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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 11 『ガエル対???』
しおりを挟む「あだだ……容赦ねーよな、ルシェーラちゃんは…」
「あら、加減はしましたわよ?」
対戦が終わった両者が引き上げてくるが、ルシェーラから蹴りを食らったフリードが背中を擦って痛そうにしている。
特に怪我をしてるわけでは無さそうなので心配は無いと思うけど。
だが…
「大丈夫?フリード君」
ステラが心配そうに声をかける。
さっきと言い今と言い……まさか、そんな……?
もし、万が一そうだとしたら……フリードとはOHANASHIが必要になる。
この国の王女の責務として、国際問題の芽は事前に摘んでおかなければならないのだ!
「おぉ…美しいだけでなく、何とお優しい……流石はステラさん!!」
「だ、大丈夫そうね」
フリードのテキトーな褒め言葉にも顔を赤らめるステラ。
…マジか。
そうだ、こういう時は…ルシェーラ先生の出番では!?
そう思ってルシェーラの方を見ると…
何だか複雑そうな表情を浮かべていた。
…どう言うことだろう?
(ねぇ、ルシェーラ…どうしたの?あの二人、何かあるの?)
(…いえ、何でもありませんわ。ただ、何と申しますか……果たして、あの二人をくっつけて良いものか……と)
…だよねっ!?
(や、やっぱりそう言うことなの?)
(私の見立てでは…)
ルシェーラ先生の見立てなら間違いなさそうだけど……こればかりはハズレて欲しいと思わなくもない。
いや、フリードはいいヤツだとは思うよ?
友人としてなら。
いや、案外付き合ってみたら一途だったりする可能性もないことはない……かなぁ?
だけどなぁ…普段の言動がアレだしなぁ……う~ん……
とにかく!
万が一にもステラを泣かせるようなマネをするなら……地獄を見てもらうよ?
「(ゾクッ!)」
「?…どうしたの?」
「いや…なんか今寒気が…」
「少し休んだほうが…」
「ははは!大丈夫っすよ!」
……う~ん、当の本人は気付いてないのかぁ……
何で普段から女の子を追いかけてるくせに気付かないんだろ?
アンタは鈍感系主人公か?
これは心配で今後の展開から目が離せないね。
「よし。じゃあ次は…ガエル!」
「はい」
指名された最後の一人、ガエル君が前に出る。
…あれ?
彼の相手は誰がするんだろ?
「お前の相手は俺だ」
「!…よろしくお願いします」
なんと…先生が直々に相手をするのか。
今迄先生の戦うところを見る機会が無かったけど…遂にその実力が明らかになる。
だけど。
「「先生!ずるい!!」」
…また被った。
そうだよ!
さっきは私達の試合申込を断ったくせに!
ひいきだよ!
「あ~、分かった分かった、また別の日にな」
「「絶対ですよ!」」
約束したからね!
「まったく……そんなに戦いたいのか……まぁいい。ガエル、準備は良いか?」
「はい」
「よし。…と、その前にだ。一つ聞いておこう」
「?」
「お前、最近自分が伸び悩んでる…なんて思ってたりするか?」
「!…はい」
へえ……やっぱり先生は良く生徒のことを見てるんだね。
ガエル君は無口だし表情の変化も乏しいから、そんな悩みがあるなんて私にはさっぱり分からなかったけど。
「ふむ…もう一つ。お前の目標は何だ?目指すべきところは?」
「…俺は、『剛刃』のダードレイを目標にしています」
へ?父さん?
ああ……確かに、戦闘スタイルは似てるなって思ったもんね。
そっか~、父さんが目標とする人物なんだ…
娘としてはちょっと嬉しいかも。
「カティア、そう言うことだから…それを踏まえて、コイツの戦い方をよく見ておいてくれ。立会も頼むわ」
「あ、はい。分かりました」
なるほど。
父さんの事をよく知る私の目から見て、彼に足りないものが何か…アドバイスをしろってことね。
どうやら先生の補佐役はまだ継続中ってことみたい。
「では、二人とも良いですか?……良さそうですね。では……始め!!」
ガエル君vsスレイン先生
その戦いの火蓋が切られた。
果たしてどのような戦いを見せてくれるのか…非常に楽しみだ。
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