246 / 683
第九幕 転生歌姫の学園生活
第九幕 19 『アズール商会』
しおりを挟む
リディーさんと別れた私達は、最初の目的であるアズール商会へとやって来た。
とは言っても、ここに用事があるのは私だけだ。
「モーリス商会とアズール商会って、商売敵じゃないの?」
今更ながら、少し気になったのでレティに確認してみる。
「ん~?…まあ、商売だからね。ライバルになる事もあれば、提携することもあるし…まあ普通にビジネスライクな付き合いだと思うよ。あ、でも最近はプルシアさんと一緒に魔道具開発してたりするから、割と良好な関係って言えるんじゃないかな」
「そっか。なら良かった」
険悪な関係なのに会長を連れてくのは流石にマズいもんね…
アズール商会はモーリス商会の数件隣の建物で…もはやこれはビルといっても良いかもしれない。
この一角は大商会の本店級の店が軒を連ねるので、どの建物も大きいのだが、アズール商会のそれは更に抜きん出た大きさだ。
周りの建物は3~4階建てが多く、それだってこの世界からしたら相当大きな建物なのだが…アズール商会本店は5階建てで、敷地面積も相当広く見える。
入り口の扉も大きくて、大勢の人たちがひっきりなしに行き交っている。
まるで前世のデパートそのものだ。
「凄い…この建物が全部お店なの…?」
「アダレットにはこんな大きなお店は無いよね…」
「ウィラーにも無いよ!」
と、留学組が驚きをあらわにしている。
ちょっとイスパルの王女として優越感を感じてしまったのはヒミツ。
私にも結構地元意識が芽生えてるんだよ。
そして、雰囲気に少し圧倒されながらも、お店の中に入っていく。
中に入ると天井の高い広々としたエントランスが迎える。
ピカピカに磨きこまれた大理石のような石材の床や壁がゴージャス感を醸し出していた。
客層も、いかにも裕福そうな身なりの紳士淑女たちだ。
まぁ、私達も王族に高位貴族なので、身なりもそれなりであるのだが。
今日の私の格好は、街歩きも考慮してあまり華美になり過ぎないようにしているが、仕立ては良いものだ。
他のみんなもそれは同じで、周りから浮いてるという事はない。
いや、私はチラホラと注目を集めているね…
まあ、格好がおかしいのではなくて、そこそこ顔が知られていると言う事だと思うけど。
入ってすぐの所にカウンターが設けられていて、受付嬢が立っている。
どうやら案内所の役割らしく、そんなところもデパートみたいだ。
「すみません」
「「いらっしゃいませ」」
受付のお姉さんたちに声をかけると、揃って挨拶をしてくれる。
所作も洗練されていて、高位貴族の使用人のようだ。
「カティア様にお越しいただけるとは、真に光栄でございます。本日はどのようなご用向きでいらっしゃいますか?」
どうやら彼女達も私の顔は知っているらしい。
私はポーチから以前ユリシアさんに貰った紹介状を出して、お姉さんに渡す。
「こちら…以前商会の関係者の方から頂いた紹介状なんですけど」
「カティア様の事は我々も聞いておりますが、念の為拝見させたいただきますね」
私が渡した紹介状を確認するお姉さん。
それほどかからずに顔を上げて言う。
「ユリシアお嬢様とプルシアお嬢様の連名…はい、確かに。お二人からは、もし商会にいらっしゃる事があれば丁重にお迎えするようにと言付かっております」
ふむ、話が早くて助かるよ。
「本日は二人とも本店におりますので呼んでまいりますね。少々お待ちください」
「あ!?約束もせずに来てるから、そこまでして頂かなくても…」
「いえ、カティア様がいらっしゃったら最優先で知らせるようにと言われておりましたので」
「何だかすみません…」
そして、お姉さんの一人が、二人を呼びに階段を登って行った。
流石にエスカレーターは無いよね。
「ん~、カティアはもう少しああ言う扱いに慣れたほうが良いよね」
「根が小市民なもので…」
「謙虚なところはカティアさんの美点ですからね。でも、レティシアさんの言う事も最もですわ。もう少し鷹揚に構えていないと、かえって気を遣わせてしまいますからね」
「結構王女サマ扱いにも慣れてきてるとは思うんだけど…まだちょっとね」
ケイトリンたちが常に護衛しているのも慣れたし、王城内での生活も大分慣れたとは思うよ。
それに、謙虚さは忘れてはいけないと思うんだよね。
何事もバランスが大事だろう。
「お待たせしました」
それほど待たずに、受付のお姉さんが二人を連れてきた。
ブレゼンタムでお世話になったユリシアさんとプルシアさんの姉妹だ。
「カティア様、お久しぶりでございます。ようこそおいでくださいました。お友達の皆様もようこそ我がアズール商会へ」
「カティアちゃん、久し振り~…って、こんな喋り方じゃマズイかな…?」
「お久しぶりです!お二人ともお元気そうで何よりです!喋り方は今のままで大丈夫ですよ。私の事は王女じゃなくて友人として接してもらえれば嬉しいです」
ユリシアさんは元から丁寧な口調だから気にならないけど、プルシアさんが同じような口調になったら違和感がありまくりだよ。
「そお?ありがとう!でも、流石に『ちゃん』付けはやめとくわ。あ、レティちゃんもよく来てくれたわね」
レティとプルシアさんは共同で魔道具開発を行ってるから面識があるんだよね。
「えへへ~、ライバル商会の会長が来ても良かったかな?」
「あははは、今更だね。父さんも有力商会との取引は喜んでたし、お互いにwin-winならオッケーでしょ」
「プルシアの言うとおりですね。モーリス商会さんとは仲良くやっていきたいと父も申しておりました。生憎と本日は不在ですが、後日挨拶をする機会もあるかと」
そうして、旧交を温めながら皆のことも紹介する。
アダレットとウィラーの王女がいる事に驚いていた。
流石にそこまでの情報は押さえてないか。
その後、二人の案内で店内を見て回ることになった。
とは言っても、ここに用事があるのは私だけだ。
「モーリス商会とアズール商会って、商売敵じゃないの?」
今更ながら、少し気になったのでレティに確認してみる。
「ん~?…まあ、商売だからね。ライバルになる事もあれば、提携することもあるし…まあ普通にビジネスライクな付き合いだと思うよ。あ、でも最近はプルシアさんと一緒に魔道具開発してたりするから、割と良好な関係って言えるんじゃないかな」
「そっか。なら良かった」
険悪な関係なのに会長を連れてくのは流石にマズいもんね…
アズール商会はモーリス商会の数件隣の建物で…もはやこれはビルといっても良いかもしれない。
この一角は大商会の本店級の店が軒を連ねるので、どの建物も大きいのだが、アズール商会のそれは更に抜きん出た大きさだ。
周りの建物は3~4階建てが多く、それだってこの世界からしたら相当大きな建物なのだが…アズール商会本店は5階建てで、敷地面積も相当広く見える。
入り口の扉も大きくて、大勢の人たちがひっきりなしに行き交っている。
まるで前世のデパートそのものだ。
「凄い…この建物が全部お店なの…?」
「アダレットにはこんな大きなお店は無いよね…」
「ウィラーにも無いよ!」
と、留学組が驚きをあらわにしている。
ちょっとイスパルの王女として優越感を感じてしまったのはヒミツ。
私にも結構地元意識が芽生えてるんだよ。
そして、雰囲気に少し圧倒されながらも、お店の中に入っていく。
中に入ると天井の高い広々としたエントランスが迎える。
ピカピカに磨きこまれた大理石のような石材の床や壁がゴージャス感を醸し出していた。
客層も、いかにも裕福そうな身なりの紳士淑女たちだ。
まぁ、私達も王族に高位貴族なので、身なりもそれなりであるのだが。
今日の私の格好は、街歩きも考慮してあまり華美になり過ぎないようにしているが、仕立ては良いものだ。
他のみんなもそれは同じで、周りから浮いてるという事はない。
いや、私はチラホラと注目を集めているね…
まあ、格好がおかしいのではなくて、そこそこ顔が知られていると言う事だと思うけど。
入ってすぐの所にカウンターが設けられていて、受付嬢が立っている。
どうやら案内所の役割らしく、そんなところもデパートみたいだ。
「すみません」
「「いらっしゃいませ」」
受付のお姉さんたちに声をかけると、揃って挨拶をしてくれる。
所作も洗練されていて、高位貴族の使用人のようだ。
「カティア様にお越しいただけるとは、真に光栄でございます。本日はどのようなご用向きでいらっしゃいますか?」
どうやら彼女達も私の顔は知っているらしい。
私はポーチから以前ユリシアさんに貰った紹介状を出して、お姉さんに渡す。
「こちら…以前商会の関係者の方から頂いた紹介状なんですけど」
「カティア様の事は我々も聞いておりますが、念の為拝見させたいただきますね」
私が渡した紹介状を確認するお姉さん。
それほどかからずに顔を上げて言う。
「ユリシアお嬢様とプルシアお嬢様の連名…はい、確かに。お二人からは、もし商会にいらっしゃる事があれば丁重にお迎えするようにと言付かっております」
ふむ、話が早くて助かるよ。
「本日は二人とも本店におりますので呼んでまいりますね。少々お待ちください」
「あ!?約束もせずに来てるから、そこまでして頂かなくても…」
「いえ、カティア様がいらっしゃったら最優先で知らせるようにと言われておりましたので」
「何だかすみません…」
そして、お姉さんの一人が、二人を呼びに階段を登って行った。
流石にエスカレーターは無いよね。
「ん~、カティアはもう少しああ言う扱いに慣れたほうが良いよね」
「根が小市民なもので…」
「謙虚なところはカティアさんの美点ですからね。でも、レティシアさんの言う事も最もですわ。もう少し鷹揚に構えていないと、かえって気を遣わせてしまいますからね」
「結構王女サマ扱いにも慣れてきてるとは思うんだけど…まだちょっとね」
ケイトリンたちが常に護衛しているのも慣れたし、王城内での生活も大分慣れたとは思うよ。
それに、謙虚さは忘れてはいけないと思うんだよね。
何事もバランスが大事だろう。
「お待たせしました」
それほど待たずに、受付のお姉さんが二人を連れてきた。
ブレゼンタムでお世話になったユリシアさんとプルシアさんの姉妹だ。
「カティア様、お久しぶりでございます。ようこそおいでくださいました。お友達の皆様もようこそ我がアズール商会へ」
「カティアちゃん、久し振り~…って、こんな喋り方じゃマズイかな…?」
「お久しぶりです!お二人ともお元気そうで何よりです!喋り方は今のままで大丈夫ですよ。私の事は王女じゃなくて友人として接してもらえれば嬉しいです」
ユリシアさんは元から丁寧な口調だから気にならないけど、プルシアさんが同じような口調になったら違和感がありまくりだよ。
「そお?ありがとう!でも、流石に『ちゃん』付けはやめとくわ。あ、レティちゃんもよく来てくれたわね」
レティとプルシアさんは共同で魔道具開発を行ってるから面識があるんだよね。
「えへへ~、ライバル商会の会長が来ても良かったかな?」
「あははは、今更だね。父さんも有力商会との取引は喜んでたし、お互いにwin-winならオッケーでしょ」
「プルシアの言うとおりですね。モーリス商会さんとは仲良くやっていきたいと父も申しておりました。生憎と本日は不在ですが、後日挨拶をする機会もあるかと」
そうして、旧交を温めながら皆のことも紹介する。
アダレットとウィラーの王女がいる事に驚いていた。
流石にそこまでの情報は押さえてないか。
その後、二人の案内で店内を見て回ることになった。
21
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる