348 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 4 『ヘリテジアは語る』
しおりを挟む
…何か記憶が飛んだ。
気がついたらテオのお膝の上だったよ。
やっぱりダメだったのか…
でも!
私は諦めない!
いつかきっと…飲めるようになるはず!(※なりません)
「……無理して飲まなくてもいいだろうに」
「だって…飲みたいんだもん」
呆れたようにそう言うテオに、半ば意地になって返す。
前世でお酒を嗜んでた身としては諦めきれないんだよ。
ハプニング(?)もあったが、いよいよ宴も酣となってきた。
美味しい料理に舌鼓を打ち、楽しく会話で盛り上がる。
私としては、神代の様々なエピソードが非常に興味深かった。
神話で語られるような出来事の事実であるとか、裏話とか……当事者たちから聞ける機会なんてそうそう有るものではないだろう。
そんな賑やかで楽しい時間を過ごしていたのだが…ふと、ヘリテジア様が話しかけてきた。
「…少し、良いだろうか?」
「あ、はい。何でしょう?」
周りが騒いでいても、この方だけは一人静かに聞き役に徹していたのだが…
話が振られれば相槌を打ったりするけど、積極的に会話に入ろうとはしてなかったので、話しかけられたことに少し驚いた。
「……お前の話はエメリールから聞いているのだがな。何やら『賢者』に関わりがあるかも知れぬ…とか」
「え、ええ。でも、実際に私とどういう繋がりがあるのかは何とも…」
前世地球から転移した琉斗が、更にこの世界で転生したのが【俺】なのでは…と言う予想はある。
でも、その確証が無いので結局謎のままなんだけど。
「そうか。……実はな。某は、賢者リュートに会ったことがある」
「…えっ!?」
リル姉さんは直接の面識は無いって言ってたけど。
ヘリテジア様は会ったことがあるんだ…
「そ、それで…どう言う方だったのですか?どんな話をされたのです?」
「…大した事は話しておらぬ。ただ…面白い人物だった故、良く覚えている。何せ異なる世界からやって来た、と言っていたのでな」
うん。
それは記録映像でも言ってたね。
会話の内容からも【俺】本人としか思えなかった。
「彼は…この世界の人間が、その時代において持ち得なかった様々な知識を知っていた。故に、異なる世界からやって来たというのもあながち嘘ではない…と思ったものだ」
う~ん…異世界転移のお約束、知識チートをやっていたということか。
今から何百年…いや、神代の頃だからもっと前……当然今よりも技術、知識なんかは進んでなかっただろうから、【俺】程度の知識でも有用なものが色々あったのかもしれない。
魔法なんかは神代の方が優れた魔導士が多かった…なんて話もあるから、一概には今の方が進んでるとは言い切れないけど。
「某も、彼の知識には興味を掻き立てられ、彼も某に興味を持った。そしてお互いに様々な話をした」
「そう…だったんですね」
「うむ。それで……その時の記憶を元に、エメリールに彼の魂の質を見定めてもらった」
「えっ!?……そんなことができるの?」
隣で一緒に話を聞いていたリル姉さんに聞く。
「完全ではないけど、ある程度なら」
「そ、それで…?」
逸る気持ちを抑えながら、続きを促す。
だが、リル姉さんは何だか困ったような顔で少し考える素振りを見せてから答える。
「それが…よく分からないのよ。他人の記憶を元にしてもある程度は『見える』はずなのだけど、彼の魂は…何か靄がかかったかのように見通せなかったの」
「そっか…それはしょうがないね」
「ごめんなさいね。彼は肉体ごとこの世界に『転移』して来た…ということが関係しているのかもしれないわね。私もそんなケースは見たことがないから…」
「異世界転移…本当にそんなことが起こり得るのか…」
「自然に発生するってのは、まずありえねえな」
私の呟きに答えてくれたのは、空間神のシャハル様。
と言うか、いつの間にか皆聞き耳を立ててるね…
「魂だけなら…記憶を保持したまま転生ってのは、結構事例があるみてえだけどよ」
レティみたいな例もあるもんね。
「自然に発生し得ない、ということは誰かの意志って事ですか?」
「そういう事になるんだが……例えば、俺が同じことをしようと思ったら、ここにいる奴ら全員の力を借りて、その上で地脈の魔素も根こそぎ使って何とか…ってとこだな」
う~ん…空間神と言われるシャハル様がそれなら、出来る人なんて居ないのでは…
「まぁ、俺らだって神様なんて言われても、全知全能ってわけじゃねえからな。俺たち以上の力を持つ何者かが地上にいないとも言い切れねえ」
その言葉には、他の神様方も頷いて同意を示す。
始めてリル姉さんに会ったときも同じようなことは言っていた。
でも、こうして地上を去ったあとでも色々気にかけてくれるんだから、私達人間にとっては敬うべき神様には違いないね。
「……ということで、謎は謎のままではあるのだが」
?
どうやらヘリテジア様の話には続きがあるようだった。
「賢者リュートも、自分が何故この世界に転移したのかは非常に気にしていてな。元の世界に未練があるというわけでは無かったようだが、色々研究は重ねていたらしい。そして、この世界でも特異な存在……ダンジョンに目を付けていた」
「ダンジョンに…?」
「ああ。あれは一種の『異界』だ。転移、転生、空間、異世界……そういったものと何か関わりがあるのではないか…そう考えたのだな」
改めて言われてみれば、確かにダンジョンというのは異質な存在だ。
あくまで現実のこの世界に、そこだけまるでゲームシステムが組み込まれているかのような…
「某が賢者について知ってることはそれくらいだな。参考程度にしかならんと思うが」
「い、いえ!凄く有意義な話だったと思います。ありがとうございます!」
謎は謎のままだけど、こうして少しづつヒントを積み重ねていけば、きっといつかは真実が明らかになる…かもしれない。
それにしてもヘリテジア様って……無口な方かと思ったら、結構饒舌なんだね。
気がついたらテオのお膝の上だったよ。
やっぱりダメだったのか…
でも!
私は諦めない!
いつかきっと…飲めるようになるはず!(※なりません)
「……無理して飲まなくてもいいだろうに」
「だって…飲みたいんだもん」
呆れたようにそう言うテオに、半ば意地になって返す。
前世でお酒を嗜んでた身としては諦めきれないんだよ。
ハプニング(?)もあったが、いよいよ宴も酣となってきた。
美味しい料理に舌鼓を打ち、楽しく会話で盛り上がる。
私としては、神代の様々なエピソードが非常に興味深かった。
神話で語られるような出来事の事実であるとか、裏話とか……当事者たちから聞ける機会なんてそうそう有るものではないだろう。
そんな賑やかで楽しい時間を過ごしていたのだが…ふと、ヘリテジア様が話しかけてきた。
「…少し、良いだろうか?」
「あ、はい。何でしょう?」
周りが騒いでいても、この方だけは一人静かに聞き役に徹していたのだが…
話が振られれば相槌を打ったりするけど、積極的に会話に入ろうとはしてなかったので、話しかけられたことに少し驚いた。
「……お前の話はエメリールから聞いているのだがな。何やら『賢者』に関わりがあるかも知れぬ…とか」
「え、ええ。でも、実際に私とどういう繋がりがあるのかは何とも…」
前世地球から転移した琉斗が、更にこの世界で転生したのが【俺】なのでは…と言う予想はある。
でも、その確証が無いので結局謎のままなんだけど。
「そうか。……実はな。某は、賢者リュートに会ったことがある」
「…えっ!?」
リル姉さんは直接の面識は無いって言ってたけど。
ヘリテジア様は会ったことがあるんだ…
「そ、それで…どう言う方だったのですか?どんな話をされたのです?」
「…大した事は話しておらぬ。ただ…面白い人物だった故、良く覚えている。何せ異なる世界からやって来た、と言っていたのでな」
うん。
それは記録映像でも言ってたね。
会話の内容からも【俺】本人としか思えなかった。
「彼は…この世界の人間が、その時代において持ち得なかった様々な知識を知っていた。故に、異なる世界からやって来たというのもあながち嘘ではない…と思ったものだ」
う~ん…異世界転移のお約束、知識チートをやっていたということか。
今から何百年…いや、神代の頃だからもっと前……当然今よりも技術、知識なんかは進んでなかっただろうから、【俺】程度の知識でも有用なものが色々あったのかもしれない。
魔法なんかは神代の方が優れた魔導士が多かった…なんて話もあるから、一概には今の方が進んでるとは言い切れないけど。
「某も、彼の知識には興味を掻き立てられ、彼も某に興味を持った。そしてお互いに様々な話をした」
「そう…だったんですね」
「うむ。それで……その時の記憶を元に、エメリールに彼の魂の質を見定めてもらった」
「えっ!?……そんなことができるの?」
隣で一緒に話を聞いていたリル姉さんに聞く。
「完全ではないけど、ある程度なら」
「そ、それで…?」
逸る気持ちを抑えながら、続きを促す。
だが、リル姉さんは何だか困ったような顔で少し考える素振りを見せてから答える。
「それが…よく分からないのよ。他人の記憶を元にしてもある程度は『見える』はずなのだけど、彼の魂は…何か靄がかかったかのように見通せなかったの」
「そっか…それはしょうがないね」
「ごめんなさいね。彼は肉体ごとこの世界に『転移』して来た…ということが関係しているのかもしれないわね。私もそんなケースは見たことがないから…」
「異世界転移…本当にそんなことが起こり得るのか…」
「自然に発生するってのは、まずありえねえな」
私の呟きに答えてくれたのは、空間神のシャハル様。
と言うか、いつの間にか皆聞き耳を立ててるね…
「魂だけなら…記憶を保持したまま転生ってのは、結構事例があるみてえだけどよ」
レティみたいな例もあるもんね。
「自然に発生し得ない、ということは誰かの意志って事ですか?」
「そういう事になるんだが……例えば、俺が同じことをしようと思ったら、ここにいる奴ら全員の力を借りて、その上で地脈の魔素も根こそぎ使って何とか…ってとこだな」
う~ん…空間神と言われるシャハル様がそれなら、出来る人なんて居ないのでは…
「まぁ、俺らだって神様なんて言われても、全知全能ってわけじゃねえからな。俺たち以上の力を持つ何者かが地上にいないとも言い切れねえ」
その言葉には、他の神様方も頷いて同意を示す。
始めてリル姉さんに会ったときも同じようなことは言っていた。
でも、こうして地上を去ったあとでも色々気にかけてくれるんだから、私達人間にとっては敬うべき神様には違いないね。
「……ということで、謎は謎のままではあるのだが」
?
どうやらヘリテジア様の話には続きがあるようだった。
「賢者リュートも、自分が何故この世界に転移したのかは非常に気にしていてな。元の世界に未練があるというわけでは無かったようだが、色々研究は重ねていたらしい。そして、この世界でも特異な存在……ダンジョンに目を付けていた」
「ダンジョンに…?」
「ああ。あれは一種の『異界』だ。転移、転生、空間、異世界……そういったものと何か関わりがあるのではないか…そう考えたのだな」
改めて言われてみれば、確かにダンジョンというのは異質な存在だ。
あくまで現実のこの世界に、そこだけまるでゲームシステムが組み込まれているかのような…
「某が賢者について知ってることはそれくらいだな。参考程度にしかならんと思うが」
「い、いえ!凄く有意義な話だったと思います。ありがとうございます!」
謎は謎のままだけど、こうして少しづつヒントを積み重ねていけば、きっといつかは真実が明らかになる…かもしれない。
それにしてもヘリテジア様って……無口な方かと思ったら、結構饒舌なんだね。
11
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる