247 / 683
第九幕 転生歌姫の学園生活
第九幕 20 『ショッピング』
しおりを挟む「カティアちゃ…さんは、今日は何か入用なの?」
…無理に呼び方変えなくても良いんだけどな~
「実は…」
と、今回ここに来る事になった経緯を伝える。
学園の魔道具研究会で開発された…元はと言えばプルシアさんが考えた写像の魔道具。
それを手に入れたいと言うのが当初の目的だった。
「あ~、あれか~。ちゃんと引き継いで完成させてくれたんだよね。…そういえば貴方達は私達の後輩って事になるのよね」
「はい、そうなりますね。よろしくお願いしますね、センパイ」
「懐かしいですね。もう卒業して何年も経つけど…特別な時間だったわ。皆さんも、良い思い出をたくさん作ってくださいね」
「「「はい!」」」
「じゃあ、魔道具売り場を案内するわね。まだ量産体制に入ったばかりで一般販売はしてないんだけど、お得意様向けには試供品がいくつかあるから、それを融通してるのよ。カティアさんにも提供できると思うわ」
「わあ、ありがとうございます!」
よしっ!
コネ万歳!
権力バンザイっ!
これで、マイエンジェルたちの激写が現実なものになるよ!
「…小市民とか言ってたわりに、しっかり権力使ってるじゃないの」
き~こ~え~ま~せ~ん!
そして案内されたのは3階の魔道具売り場。
因みに1階は宝飾品関連の売り場、2階は服飾店だった。
後でそっちも見てみたいと思う。
魔道具売り場のバックヤードは在庫を保管している他に、修理工房も兼ねているらしく、私達はそこに案内してもらった。
何人か魔道具職人らしき人たちが働いており、私達が入っていくと立ち上がって会釈してくれた。
お仕事中にお邪魔しちゃってスミマセン…
「例の写像の魔道具、まだあったよね?」
プルシアさんが手近な職人さんに尋ねる。
「はい、まだ幾つか残っていたと思いますよ。え~と、確かここに…あ、あった」
作業机の引き出しからそれを取り出す。
「お、ありがとね。はい、これが今度発売する予定の魔道具だよ」
プルシアさんが渡してくれたものを確認すると、クラブで見せてもらった物とはデザインが少し異なるが、基本的な作りは同じ物のように見えた。
「使い方は簡単だよ。このレンズを写したいモノに向けて、ここのボタンを押すだけね。はい、パシャッとな」
パシャッ!
と、プルシアさんは説明しながらレンズを私達に向けてボタンを押した。
音も前世のカメラみたいなシャッター音だった。
「それで…はい、こんな感じで出来上がり」
カメラ本体から取り出したのは、薄い金属プレートのようなもの。
渡されたそれを見てみると、そこには私達の姿が写っていた。
「「「おお~!」」」
皆一様に驚きの声を上げる。
まさしくインスタントカメラだ。
画質も想像以上に鮮明だよ。
しかし気になるのはこの金属プレート…結構コストが掛かりそうで気軽には写せないかも?
と言う事を質問してみる。
「ああ、このプレート?確かに消耗品としてはそこそこ値が張るとは思うけど…失敗しても上書き出来るから、その点は融通も効くわよ」
へぇ…撮り直し出来るんだ。
それは良いね。
よし、これは買いだな……とは思うのだけど、先ずは……
「これ購入したいんですけど、お値段は…?」
「え~と…一般販売での価格は確か…本体と印画プレート10枚セットで…金貨3枚だね」
ふむ…前世換算でおよそ30万円。
高価ではあるが、これまで存在しなかったモノだからね…妥当なところだとは思う。
プレートはもう少し欲しいところなので、単品の値段を聞いておく。
「このプレート単品は?」
「え~と、銀貨5枚だね」
5千円か…前世の感覚だと割に合わないけど、貴族や富裕層なら気にならない価格だし、一般市民でも手が出ないわけではない。
「よし、決めました!本体セットと、追加で印画プレート10枚買います!」
激写…と言うほど気軽に撮れないけど、撮り直しも出来るなら取り敢えずそれだけあれば十分だろう。
「は~い、毎度ありがとうございます!え~と、合わせて金貨3枚と半金貨1枚だけど…サービスさせてもらって、半金貨1枚は割引で」
「え!?いや、良いですよ!特別に融通してもらっただけでも有り難いのに…」
「まあまあ、ブレゼンタムでもお得意様だったし。これからもご贔屓に、ってことで。ねぇ、姉さん?」
「そうね。それに、友人として…後輩さんたちの入学祝いと言うことで。他の皆さんも、何かご購入するのであれば、サービスしますよ」
「お二人とも…ありがとうございます!」
「やったぁ!わたし何か服を買おうと思ってたんだ~」
「私は…化学クラブで使う素材を…」
「私もクラブ用に競技用の杖が欲しかったんだよね」
留学組がユリシアさんの言葉に喜ぶ。
まあ、これだけまとまった買い物をしてくなら、商会的にもプラスだよね。
そう思って、有り難くお言葉に甘えることにする。
「レティとルシェーラは何か欲しいものは無いの?」
「あ、私もカメラ欲しいけど…どちらかと言うと、機能面が気になるので、魔道具研とプルシアさんも含めて拡張機能とかの開発の相談をしたいかな。他には特に…」
まあ、まだ機能的にはシンプルだからね。
前世のカメラを知ってるなら色々弄りたくなる気持ちは分かるけど、この娘もブレないね。
「私は特に入用なものは無いのですけど…折角ですので宝飾品を見てみようかと」
お?
意外と貴族令嬢っぽいリクエストだね。
普段から武芸ばかりだから、そう言うのには興味無いかと思ってたよ。
「あ、いえ。もう少しでリュシアン様のお誕生日なので、プレゼントを選ぼうかと…」
こらこら、また私の心を読むんじゃない。
…え?顔に出てるって?
…気をつけよう。
「そっか~、そう言えばそうだったね。忘れてたよ。じゃあ、私も何か選ばないとね」
「それでいいのか妹よ…」
お兄ちゃん大好きに見えるんだけど、そういうところは抜けてるね。
そんなこんなで、アズール商会でのショッピングは続くのだった。
21
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる