悟を決めた。
「甘音美優さん、好きです!
俺の誕生日1月15日で苺の日なんだ。美優は1月22日のショートケーキの日だろ?これって運命だよね?だからお願い、付き合ってください。」
そう言って差し出した手は少し震えていた。
もっとカッコ良くスマートに言いたかったが、これが限界だった。
「えーっと…」
驚きと困惑で美優の瞳が揺れていた。
俺の後ろの席にいる省吾が「あちゃー」っと頭を抱えていたが気にしない。
担任に邪魔をされ自己紹介の時間になり
「相澤蓮です。俺、美優にしか興味ないんで」と、クラスの男子へ牽制を忘れない。
自己紹介が美優の番になった時「ちょっと待って!」とポケットを漁る。よし、ボイスレコーダーのスイッチ良し。
「美優、ごめんね。いいよ」
美優は少しむくれた顔で俺を一瞥し自己紹介をする。
「甘音美優です。並木中から来ました。みなさんと仲良くなれると嬉しいです。よろしくお願いします」
うわぁー。めちゃくちゃ可愛い。
いつも少し離れた場所から声を聞いていたし、性能の良いボイスレコーダーでも、生声とは比べ物にならない。
今すぐ抱き締めたい気持ちをぐっとこらえ、隣の席の美優を見つめる。合法的に堂々と美優を見つめる事ができる喜びに思わず口元がニヤケる。
ホームルームの後、俺は早速美優に話しかけた。
「美優、さっきの返事聞かせて?」
「あ、あのっ!相澤君…!」
「なぁに?美優っ♪」
「私達……初対面だよね?」
「そうだね。美優の瞳にちゃんと映るのは初めてかな。嬉しいっ」
実際にはファミレスでハンカチを貰った時に会っているけど、美優から見たら‘一般人A’であって‘相澤蓮’として認識されたのは今回が初めてだ。
「は?…えっと、まだ出会って数時間だよね?」
「美優は覚えてないかもしれないけど、出会ったのは1年前だよ」
「ごめんなさい、覚えてない…。私相澤君の事知らないから返事はできないよ」
「じゃあこれから知っていって。ね、付き合おう」
「ごめんなさい」
美優が頭を下げたのを見て、一気に血の気が引いた。
「待って!待って!やっぱり返事は保留にして!美優に振られたら俺何するかわかんないよ?ね、お願い。俺の事知ってから返事ちょうだい」
やっと一緒に居られるのに、美優に拒絶されたら監禁するしかなくなってしまう。いや、本音は誰にも見せずに閉じ込めてしまいたいんだけど…。
美優と俺が将来の大事な話をしているのに、伊村由妃や久遠大智の邪魔が入る。
今まで美優のガードマンをしていた事は感謝するが、これからは俺が側にいるから不要だ。
美優を俺の元から連れ出してしまう二人に、心底苛々する。思わず力が入り、真っ二つに折れたシャーペンが足元を転がった。
「蓮…初日から飛ばしすぎだよ…」
「省吾うるさい」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
『推しに転生したら、攻略対象が全員ヤンデレ化した件』
春夜夢
ファンタジー
「推しキャラが死ぬバッドエンドなんて認めない──だったら、私が推しになる!」
ゲーム好き女子高生の私が転生したのは、乙女ゲームの中の“推しキャラ”本人だった!
しかも、攻略対象たちがみんなルート無視で私に執着しはじめて……!?
「君が他の男を見るなんて、耐えられない」
「俺だけを見てくれなきゃ、壊れちゃうよ?」
推しキャラ(自分)への愛が暴走する、
ヤンデレ王子・俺様騎士・病み系幼なじみとの、危険すぎる恋愛バトルが今、始まる──!
👧主人公紹介
望月 ひより(もちづき ひより) / 転生後:ヒロイン「シエル=フェリシア」
・現代ではゲームオタクな平凡女子高生
・推しキャラの「シエル」に転生
・記憶保持型の転生で、攻略対象全員のヤンデレ化ルートを熟知している
・ただし、“自分が推される側”になることは想定外で、超戸惑い中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる