【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 37 『樹海の試練を越えて』

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 王樹の魔核を砕くと、そこから光が溢れ出す。
 それは、うろの中の空間と私の視界を緑色に塗りつぶす。

 そして……

 

 オオーーーーーン………



 王樹の断末魔らしき唸り声が鳴り響き、やがてそれも静かになった。

 これで倒せたのか…?
 とにかく、外の様子を確かめてみよう。


 私は入口から顔を出して、下を覗き込む。
 さっきは無我夢中で気にならなかったが、足が竦むような高さだ。


「みんなーっ!!無事ーっ!?」

 私の声に皆こちらを見上げて手を振ってくれる。


「全員大丈夫だ!魔物も沈黙した!」

 代表してカイトが教えてくれる。

 ほっ……取り敢えずは切り抜けられたらしい。


 ……?
 ふと、違和感を覚えた。

 王樹がダンジョンの魔物だったのなら、倒せば消えるはずなのだが一向にその様子がない。
 動きは止めたものの、今も変わらず存在している。

 下を見渡せば、森の密度に変化が見られないところを見ると……トレントも消えずにただの樹に戻ったような感じなのだろうか?

 とにかく、下に戻ろう。


 私はうろの入口から地面に向かって無造作に飛び降りる。


「お、おいっ!?」


 カイトが驚いてる。
 だいじょーぶだよ!


「[爆風]!!」

 地面に激突するかと言う瞬間、私は中級の風魔法を発動させる。
 発生した爆風によって落下スピードが大幅に減速して、私はなんなく地面に着地した。


「ただいま!」

「ママ、お帰りなの!」

「…全く、肝が冷えたぞ。!その右腕、怪我だらけじゃないか!?」

 最後の突きのときにまともに衝撃波を浴びて、私の右腕は血で真っ赤に染まっていたので、カイトが心配してくれる。

「あ、だいじょーぶだよ。見た目ほどに酷くはないから直ぐに治せるよ。それより、こっちはどうなったの?」

 もう既に魔物が襲ってきてないのは見れば分かる。
 だが、念の為私が王樹の中に入ってからの事は確認しておきたい。


「カティアさんが王樹の中に入ってから、何とか押寄せるトレントを撃退し続けてたのですが…」

「王樹の方からガラスが割れたような音がしたと思ったら、急に魔物達が大人しくなったッス」

「ああ…じゃあ、やっぱり王樹が操っていたって事で良かったんだね」

 何とか賭けに勝つことが出来たって事だ。

 もし予想が間違っていたら、今頃はこうしていられなかっただろう。

 そして、私も王樹のうろの中に入ってからの事を説明した。
















「では、これで試練は突破した……と言う事ですかね?」

「だと思うけど……ミロン?」

 戦闘が終わって再びミーティアの頭の上に座ったミロンに話を振る。
 ……この娘、戦闘中はどうしてたんだろ。


「はい。見事この階層は突破されましたね。おめでとうございます」

「そっか、良かった……。あれ?でも、次の階層は?」

 これで階層を突破したと言うのなら……次の階層への階段はどこに?

「何を言ってるのですか。目の前にあるじゃないですか」


 またそれか。

 しかし、目の前って言っても………
 あ!まさか!?


「さっきの王樹のうろの中?」

「その目で確かめてみてください」


 まぁ、後はそれくらいしか考えられないからね……
 だから王樹は消えないのか。

 とにかく彼女の言う通り、確かめてみよう。




 私は再びリヴェラを鈎付鎖の形態にして枝に巻きつける。
 今度はそれを皆で昇って行くのだが……

 ミーティアはカイトが背負って昇り(一人でも行けると思うけど)、他の皆は自力で……と思ったら。


「う……ちょっと自信が……」

 リーゼさんが不安そうにしていた。
 戦闘中の動きを見ても、運動神経は悪く無さそうなんだけど、高いところがダメなのかな?

 すると。

「リーゼちゃんは、オイラがおぶってくッスよ」

 と、ロウエンさんが言ってくれた。

「あ、ありがとうございます。どうにも、高いところがそれ程得意ではないので……」

「じゃあ、目を瞑ってしっかり目を閉じてるッス」


 う~ん……ロウエンさんが男前だよ。
 やるね~。

 もちろんルシェーラはニヨニヨしているよ。
 私も何だか「ご馳走さまです!」って感じだ。
 ちょっと羨ましいと思ったりもしたが、私は既に自力で昇れるのは見せてしまったからねぇ……




 そして、私達は王樹のうろの中に入っていく。

 すると、さっきは気が付かなかったが、魔核があった辺りに虹色の光が渦巻いているのが見えた。

「…もしかして、あれが?」

「ええ。あそこに飛び込めば次の階層に行けるはずですよ」


 なるほど…もはやここまで来ると物理的な空間の繋がりは意味をなさないのかもしれない。
 まさに異界の領域なのだろう。








 そして、私達は顔を見合わせると……一つ頷いてから、意を決して光の渦に飛び込むのだった。

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