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第九幕 転生歌姫の学園生活

第九幕 2 『カティアちゃん何でもQ&A』

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「先ずは自己紹介をしておこう。受験で武術試験を受けたやつは知ってるかもしれんが…俺はこれから一年間、このクラスの担任となるスレインと言う。授業は当然ながら武術を受け持っているな」


 もとAランク冒険者とのことだったけど、試験の時はその実力を見ることは無かった。
 だけど強者の雰囲気はひしひしと感じられるね。

 試験の時は私の方が実力は上なんて謙遜してたけど、是非とも手合わせしてみたいところだ。
 まあ、これから授業とかでいくらでもその機会はあると思うけど。
 …また補佐とかやらされるかも知れないが。


 スレイン先生は年齢は二十代後半から三十代前半くらいだろうか。
 上背はそれ程高いわけじゃないけどがっしりした体格で、黒髪を短く刈り込んだ強面、ドスの効いた低音の声……学生からしたらかなり怖いんじゃないかな?

 だけど、試験の時のやり取りからすると、割と気さくな感じがした。
 私はこの手のタイプは慣れてる方だしね。



「じゃあ、お前たちにも自己紹介してもらおうか。そっちの端の方…ああ、お前のところからだな。そうだな…出身地とか、得意科目とか…まあ、何かひとこと頼むわ」

 因みに、黒板に座席表が書かれていたのでその通りに着席してるのだが、何順なのかはよく分からなかった。

 一人ずつ順番に自己紹介していくので、名前と顔を覚えていく。
 こういう時は記憶力が良いと助かるね。



 …と、次はレティの番か。
 何か私が目立ってるって言うけど、レティも十分目立ってるよねぇ…


「レティシア=モーリスです。よろしくお願いします。出身はイスパルナ。得意科目は…魔法学かな?え~と、カティアの挨拶にもあった通り、身分とか気にしないで仲良くしてくれると嬉しいです。…あ、カティアに話しかけ難かったら私が窓口になるよ~」

 こらこら、私をダシにするんじゃないよ。
 何か余計にハードル高い感じがするじゃないの…
 あなただって公爵令嬢なんだから、こっちサイドだよ!



………


「ルシェーラ=ブレーゼンですわ。よろしくお願いいたします。ブレーゼン領の出身で、得意科目は…武術です。目標はカティアさんと並んで戦えるようになる事ですわ!」

 …ブレない娘だよ。
 まあ、今だって相当な実力があるし、真っ直ぐで努力を怠らない人だからね。
 きっと、今よりもずっと強くなるよ。



………


「ステラ=アダレットです。よろしくお願いします。出身はアダレット王国です。得意科目…と言うほどではありませんが、自然科学は好きですね」

 ステラは無難な感じ。
 真面目で控えめだよね。
 むしろ男子的にはこういう娘が人気ありそうだけど。
 …【俺】はどうだったかなぁ?




 ………


「シフィル=エルジュです。よろしく!ステラと同じくアダレットの出身よ。得意科目は魔法か武術かな?目標は…打倒!カティアよ!」

 ふふふ…受けて立つよ!
 けど、武神杯で戦った時だって殆ど互角だったし、私もうかうかしてられないね。




 ………


「ユーグ=アドレアンです。よろしくお願いします。出身は王都です。得意科目は…数学ですかね。カティアさんの代表挨拶には感銘を受けましたし、僕自身も身分に分け隔てなく皆さんと交流したいと思ってますが……無礼な振る舞いをして良いという訳ではありません。親しき中にも礼儀あり、と言う事をお忘れなきよう」

 ユーグは王都出身か。
 しかし、堅いなぁ…もっと気楽に行こうよ。
 こっちの方がよっぽど王族みたいだよ。
 インテリメガネだし。
 いや、それは関係ないか。






 ………


 そして、私の番がきた。
 ん~、何を話そうかな?

「みなさん始めまして、カティア=イスパルです。これから長いお付き合いになると思いますが、よろしくお願いします。出身は……どこだろ?生まれたのはアダレットですが……え~と、ご存知の方もいるかも知れませんが、私は旅芸人一座の娘として各地を旅して回っていました。なので、ずっと平民として暮らしてましたし、気軽に接してくれたら嬉しいです」

 と、挨拶を終えたのだが、どういうわけか先生がここで割り込んできた。

「よし、じゃあカティアに質問したいやつはいるか?」

 ふぁっ!?
 なんで私だけ!?

「「「はい!!」」」

 うぇ!?
 ほとんど全員手を挙げてる!?

 何をそんなに聞くことあるのさ…


「ふむ…では、そこのお前から」

「はい!じゃ、じゃあ…どんなタイプの男が好みですか!?」

「え?え~と、理知的な人…かな?あ、脳筋とチャラいのはイヤです」

 カイトは理知的だよねぇ。
 …って、何を真面目に答えてるんだ…私は。


「じゃあ、次はお前」

「やたっ!ではズバリ、付き合ってる人はいますか!?」

 その質問で教室内の空気が一変した!
 主に男子の目つきが……
 コワイ。

「え~と……立場的に気軽に答えられませんので、ノーコメントで」


 ヒソヒソ…

(どう思う?)

(市井におられたなら恋人くらいいてもおかしくないが…)

(いや、それより王女様なんだから婚約者くらいいてもおかしくないだろ?)

(そうだけど…まだ望みはあるはず!)


 …聞こえてるよ。

 ふっ……残念だが、君たちに望みなど無いよ!



「はいっ!次おれっ!!す、スリーサイズは!?」

(((おお~!!勇者がいる!!)))

 ………セクハラやん。
 勇者ちゃうわ。

 君たち、女子の冷たい視線に気が付いたほうがいいと思うよ。
 まるで汚物を見るかのようだよ?

「詳しくは分からな…」

「ん~、確か……………だったかな?」

「レティっ!?って言うか何であなたが私のスリーサイズなんて知ってるのっ!?」

「あ、ほら、ウチに泊まったときに私のドレス着てピッタリだったでしょ?それで…」

「……王城来て直ぐにピッタリの服が用意されていて不思議に思ってたんだけど。もしかしてモーリス家から伝わったの……?」

 どーでもいいフラグ回収だな……
 て言うか、それレティも自爆だよ?


 ヒソヒソ…

(………か。控えめなんだな)

(ちっぱいか…残念だ)

(何を言う。むしろそれがイイ)

 だから聞こえてるんだって!
 オマエラコロスぞ。



「はいはい!次わたしっ!!」

 ほっ…
 女子ならそんなに変な質問しないでしょ。
 て言うか、いつ終わるのコレ?

「エーデルワイス歌劇団のカイト様って恋人いますか!?」

 ……ある意味男子より厄介だった。
 姉さんの気持ちが分かる気がするよ。
 むしけry…

「ちょ、ちょっと分からないかな?」


(こめかみがピクピクしてますわ)

(笑顔が引きつってるね)

(少し殺気も漏れてるよ)



 ………


 その後も色々と質問されたが…もういい加減終わりにして、と思い始めた頃に先生が質問タイムの終わりを告げた。

「よ~し、そのへんまでにしとけ。……思いの外時間食っちまったな」


 あなたが最初に振ったんでしょーがっ!!





 でもまぁ…かなりクラスメイトと打ち解けることが出来たのかも?
 もしかしたら先生はそれを狙ってたのかな?なんて思ったりもした。
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