【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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第三幕 転生歌姫の新たなる旅立ち

第三幕 11 『昇格』

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「ねえ父さん、私、父さんの気持ち分かっちゃったよ」

 凱旋も終わって宿に帰り、皆でまったりしている時、ふと今日の出来事を思い出して父さんに話しかける。

 ばあちゃんに預けていたミーティアは、今はカイトさんとロビーの隅っこで遊んでいる。
 どうやらばあちゃんにオモチャを買ってもらったらしい。
 積み木やヌイグルミでおままごとみたいな事をしているようだ。


「…何だ?藪から棒に」

「二つ名ってさぁ…恥ずかしいよね…」

「…ああ、アレか。…そうだな、誰が考えたんだろうな、あの慣習。Aランクには漏れなく付いてくるという…」

「まださ、『剛刃』とか『閃刃』とかはいいじゃない?私も『歌姫』とかだったらまだ納得できたと思うんだよね」

「…『星光の歌姫ディーヴァ・アストライア』だったか?」

「やめてっ!その名を呼ばないで!ルビを振らないで!」

 思わず頭を振って叫びながら突っ伏してしまう。

「…現実逃避しても、あれだけ大々的にぶち上げちまったからなぁ…もうすっかり知れ渡ってんだろ」

 そうだよな~、広場を埋め尽くす程の人だ。
 住民のかなりの割合があの場にいただろう。
 もはや噂を止める方法などありはしない。

「ま、諦めろ。そのうち慣れるさ」

「…父さんは慣れたの?」

「…すまん」


「何がそんなに嫌なんだ?格好いい二つ名じゃないか」

 そっか~。
 ティダ兄的にはアリなんだね。
 …じゃあやっぱ駄目じゃん。


 はぁ~、今更ジタバタしてもしょうが無いか。
 もう忘れよう。

「それよりもさ、二つ名なんて話になったのも、リファーナ様が私は確実にAに昇格するだろう、って言ったからなんだけど…それも試験無しで」

「そりゃそうだろうな。あれだけの活躍をしておいて昇格しない、なんてこたぁねえだろ」

「そう言うものなの?」

「そう言うもんだ。実力に見合わないランクのままなのはギルドも嫌がるだろうしな」

「じゃあ、姉さんもAランクになろうよ」

「い~や~よ~」

「いいじゃない、仲間になろうよ~。私が二つ名考えるからさ」

「やめて~、あんなの付けられたら生きていけないわ~」

 そこまでなの!?
 既に付けられた私はどうすりゃいいのさ…









 ミーティアと一緒に部屋に戻って、お風呂にも入って今日の疲れが癒やされる。
 あとは、寝るだけだ。

「ミーティア、おやすみなさい」

「おやすみ~、ママ。きょうはおつかれさまでした、なの~」

「あら、ありがとう。ミーティアもお利口さんでお留守番できて偉かったよ」

 なでりなでり。
 にぱ~。

「えへへ~」

「さ、もう寝なさい」

「は~い」

 …

 ……

 ………


 す~、す~、と寝息が聞こえてきた。
 どうやら眠ったようだ。


 さて、私はステータスでも確認しておこうかな。


=======================

【基本項目】

名前 :カティア
年齢 :15
種族 :人間(女神の眷族)
クラス:ディーヴァ
レベル:45

生命値:1,853 / 1,853
魔力 :3,401 / 3,401
筋力 :305
体力 :196
敏捷 :512
器用 :272
知力 :403

【魔法】 ▼

【スキル】▼

【賞罰】

 ■請負人相互扶助組合
  ランク:B(A内定)
  技量認定(戦闘):上級
  技量認定(採取):中級

【特記】

 ■エメリールの加護(魂の守護)
  ※即死攻撃完全無効化

 ■エメリールのシギル

  ※発動時全ステータス +300
  ※常駐時全ステータス +100
  ※発動効果[葬送]:アンデッド特攻(極)

 ■エメリナの加護(慈愛の御手)
  ※治癒系魔法の効果増(極)

 ■エメリリアの加護(勝利の旗手)
  ※戦闘時の味方の能力値増(大)

 ■称号:星光の歌姫ディーヴァ・アストライア

【装備】


=======================

 お~、結構レベルが上がってるね~。

 あとは…
 あ、リナ姉さん、リリア姉さんの加護が追加されてるね。
 説明も詳細になってる。

 ん?
 シギルの効果が記載されてる…
 [葬送]…アンデッド特攻ってなってるけど、これで異界の魂も滅する事が出来たってことかな。

 あとは…

 ああ!?
 こんなところにも二つ名が!?
 魂にすら刻まれるというのか…
 何て重いものを背負ってしまったんだ…


 はあ…
 もう寝よ…

















 ん?
 ああ、例の夢か。


「こんにちは、お姉ちゃん」

 予想通り、もう一人の【私】に話しかけられる。

「こんにちは。また少し大きくなったね」

 前回よりちょっとだけ成長したようだ。
 もう少ししたら私に追いつくだろう。

「今回はお疲れ様、大変だったね」

「そうだね。でも誰も死なずに済んで良かったよ」

「ふふ、大活躍だったものね。『星光の歌姫ディーヴァ・アストライア』さん?」

「もういいって…それに、それは自爆だよ?キミは私なんだから。顔が引きっってるじゃないか」

「うくっ…自分で口にして思った以上にダメージが大きかったよ…」

「「はぁ…」」



「それはそうと!早くカイトさんに言わないと、もう時間ないよ?」

「…それも自爆だなぁ。もともとはキミの感情なんだよ?」

「むむ…それはそうだけど…でも、今の主体はお姉ちゃんなんだから、ビシッとしてもらわないと!」

「何という理不尽…分かったよ、頑張ってみるよ。…でも、いざ話をしようとすると怖くなっちゃって」

「何も告白ってわけじゃないんだよ?」

「…そっちはそっちでどうなのかなぁ?」

「ま、まだ早いんじゃないかな…?」

「「……」」

「ダメだね、私たちって…」

「「はぁ…」」

 なんだか情けなくなってきたよ…

 よく考えたら、これってただの独り言だよねぇ…
 どっちも私なんだから…

 自問自答して解決する類の悩みなら良かったんだけど。














 数日後。
 私はミーティアを連れてギルドに向かっていた。

 今回の対軍団レギオン戦の報酬を受け取るためだ。

 ここ数日、街を歩いていると色々と声をかけられるようになった。
 もともと私の顔はそこそこ知られていたが、あの凱旋以来さらに有名人になってしまったのだ。

 幸いにも取り囲まれたりはしないが、まあ常識がある住民たちで良かったよ。

 ミーティアもいつも私と一緒にいるもんだから、彼女もすっかり有名人だ。
 もともと愛らしい容姿ということもあって、道行く人、特にお爺ちゃんお婆ちゃんから大人気で、よくお菓子をもらったりなんかする。
 素直で愛想もいいからね~。


 と言うことで、人々の注目を浴びながらギルドまでやって来た。



「こんにちは~、スーリャさん」

「おねえちゃん、こんにちは!」

「こんにちはカティアさん、ミーティアちゃん。今日は魔軍討伐戦の報酬の受け渡しでしょうか」

「はい、その件でお伺いしました」

「承知しました。…カティアさんがいらしたらギルド長の方へ案内するように言われております。こちらへどうぞ。」

 …ああ、リファーナ様が言っていたとおりかな?
 Aランクへの昇格。
 少なくとも昇格資格を得るのは確実だと。

 今回案内されるのは、以前の会議室のような所ではなく、ギルド長の執務室らしい。



 コンコン。

「ギルド長、カティアさんをお連れしました」

「ああ、入っていいぞ」

「失礼します」

 スーリャさんに案内されて室内に入る。

 いかにも組織のトップが使う執務室といった風情で、前世で言うところの社長室のようなイメージだ。
 …まあ、そんなところに入ったことはないんだけど。

「こんにちは、ガルガさん」

「おじちゃん、こんにちは~」

「おお、ミーティアもいっしょか、よく来たな!」

 普段は貫禄があって怖がる人もいるけど、相好を崩すととても優しそうな雰囲気になる。
 まるで親戚のオジサンのようだ。


「さて、カティアよ。お前を呼んだのは他でもない…」

「…昇格、ですか?」

「その通りだ。前回の魔軍討伐における目覚ましい活躍。その貢献度を算定したが、充分にAランクへの昇格要件を満たすものだ」

「ありがとうございます」

「ママ、すごいの!」

 まあ、ここまでは想定内。
 問題は無条件に昇格なのかどうか。
 …いや、真の問題は、あの二つ名が正式に授与されてしまうのかどうかだ!

「私も現場にいたのでな。お前の活躍はこの目でしっかりと見せてもらったよ」

 私は、リファーナ様の指揮下だったので当日ガルガさんには会っていないけど、遊撃部隊以外の冒険者の指揮はこの人がとっていたはず。


「そして、ギルドとしては今回の活躍自体が充分にAランクとして相応しいものであると判断した。よって、昇格試験は免除。今この時をもってAランクへの昇格を認める」

 !…くっ、これで昇格は確定。
 あとは、アレがどうなるか…

「更に、だ。侯爵閣下よりSランクへの推薦の話が上がっている」

「え、Sランク…ですか?」

 当たり前だけど、閣下にはもう報告が行ったんだね。
 しかし、Sランクか…ピンと来ないな~?

「そうだ。あれだけの戦闘で一人の死者も出さないというのは、まさに英雄と言うに相応しい成果だろう。だが、こちらについてはすぐに決められるものではない。本部に推薦を上げてから、代表者会議を経て承認されれば、という事だ」

「そうですか…まあ、あまりピンと来てませんし、どっちでもいいですよ」

「ふむ。まあ、カティアは名誉欲とは無縁か」

 そうだね。
 まあ、高ランクのほうが引退一時金なんかもかなりの物になるし、昇格できるものならしておきたい。

「ま、そちらは気長に待ってれば良い。あとは、Aランク昇格に伴い、ギルドから称号が贈られるのだが…」

 !!
 来たっ!

「今回はリファーナ様、ルシェーラ様たっての希望でな、すでに『星光の歌姫ディーヴァ・アストライア』で決まっておる」

 はあーーっ!!?
 もう決定なんですか!?

「…拒否権は?」

「ない。無理だ。諦めろ。大人の事情を察しなさい」

 そ、そこまで言う!?

 ああ、権力者が厨二病を患うとこのような悲劇が生まれるんだね…

 ええいっ!!
 もうヤケクソだっ!

 私が『星光の歌姫ディーヴァ・アストライア』、カティアだよっ!!

 …

 ……

 ………は、恥ずかしーーっ!!
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