【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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第十幕 転生歌姫と忍び寄る戦火

第十幕 7 『衝撃』

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『私の名前はリュート。世間では賢者などと言われているが…まあ、そんな大仰な名を貰うほど大層な者ではない。…さて、この部屋に入ることが出来、この言葉を理解できる者。つまり、君、あるいは君たちは…』

 あまりの事態に頭が混乱する。
 ありえない事が起きている。

 突如として部屋に現れた男性。

「!?すけてるのっ!!おばけっ!?」

「ミーティアちゃん、落ち着いて。お化けじゃ無いと思うよ。…何かは分からないけど」

 …リィナ、ナイスフォロー。

 よく見れば男性の体は透けて見え、実体では無いことが分かる。
 つまり、これは立体映像だ。


 しかし、私が驚いているのはそんな事ではない。


「…?一体どこの言葉じゃ?大陸のものでは無いぞ」

「聞いたことがないですね…」

「神代語とも響きが違うわ~」

 分からないのは当然だろう。
 何せ、これは……


『きっと日本からの転移者。あるいは転生者なのだろう』

 そう。
 この世界では、おそらく私とレティしか理解することが出来ない言葉。
 すなわち、日本語。


 だが、その事実すらも私がここまで衝撃を受けている理由ではない。


 私が最も衝撃を受けているのは、その姿。
 そして『リュート』と言う名も。


 リュート…リュウト…りゅうと。
 琉斗。


 その姿。
 その名。

 この男性は……前世の『俺』じゃないか!!

 記憶にある『俺』の姿よりは幾つか歳をとっているようだが、見紛うはずもない…



 私の驚愕をよそに、映像の男性は話を続ける。
 あくまでも唯の記録映像に過ぎず、こちらを認識した上で喋っている訳ではないようだ。


『もう予想は付いてるだろうが私も日本からこの世界に転移した者だ。どうやってこの世界に来たのかはさっぱり分からないが……何故か寝たきりだったはずの身体もすっかり良くなって』

 …寝たきりだったと言う境遇も同じ。
 やはり、この男性は『俺』なのか?
 じゃあ、この私の『俺』の記憶は何なのか?

 分からない…
 もしかしたら、リル姉さんが何か知ってるのか?


『私は西暦20XX年の日本からやってきた。そして、君たちが知っているかどうかは分からないが、この世界は私がやっていたゲームに似ている。いや、正確に言えばゲームの舞台となる世界の過去に似ているということなのだが』

 …間違いない。
 やはりこの男性は『俺』だ。
 万が一違うとしても無関係のはずがない。

 しかし、20XX年…私の中の『俺』の記憶よりも5年先だ。
 …いや、そもそも『俺』はいつ死んだんだ?
 前世で最後に覚えている記憶から、その時に死んだものと思っていたのだが…いつ、どうやって死んだのかを覚えていない。


『もし、この世界がゲームの世界と同じ…あるいは何らかの関係がある世界であるのなら…この先の未来、いま私が生きているこの時代よりも遥か遠い未来で、恐るべき事態が起きる可能性がある』


 恐るべき事態…それは一体?
 ゲームのイベントと何か関係があるのか?

 私が知る限りにおいて、最も脅威となりそうなゲームのイベントと言えば、それはグランドクエスト……つまり、魔族の台頭。
 いま、まさにその状況が起こりつつあるのだが…

 いや、300年前には既に魔王と言う存在が現れている。
 もっと大局的で破滅的な何かを指しているような…そんな気がする。


『私は出来ればそれを阻止したいと思っているが、残念ながら正確に予見することができない。本当にそれが起きるのかさえも、だ。今この時代で誰かにこの話をしても、悪戯に混乱させてしまうだけだろう』


 本人さえ確証が持てない事柄なら、そうなるだろう。


『だから、せめて同じような境遇でこの世界に来たかもしれない君たちならば…同じ危機感を共有してくれるかも知れない。そう思ってこの部屋とこの記録を残すことにした。さらに詳しい話は書物に纏めてある。この記録映像が終わったら書棚を確認してほしい。日本語で記述しているから直ぐに分かるはずだ』


 転移・転生してくるのが日本人だけとは限らないと思うけど…
 この男性が『俺』と同じ人物なんだとしたら、しょうがないか。
 詳しい記録として残せるほど英語とかが得意なわけではないからね…


『君、あるいは君たちがどう言う境遇なのかは分からないが、願わくば、どうかこの世界でも幸せに生きて欲しいと思う。そして、可能ならこの世界の未来を護って欲しい。私も、残された生で可能な限りのことをしよう』


 それを最後の言葉に、映像は消えてしまった。















「消えた…」

「何がなんだかさっぱりじゃったな…」

「ん~…何だったのかしらね~」

「言葉が分からなければ何も分からないわよね。…?カティア、どうしたの?怖い顔をして……あなた、まさか…今の言葉が分かったの!?」


 私は未だ衝撃から抜け出せず、母様のその問いに直ぐに答えることが出来なかった。

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