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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 3 『酔っぱらい』

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「では次は我だな。お初にお目にかかる。我の名はイクセリアスという。以後、よしなに」

 古風な喋り方をするイクセリアス様は『時を司る神』と言われている。
 黒髪黒目、中肉中背の余り目立った特徴の無い方だけど、落ち着いた大人の雰囲気。
 ……時を司るとか、もしかして最強だったりしないだろうか?

「ふむ…『司る』とか『最強』と言われるほど万能では無いな。時の流れに逆らって遡る事は出来ぬし、完全に止めることも出来ぬ。我に出来ることはたかが知れている」

 …心を読まないで?






「……それがしはヘリテジア。よろしく」

 ……無口な神様ひとだね。
 フードを目深に被って外見がよく分からない…
 ヘリテジア様は『知恵の神』だ。
 実は『学園』に小さな神殿…と言うかやしろがあったりする。
 そう言えば、アスティカントにも大きな神殿があった。





「おっす!俺はシャハルってんだ!よろしくな!」

 どこかの戦闘民族の人みたいな挨拶をするのはシャハル様。
 金髪でツンツンした髪に紅い瞳。
 上半身は裸にベストだけ羽織って、ゆったりとしたズボン…ターバンはしていないけど、アラビア風みたい?
 『空間を司る神』と言われている。
 イクセリアス様と対になる感じなのかな。





「私が最後かしら。私はシェラフィーナと言います。シャハルの妹で、『魔を司る神』と呼ばれてますわ。よろしくお願いしますね」

 最後ににこやかに挨拶をしてくれたのは、シェラフィーナ様。
 ルシェーラみたいに丁寧な口調。
 黒髪黒目で服装も黒ずくめ。
 見た目はリナ姉さんと同じくらいの少女だ。
 とんがり帽子の、いわゆる魔女みたいな格好。
 魔……つまり魔法全般を司る神様ということだね。
 レティはこの方の加護とか貰ってたりするんじゃないかな…

「いいえ?最近は特に誰かに加護を与えたりはしてませんわよ」

 だから…心を読まないで……





 こうして、私達は12神の全員と邂逅を果たすのだった。
 …改めて考えても凄いことだよ。



 お互いに紹介も終わったところで、神々の宴は本格的に始まる。

 こうして皆で集まってワイワイ騒ぐのは私達人間とそう変わらず、最初は緊張したけど次第に打ち解けることができた。

 ミーティアは言わずもがな。
 皆に可愛がられてたくさん食べ物を勧められてご満悦の様子。

 テオは私よりも緊張した様子だったけど、大分慣れてきたかな?




「おぅ、カティア。飲んでるかぁ?ほれ、まぁ一杯やんな」

 すっかり出来上がった(神様も酒に酔うんだね…)オキュパロス様が、私に酒を勧めてきた。

 う~ん……神界の精神体の状態でも酔うのかな?
 神様たちはほろ酔い加減って感じだけど。
 …肉体が無いんだし、心の持ちよう次第かも?
 だったら試してみても…

「じゃあ、一口だけ…」

「お、おい!カティア!!」

「んふ~、テオちゃんはこっちよ~」

「うわ!?ちょ、ちょっと…!」

 テオが私を止めようとするが、リヴェティアラ様に捕まって行ってしまった。
 むむむ…あっちも気になるけど…
 お酒飲みたい!!(反省なし)


「よし、ぐいっと行きな!!こいつぁ、美味ぇ酒だからな、よく味わうんだぞ」

 オキュパロス様の持つ酒瓶には、『銘酒神殺し』って書いてある…
 え?ヤバくない!?

 だが、ここまできて断ることは出来ない。
 私は意を決して盃に口を付ける…

「……こくっ……あ、美味しい」

 なんだか日本酒みたいなんだけど(酒瓶もそんな感じだった)、口当たりが爽やかで甘すぎず辛すぎず飲みやすい感じ。

「そうだろう!ディザールの取って置きの一本だからよ。ほれ、もっと飲みな」

 あ、ディザール様が持ってきたんだ。
 やっぱり和風好みなんだね。

 そして、私は勧められるままに注がれたものを飲み干す。
 喉からお腹の奥の方までカッと熱くなった。
 かなり度数があるみたい。

 ……今更ながら、大丈夫だろうか?



















「ほら~、オキュピー!もっろのみなさい~!」

「お、おうよ(こいつ、酒癖悪ぃな…)」

 あはは~!
 お酒おいしぃ~!

 気分もふわふわ~


「ねえ、カティア…そのへんにしておいたら?少し飲みすぎよ」

「らいじょ~ぶらよ、リルねぇさん!まらまら、わらしはのめますよ~!ヒッく!」

「うわ~…すっかり出来上がってるねぇ…。精神体でここまで酔えるものなんだ…」

「勧めた俺が言うのも何だが…やべぇな、こいつ」

「だが、少し羨ましいな。我らはそこまで酔えないからな。地上にいた頃が懐かしくなる」

 ん~?
 なんだか私のことを生暖かい目で見てるね~。
 ちょっとお酒が足りないんじゃないの?

「ほら~、みんなもっろのみなさい~」


「……やはりこうなるのか」

 あ、テオだ!
 んふ~、ごろごろすりすり。


「まあ…お二人は本当に仲が良いのですわね」

「私に恋愛相談してた頃からは想像もつかない姿よね」

「そうね…でも、そろそろ何とかした方が良いんじゃないかしら…?」

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