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第九幕 転生歌姫の学園生活

第九幕 36 『野外実習〜恋バナ』

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「ただ今戻りました」

「後片付け終わったぜ」

「あ、みんなお疲れ~。片付けありがとうね」

 どうやら食事の後片付けが終わったようで、男子組が戻ってきた。



「随分盛り上がってたみたいだけど、何の話をしてたんすか?もしかして恋バナ?」

「いや、フローラの実家がラズレー領って話でね…来年の夏にでも皆で海に遊びに行けたらいいねって」

「おお~、良いじゃないっすか~!……水着姿が…ゲヘ、ゲヘヘ…」

「やらしい目で見るな!この変態がっ!」

 ドゴォっ!!

「ぐぼぉあっ!!?な、ナイスパンチ……ぐふっ!」






「全く…そもそもアンタと一緒に行くなんて一言も言ってないでしょ~が」

「アタタタ……いや~、つれないっす。苦楽を共にした仲間じゃないっすか」

「?なんの事?」

「いや、今日の洞窟で、一緒に闘ったじゃん。なぁ、ガエル!」

「…俺を巻き込むな」

「何言ってんの。あれくらいで乙女の柔肌を拝もうなんて虫が良すぎるでしょ」

 水着姿をそう簡単に見られると思ったら大間違いだよ!
 先ずはカイトに見せるのが先だしね!

「健全な青少年の健全な反応だと思うけどな~。なあ、ガエル!」

「…だから俺を巻き込むな」

 【俺】の記憶を持つ身としては分からんでもないけど。
 しかしこの二人は随分仲良くなったね。
 フリードが馴れ馴れしいだけかもしれないけど…

「お前らはどうなんだよ、ユーグ、クリフ」

「僕はまあ…見たいと言われればそりゃあ…なぁ?」

「え!?いや、その…はい…」

「おう!正直でよろしい!それでこそ男ってもんだろ。お前も見倣え、このムッツリスケベが!」

「君たち、そろそろその辺にしておかないとステラの目が怖くなってきたよ~」

「え?いや、私は別に…」

 メリエルちゃんに振られて戸惑うステラだが、確かにこの娘はこういう話は免疫なさそうだね。

「でも、あの時はフリードもガエルもカッコよかったよ。わたしは二人に助けてもらったしね!」

「お!流石はメリエルちゃん!分かってる~。どお?俺と付き合っちゃう?」

「それは無いかな~」

「そっか、無いか~」

「…そう言うところがダメなんだって気付きなさいよ」

 すぐ調子に乗るんだから…
 せっかくカッコいいところを見せたって、それじゃあ台無しだよ。













「で?実際のとこどうなんです?」

 と、唐突に変態フリードが話を振ってきたが…

「何が?」

「いや、アレっすよ。みんな、いい人はいるのかな~、って」

「はぁ…またソレ?前にも言ったけど、私は…」

「ああ、カティアさんは恋人いるんでしょ?もうすぐ婚約者になるって」

「…何だ、知ってたの?」

「そりゃあ、もう……入学以降、男子の間ではすごい勢いで情報交換されてたから」

「…何それ。その情熱をもっと有意義なものに注ぎなさいよ」

「ははは!それこそ健全な男子たるもの、ってやつだ。それに、姫さんは嫌かもしれないけど…貴族として王族との繋がりを持とうとするのは至極当然な行動かな」

「それはそうでしょうね。僕は知っていたから大それた事は考えませんでしたけど」

「ふ~ん…まぁ、別にそれは理解できるから、それほど嫌って訳じゃないけど。それより、別に機密ってほどじゃないけど、あまり言いふらさないでよね」

「もちろん、心得てるっすよ。それより、恋人とはドコまで行ったんすか?」

「な、何を…」

「いや~、何って…そりゃあナニですよ!わかるでしょ?ほら、恋人同士がすることと言えば、セッ…ぐぼぁっ!!?」

 ドゴォッ!!!

「直球すぎるんだよっ!!このド変態がっ!!」




















「アダダダ…酷い目に会ったぜ。グーで来るか?ふつ~は平手だろ…」

「自業自得だろ…」

「だな」

「なに?足りない?もう一発おかわりいっとく?」

「すんませんっ!!」

 まったく…
 まあ、その見事な土下座に免じて、おかわりは勘弁しておいてやろう。


「ねぇねぇ、ステラ、フローラ。フリードは何を言おうとしたの?……どうしたの、二人とも?顔が赤いよ?」

「え!?いえ、その…」

「あうあう…」

 ごめん二人とも、何とか誤魔化しておいて。
 メリエルちゃんにはまだ早い……って同い年だけど。
 でも、もう少し無垢なあなたでいてね。





「とにかく…そんな訳で、姫さんに関しては入学当初の熱狂は大分収まってるかな。知らねー奴は結構多いし、知ってても諦めの悪いヤツもいるけど…婚活人気は急落っす。まぁ、結婚云々抜きにしてお近付きになりたいヤツは多いっすね」

「…なんか急落とか言われると、それはそれでムカつくわ」

 もっと他に言い方があるでしょ。


「で、今の一番人気は…ステラさんすね」

「え?わ、私…?」

 ステラは意外そうにしているが、まあ当然の話だと思うよ。
 美人で隣国の王女さま。
 奥ゆかしい感じだし、私なんかより男子の人気はあるんじゃないかな…

「あとはレティシアちゃんも人気は高いハズなんすけど…どうも皆尻込みしてるみたいっすね」

「ああ…何があったか知らないけど、根深いんだね…」

 ホント、何をやらかしたんだろ…


「ね~ね~、わたしは?」

「メリエルちゃんは……守備範囲外のヤツが多い…あたたっ!俺が言ってるわけじゃないって!」

 失礼な事を言うフリードを、ポカポカと叩くメリエルちゃん。
 ちょっと和む。

「メリエルちゃんは、そんじょそこらの男にやるわけには行かないね!付き合いたくば私を倒しなさい!」

「父親ですか」

「無理ゲー過ぎるだろ…」

「カティア~…それじゃわたしおヨメに行けないよ~」

「もう、情けないね。それくらいの気概を持ちなさいってことだよ」

 メリエルちゃんだけでなく、友達には素敵な人と付き合ってもらいたい。
 …例えば、カイトみたいな人ね!

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