181 / 683
第七幕 転生歌姫と王都大祭
第七幕 29 『武神杯〜本戦第一回戦第三試合』
しおりを挟む
第一回戦第二試合は実力が近い者同士の対戦となり、接戦が繰り広げられた。
特に気になる選手ではなかったのだけど、白熱した戦いには観客たちも興奮し満足がいくものだったようだ。
勝ったのは魔法と剣を組み合わせて戦う魔法戦士…エリオット選手。
彼が第二回戦第一試合でラウルさんと対戦することになるが…彼には申し訳ないが、ラウルさんの勝ちは揺るがないものと思われる。
そして、第一回戦第三試合は私の出番だ。
相手はエルフ少女(?)シフィルさん。
線が細く可憐な容姿とは裏腹に豪快な弓技(?)と風魔法を巧みに操って戦う強敵だ。
苦戦は必至と思われるが…むしろ対戦が楽しみである。
控室から舞台に向かおうとすると(なお、出口が二つあって、対戦者はそれぞれ異なる出口から舞台に上がる)、当のシフィルさんが声をかけてきた。
「ねえ、アンタ…そんな格好してるけど、女の子だよね」
「なっ!?…なぜ分かったの!?」
「…いや、何故って。予選で喋ってたから」
ガビンッ!?
「くっ…私としたことが…!」
「ま、まあ、とにかく…女子選手がこうして本戦に勝ち上がって来てるのは嬉しいわね。残念ながら第一試合は負けちゃったし、私達も初戦でぶつかるのが勿体ないけど…」
ふむ…結構好意的なんだね。
てっきり、もっとこう…ツンツンしてる人かな?って勝手にイメージしてたけど。
「だけど、勝負するからには手加減無用!真剣勝負よ!」
「ええ、もちろんです」
そう宣言すると、お互いに拳を突き合わせる。
そして、それぞれ舞台に続く扉をくぐるのだった。
『さあ!次も注目の試合です!第一回戦第三試合は…ディズリル選手対シフィル選手!』
舞台に上がった私達を大きな歓声と拍手が迎えてくれる。
まずは司会のお姉さんから選手紹介だが…私はどう言う風に紹介されるんだろ?
『先ずはディズリル選手ですが…予選では、たった一撃でディズリル選手以外の全員を戦闘不能に陥れると言う離れ業をやってのけたジリオン選手を打倒して本戦出場を果たしました』
ああ~、あれは驚いたねぇ…
『そのジリオン選手ですが…毎年予選で優勝者に当たると言う圧倒的不運の持ち主ですが、紛れもなく本戦出場クラスの実力者であります』
今日も観戦に来ているはず。
どこかで、『ほっとけ!』とか言ってそうだね。
『ディズリル選手は剣と魔法…予選では特に強力な魔法を駆使して相手を圧倒しました!正体は分かりませんが、確かな実力を持つ強者であることは疑いの余地がありません!』
多分司会のお姉さんは正体を知ってるんだよね。
面倒をかけてスミマセン。
『一方のシフィル選手も予選で圧倒的な力を見せて勝ち抜いております!巧みな弓さばき(?)に加えて風魔法も用いた多彩な攻撃が見事でした。私はシフィル選手のことは寡聞にして存じ上げなかったのですが、その実力は間違いなく今大会でもトップクラスであると思われます!』
巧みな弓さばき…ね。
常識にとらわれない発想、畳み掛けるような攻撃はかなりの驚異となるだろう。
そのシフィルさんは、今は目を閉じて集中力を高め試合開始の合図を待っている様子。
『ダードレイさん、今回の試合はどう予想されますか?』
『ふむ…まず、カ…ディズリル選手は、とにかく戦いの幅が広い。俺ぁ正体を知ってるんだが、いわゆる天才って奴だ。だが、才能の上に胡座をかいてるような奴じゃねえし、慢心や油断とも無縁…なんだが。ちょっと抜けたところがあるからそこが狙い目っちゃあ狙い目だ。…だいたいアイツ、自分が女だってバレてるのにも気付いてねぇんじゃねえか?』
ちょっと!?
そんなに喋ったら正体バレるじゃないの!!
それに、女だってバレてるのは知ってるよ!
…シフィルさんが教えてくれたんだけどさ。
ぬ、抜けてる…かな…
『では、片やシフィル選手は如何でしょう?』
『シフィル選手はやはりその攻撃力の高さだな。爆発力があって、自分のペースに巻き込んでしまえばかなり有利に戦うことが出来るんじゃねえかな。これに対抗するには、とにかく後手に回らないこと。それは、カ…ディズリル選手も分かっているだろうから、この試合はまぁ派手になりそうだな?』
『そうですか!それは見ごたえがありそうですね。観客も大いに盛り上がることでしょう!』
さて。
選手紹介も終わったことだし…あとは試合開始の合図を待つのみだ。
審判が私達の準備ができてることを確認し…
『では、第一回戦第三試合…始めっ!!』
ついに試合開始となった!!
大方の予想を裏切り最初は静かな立ち上がり。
私もシフィルさんも相手の出方を窺っている。
『試合開始となりましたが、意外なことに静かな立ち上がりですね…?』
『そうだな。お互いに最初の攻撃が重要と考えているんだろう。今は慎重に機を見ているが…そら、動いたぞ』
先に動いたのはシフィルさん。
手にした弓に矢を番えて3連発で放ってくる。
まずは挨拶代わりってことだね。
一つは最短距離を一直線に、残りの矢は弧を描く軌道で挟み込むように襲いかかる。
私は構えた薙刀の角度を僅かに変え、キンッ!キキンッ!と甲高い音を立てて弾き飛ばした。
私は緩急をつけてジグザグにステップを踏んで、狙いを付けにくくしながらシフィルさんへと肉薄する。
間合いに入ったところで身体を低く沈ませ、足元を大きく薙ぎ払う一撃を見舞う!
びゅおんっ!!
シフィルさんはバックステップでその一撃を躱し、更に間合いを大きく外しながら攻撃直後の私の隙を突いて矢を射かけるが、私は冷静に軌道を見極めて僅かに身体をずらしてそれを躱す。
「予選の時と武器が違うのね?」
そこでシフィルさんが話しかけてきた。
まだまだ余裕があるね。
お互いに。
「ええ、昨日ちょうど調整が終ったので。こっちの方が少しだけ得意なんですよ」
「なるほど、全力で戦えるのは望むところね」
そう言って彼女は、可憐な容姿からは想像もつかないほどの凄絶な笑みを浮かべる。
まだ試合は始まったばかり。
さっきまでの攻防は、お互いほんの小手調べに過ぎない。
これからもっと激しい戦いが繰り広げられるのだ。
私はその予感に、きっと彼女と同じような笑みを浮かべてることだろう。
特に気になる選手ではなかったのだけど、白熱した戦いには観客たちも興奮し満足がいくものだったようだ。
勝ったのは魔法と剣を組み合わせて戦う魔法戦士…エリオット選手。
彼が第二回戦第一試合でラウルさんと対戦することになるが…彼には申し訳ないが、ラウルさんの勝ちは揺るがないものと思われる。
そして、第一回戦第三試合は私の出番だ。
相手はエルフ少女(?)シフィルさん。
線が細く可憐な容姿とは裏腹に豪快な弓技(?)と風魔法を巧みに操って戦う強敵だ。
苦戦は必至と思われるが…むしろ対戦が楽しみである。
控室から舞台に向かおうとすると(なお、出口が二つあって、対戦者はそれぞれ異なる出口から舞台に上がる)、当のシフィルさんが声をかけてきた。
「ねえ、アンタ…そんな格好してるけど、女の子だよね」
「なっ!?…なぜ分かったの!?」
「…いや、何故って。予選で喋ってたから」
ガビンッ!?
「くっ…私としたことが…!」
「ま、まあ、とにかく…女子選手がこうして本戦に勝ち上がって来てるのは嬉しいわね。残念ながら第一試合は負けちゃったし、私達も初戦でぶつかるのが勿体ないけど…」
ふむ…結構好意的なんだね。
てっきり、もっとこう…ツンツンしてる人かな?って勝手にイメージしてたけど。
「だけど、勝負するからには手加減無用!真剣勝負よ!」
「ええ、もちろんです」
そう宣言すると、お互いに拳を突き合わせる。
そして、それぞれ舞台に続く扉をくぐるのだった。
『さあ!次も注目の試合です!第一回戦第三試合は…ディズリル選手対シフィル選手!』
舞台に上がった私達を大きな歓声と拍手が迎えてくれる。
まずは司会のお姉さんから選手紹介だが…私はどう言う風に紹介されるんだろ?
『先ずはディズリル選手ですが…予選では、たった一撃でディズリル選手以外の全員を戦闘不能に陥れると言う離れ業をやってのけたジリオン選手を打倒して本戦出場を果たしました』
ああ~、あれは驚いたねぇ…
『そのジリオン選手ですが…毎年予選で優勝者に当たると言う圧倒的不運の持ち主ですが、紛れもなく本戦出場クラスの実力者であります』
今日も観戦に来ているはず。
どこかで、『ほっとけ!』とか言ってそうだね。
『ディズリル選手は剣と魔法…予選では特に強力な魔法を駆使して相手を圧倒しました!正体は分かりませんが、確かな実力を持つ強者であることは疑いの余地がありません!』
多分司会のお姉さんは正体を知ってるんだよね。
面倒をかけてスミマセン。
『一方のシフィル選手も予選で圧倒的な力を見せて勝ち抜いております!巧みな弓さばき(?)に加えて風魔法も用いた多彩な攻撃が見事でした。私はシフィル選手のことは寡聞にして存じ上げなかったのですが、その実力は間違いなく今大会でもトップクラスであると思われます!』
巧みな弓さばき…ね。
常識にとらわれない発想、畳み掛けるような攻撃はかなりの驚異となるだろう。
そのシフィルさんは、今は目を閉じて集中力を高め試合開始の合図を待っている様子。
『ダードレイさん、今回の試合はどう予想されますか?』
『ふむ…まず、カ…ディズリル選手は、とにかく戦いの幅が広い。俺ぁ正体を知ってるんだが、いわゆる天才って奴だ。だが、才能の上に胡座をかいてるような奴じゃねえし、慢心や油断とも無縁…なんだが。ちょっと抜けたところがあるからそこが狙い目っちゃあ狙い目だ。…だいたいアイツ、自分が女だってバレてるのにも気付いてねぇんじゃねえか?』
ちょっと!?
そんなに喋ったら正体バレるじゃないの!!
それに、女だってバレてるのは知ってるよ!
…シフィルさんが教えてくれたんだけどさ。
ぬ、抜けてる…かな…
『では、片やシフィル選手は如何でしょう?』
『シフィル選手はやはりその攻撃力の高さだな。爆発力があって、自分のペースに巻き込んでしまえばかなり有利に戦うことが出来るんじゃねえかな。これに対抗するには、とにかく後手に回らないこと。それは、カ…ディズリル選手も分かっているだろうから、この試合はまぁ派手になりそうだな?』
『そうですか!それは見ごたえがありそうですね。観客も大いに盛り上がることでしょう!』
さて。
選手紹介も終わったことだし…あとは試合開始の合図を待つのみだ。
審判が私達の準備ができてることを確認し…
『では、第一回戦第三試合…始めっ!!』
ついに試合開始となった!!
大方の予想を裏切り最初は静かな立ち上がり。
私もシフィルさんも相手の出方を窺っている。
『試合開始となりましたが、意外なことに静かな立ち上がりですね…?』
『そうだな。お互いに最初の攻撃が重要と考えているんだろう。今は慎重に機を見ているが…そら、動いたぞ』
先に動いたのはシフィルさん。
手にした弓に矢を番えて3連発で放ってくる。
まずは挨拶代わりってことだね。
一つは最短距離を一直線に、残りの矢は弧を描く軌道で挟み込むように襲いかかる。
私は構えた薙刀の角度を僅かに変え、キンッ!キキンッ!と甲高い音を立てて弾き飛ばした。
私は緩急をつけてジグザグにステップを踏んで、狙いを付けにくくしながらシフィルさんへと肉薄する。
間合いに入ったところで身体を低く沈ませ、足元を大きく薙ぎ払う一撃を見舞う!
びゅおんっ!!
シフィルさんはバックステップでその一撃を躱し、更に間合いを大きく外しながら攻撃直後の私の隙を突いて矢を射かけるが、私は冷静に軌道を見極めて僅かに身体をずらしてそれを躱す。
「予選の時と武器が違うのね?」
そこでシフィルさんが話しかけてきた。
まだまだ余裕があるね。
お互いに。
「ええ、昨日ちょうど調整が終ったので。こっちの方が少しだけ得意なんですよ」
「なるほど、全力で戦えるのは望むところね」
そう言って彼女は、可憐な容姿からは想像もつかないほどの凄絶な笑みを浮かべる。
まだ試合は始まったばかり。
さっきまでの攻防は、お互いほんの小手調べに過ぎない。
これからもっと激しい戦いが繰り広げられるのだ。
私はその予感に、きっと彼女と同じような笑みを浮かべてることだろう。
11
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる