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第九幕 転生歌姫の学園生活
第九幕 1 『アイドル』
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入学式が終わって、私達新入生は自分たちのクラスに向かう。
クラス分けは合格通知に同封されていた書類に記載されていた。
1年のクラスは1組から8組まであって、私は1年1組だ。
1クラスの人数およそ40名前後。
クラス分けは基本的に入試の成績は関係ないのだが、1組だけは成績上位者で占められてる…らしい。
レティやルシェーラ、ステラ、シフィル、試験のとき一緒だったユーグなどが同じクラスだ。
…残念ながらメリエルちゃんは別クラスだけど、お隣の2組だって。
同じく試験で一緒だった、戦闘脳のガエルくんが何組かは知らない。
そして、教室に向かうべく大ホールを出ようとしたのだが……
「おい!押すなよ!」
「前の奴ら邪魔だ!見えねーだろうが!」
「キャーッ!!本物のカティア様よ!!ステキッ!!」
…
……
……えらいこっちゃ。
大ホールの出入り口は、近くで一目私を見ようと多くの生徒でごった返し、混乱を極めていた。
「いや~、流石は王女サマだねぇ~。まるでアイドルだよ。……いや、そう言えばまんまアイドルだったわ」
「まあ、この状況も当然と言えば当然なんですけど……これじゃ出られませんわね」
「もう面倒くさいから風魔法で吹き飛ばす?」
「だ、だめよ…シフィル」
何かゴメン。
でも、ルシェーラの言う通り、これじゃあ外に出られないよ。
と、どうしようかと悩んでいると。
「…じゃまだ、どけ」
「ひっ…!?」
ぬっ…と私達の前に現れて集まった学生たちをその巨躯で威圧しながら道を切り開くのは…
「あ、ガエルくん!」
「どうした?教室に行くのだろう?」
「う、うん…ありがとう、助かったよ」
どうやらこの状況を見兼ねて助けてくれたらしい。
いや、助かった。
もう少しで、シフィル案を採用するとこだったよ。
ガエルくんの後をついていくと、まるでモーセが海を割るが如く集まった学生たちが避けていく。
おお…これは便利だ。
そんなこんなで大ホールを何とか脱出した私達は、ようやく教室にたどり着いた。
「ガエルくん、ありがとね~」
「いや、礼には及ばない。…じゃあな」
「あ!ねえねえ、ガエルくんは何組なの?」
「…2組だ」
「じゃあ隣のクラスだね。これからよろしくね!」
「ああ…」
そうして彼は隣のクラスに入っていった。
さて、私も自分のクラス…と思って振り向くと、何やらレティたちがニヤニヤしてる。
「ん?…なんなの、その表情は?」
「いやいや~、全く罪な女ですな~。ねぇ、ルシェーラちゃん?」
「ええ全く。これじゃあカイト様も気が気でないでしょうね…お国元に戻ってる場合じゃありませんわね」
「なに言ってるの…ただ普通に同級生と話をしてただけでしょーが」
全く…すぐそっちの話に持ってこうとするんだから。
あ、いまルシェーラが言っていた通り、カイトは今レーヴェラントに一時帰国している。
劇団の公演が終わったタイミングで、ちょうどアルノルト様が視察から戻られたので、一緒についていったのだ。
私との婚約の話を正式に父…レーヴェラント王と話をするためだ。
その他にも、一連の黒神教絡みの事件についての協議もしてくるらしい。
「いやぁ…彼はもうオチたね」
「ですわね。…これから一体何人の犠牲者が出るのかと、先が思いやられますわ」
「馬鹿なこと言わないの……彼は戦闘脳だからね。私には戦士として一目置いてくれてるとは思うけど、それだけだよ」
「…まあ、そういう事にしておきましょうか」
「…ねえねえ、今の会話の流れだと、カティアって彼氏いるんだよね?」
「シフィル…!声が大きいわよ。カティアさんは、レーヴェラントの第三王子であるテオフィルス様と婚約関係なのよ」
「う、うん…まだ正式じゃないから、あんまり大きな声で言えないのだけど」
立場的に色々と面倒くさいんだよ、その辺は。
「あ、ごめんなさい。つい…」
ペロっと下を出して、お茶目な感じで謝るシフィル。
こういうところ、彼女はあまり貴族令嬢っぽくない感じ。
でも、その気になればそれっぽく振る舞えるので、なかなか器用なんだよね。
「ほらほら、こんなところで立ち話してたらまた囲まれかねないからさっさと中に入ろ」
「…レティが変な話始めたんでしょう」
「まあまあ…」
そんなやり取りをしつつ教室の扉を開けて中に入る。
軽く見渡してみると、特に変わったところはない、いわゆる普通の教室だ。
前世の学校のそれと大差ない感じ。
机や椅子の雰囲気も似てるなぁ…
何だか懐かしいよ。
チラッ、とレティを見てみると、やはり少し懐かしげな…多少物憂げな表情ものぞかせて教室内を眺めている。
ちょっとした郷愁じみたものを感じてるのだろう。
既に教室内にいたクラスメイトの視線が集まる。
ふむ…これから長い付き合いなんだから、第一印象が大切だよね。
そう思って私は笑顔でクラスメイトたちに挨拶をする。
「みなさん、おはようございます(ニコッ)」
ガタガタッ!!
「「「おはようございます!!」」」
わ!?
び、びっくりした~……ものすごい勢いで皆立ち上がって、ビシッと直立不動で挨拶を返された。
…どこの軍隊だよ。
「はいはい皆、この学園では身分の差なく平等だからね~。カティアも言ってたでしょ?ふつ~にしなさい、ふつ~に」
「そうですわよ。カティアさんは長く市井で過ごされてたのですから、もっと気楽に接したほうが喜ばれますわよ」
コクコク。
ちょっと呆気に取られながらも、レティとルシェーラの言葉に頷く。
「おう、お前たち何してるんだ?早く席に着け」
と、そのタイミングで1組の担任らしき先生がやって来た。
担任は…武術の試験官を担当していたスレイン先生だ。
もと冒険者が学園のクラス担任というのは、かなり異色なんじゃないかな?
先生に促されて、私達も席に着いた。
と、その時…
「わ~!!すみません!!道に迷って遅れましたぁ!!」
慌ただしく教室に入ってきたのは、メリエルちゃんだ。
……あれ?
「あ、あれ?なんでカティアが私のクラスにいるの?」
「……ここは1年1組だよ。2組は隣ね」
「へっ!?し、失礼しましたぁー!!」
バタバタ……
……
…
ガラガラっ!
『遅くなりましたー!!』
『……メリエルさん、ここは3組です』
『ぎにゃーーっ!?』
……なぜ一つとばす。
「…さあ、ホームルームを始めるか」
あ、先生スルーしたね。
クラス分けは合格通知に同封されていた書類に記載されていた。
1年のクラスは1組から8組まであって、私は1年1組だ。
1クラスの人数およそ40名前後。
クラス分けは基本的に入試の成績は関係ないのだが、1組だけは成績上位者で占められてる…らしい。
レティやルシェーラ、ステラ、シフィル、試験のとき一緒だったユーグなどが同じクラスだ。
…残念ながらメリエルちゃんは別クラスだけど、お隣の2組だって。
同じく試験で一緒だった、戦闘脳のガエルくんが何組かは知らない。
そして、教室に向かうべく大ホールを出ようとしたのだが……
「おい!押すなよ!」
「前の奴ら邪魔だ!見えねーだろうが!」
「キャーッ!!本物のカティア様よ!!ステキッ!!」
…
……
……えらいこっちゃ。
大ホールの出入り口は、近くで一目私を見ようと多くの生徒でごった返し、混乱を極めていた。
「いや~、流石は王女サマだねぇ~。まるでアイドルだよ。……いや、そう言えばまんまアイドルだったわ」
「まあ、この状況も当然と言えば当然なんですけど……これじゃ出られませんわね」
「もう面倒くさいから風魔法で吹き飛ばす?」
「だ、だめよ…シフィル」
何かゴメン。
でも、ルシェーラの言う通り、これじゃあ外に出られないよ。
と、どうしようかと悩んでいると。
「…じゃまだ、どけ」
「ひっ…!?」
ぬっ…と私達の前に現れて集まった学生たちをその巨躯で威圧しながら道を切り開くのは…
「あ、ガエルくん!」
「どうした?教室に行くのだろう?」
「う、うん…ありがとう、助かったよ」
どうやらこの状況を見兼ねて助けてくれたらしい。
いや、助かった。
もう少しで、シフィル案を採用するとこだったよ。
ガエルくんの後をついていくと、まるでモーセが海を割るが如く集まった学生たちが避けていく。
おお…これは便利だ。
そんなこんなで大ホールを何とか脱出した私達は、ようやく教室にたどり着いた。
「ガエルくん、ありがとね~」
「いや、礼には及ばない。…じゃあな」
「あ!ねえねえ、ガエルくんは何組なの?」
「…2組だ」
「じゃあ隣のクラスだね。これからよろしくね!」
「ああ…」
そうして彼は隣のクラスに入っていった。
さて、私も自分のクラス…と思って振り向くと、何やらレティたちがニヤニヤしてる。
「ん?…なんなの、その表情は?」
「いやいや~、全く罪な女ですな~。ねぇ、ルシェーラちゃん?」
「ええ全く。これじゃあカイト様も気が気でないでしょうね…お国元に戻ってる場合じゃありませんわね」
「なに言ってるの…ただ普通に同級生と話をしてただけでしょーが」
全く…すぐそっちの話に持ってこうとするんだから。
あ、いまルシェーラが言っていた通り、カイトは今レーヴェラントに一時帰国している。
劇団の公演が終わったタイミングで、ちょうどアルノルト様が視察から戻られたので、一緒についていったのだ。
私との婚約の話を正式に父…レーヴェラント王と話をするためだ。
その他にも、一連の黒神教絡みの事件についての協議もしてくるらしい。
「いやぁ…彼はもうオチたね」
「ですわね。…これから一体何人の犠牲者が出るのかと、先が思いやられますわ」
「馬鹿なこと言わないの……彼は戦闘脳だからね。私には戦士として一目置いてくれてるとは思うけど、それだけだよ」
「…まあ、そういう事にしておきましょうか」
「…ねえねえ、今の会話の流れだと、カティアって彼氏いるんだよね?」
「シフィル…!声が大きいわよ。カティアさんは、レーヴェラントの第三王子であるテオフィルス様と婚約関係なのよ」
「う、うん…まだ正式じゃないから、あんまり大きな声で言えないのだけど」
立場的に色々と面倒くさいんだよ、その辺は。
「あ、ごめんなさい。つい…」
ペロっと下を出して、お茶目な感じで謝るシフィル。
こういうところ、彼女はあまり貴族令嬢っぽくない感じ。
でも、その気になればそれっぽく振る舞えるので、なかなか器用なんだよね。
「ほらほら、こんなところで立ち話してたらまた囲まれかねないからさっさと中に入ろ」
「…レティが変な話始めたんでしょう」
「まあまあ…」
そんなやり取りをしつつ教室の扉を開けて中に入る。
軽く見渡してみると、特に変わったところはない、いわゆる普通の教室だ。
前世の学校のそれと大差ない感じ。
机や椅子の雰囲気も似てるなぁ…
何だか懐かしいよ。
チラッ、とレティを見てみると、やはり少し懐かしげな…多少物憂げな表情ものぞかせて教室内を眺めている。
ちょっとした郷愁じみたものを感じてるのだろう。
既に教室内にいたクラスメイトの視線が集まる。
ふむ…これから長い付き合いなんだから、第一印象が大切だよね。
そう思って私は笑顔でクラスメイトたちに挨拶をする。
「みなさん、おはようございます(ニコッ)」
ガタガタッ!!
「「「おはようございます!!」」」
わ!?
び、びっくりした~……ものすごい勢いで皆立ち上がって、ビシッと直立不動で挨拶を返された。
…どこの軍隊だよ。
「はいはい皆、この学園では身分の差なく平等だからね~。カティアも言ってたでしょ?ふつ~にしなさい、ふつ~に」
「そうですわよ。カティアさんは長く市井で過ごされてたのですから、もっと気楽に接したほうが喜ばれますわよ」
コクコク。
ちょっと呆気に取られながらも、レティとルシェーラの言葉に頷く。
「おう、お前たち何してるんだ?早く席に着け」
と、そのタイミングで1組の担任らしき先生がやって来た。
担任は…武術の試験官を担当していたスレイン先生だ。
もと冒険者が学園のクラス担任というのは、かなり異色なんじゃないかな?
先生に促されて、私達も席に着いた。
と、その時…
「わ~!!すみません!!道に迷って遅れましたぁ!!」
慌ただしく教室に入ってきたのは、メリエルちゃんだ。
……あれ?
「あ、あれ?なんでカティアが私のクラスにいるの?」
「……ここは1年1組だよ。2組は隣ね」
「へっ!?し、失礼しましたぁー!!」
バタバタ……
……
…
ガラガラっ!
『遅くなりましたー!!』
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