389 / 670
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 45 『海神』
しおりを挟む
四方八方から襲いかかってくる敵を、あるいは撃破し、あるいは躱しながら水中回廊を駆け抜けていく。
そして、数百メートルほど走った先に再び神殿が見えてきた。
私達は駆けてきた勢いそのままのスピードで、開いていた扉の中に駆け込んでいく!
私達が中に入ると扉は閉まり始めるが……
「まだ追いかけて来ます!!」
閉まりかけの扉の隙間から何匹も侵入して来た!
「任せて!」
襲ってくる方向が特定されるなら……纏めて一網打尽にしてやる!
私はケイトリンと入れ替わりに殿となって、神殿が見え始めてから詠唱を始めていた魔法を解き放つ!!
「[滅雷]!!」
極太のレーザー光の如き雷撃が追いかけてきた魔物たちを飲み込む!
殆どの魔物は雷光の中に消えていく。
そして、僅かな討ち漏らしも手分けして残らず掃討し……これで、ようやく一息つくことが出来た。
「はぁ……はぁ……戦いながらの全力疾走は、流石に疲れたよ」
「ふぅ……ですわね。ところで、また神殿…ですか?」
「少し趣きが異るな……」
確かに、最初の神殿は延々と細長い通路を進むだけだったのだが……今度は広々とした空間に柱が立ち並ぶ、まさしく神殿と言った様相だ。
静謐で、どこか神聖な雰囲気すら漂っているが……
さらに奥に進んでいくと、まるで円形闘技場のようなすり鉢場の場所に出る。
その中央では、闘技場で言う舞台の代わりに、とりわけ巨大な柱が天井を支えていた。
その柱には、その太く長い身体を巻き付けるように、海蛇竜らしき彫刻が施されている。
まるで今にも動きだしそうな躍動感がある……
「いやぁ……私、分かっちゃったな」
「オイラも」
「私も」
「わたしも分かったよ!」
「あれがこの階層のボス?」
そうだろうね。
あんなあからさまなのが、ただの彫刻な訳が無い。
近付いたら正体(?)を現して襲いかかってくるだろう。
「さて……折角ボス戦の準備をさせてもらえるみたいだから、目一杯バフかけておきましょ。[絶唱]も」
歌い続けてないと時間経過で効果が落ちていくのだけど…流石にこの人数じゃ支援だけに徹するのは無理だ。
「……そう言えば、[絶唱]が無くてもカティアさんがパーティーに居ると能力が向上する気がするのですが」
ルシェーラの言葉に皆頷く。
「ああ、リリア姉さんの加護の力だね。私が味方と認識している人の能力を底上げしてくれるの」
「ああ、そうだったんですのね。助かりますわ」
あっさり納得。
もはやその程度では驚かないんだね……
ともかく、ありったけの支援を施して戦闘準備万端にしてから、いよいよ私達は闘技場へと足を踏み入れた。
すると、見る見るうちに彫刻の海蛇竜が鮮やかな色を取り戻していく!
美しい虹色の鱗が光を反射して煌めく。
その神々しい輝きと、通常の海蛇龍を遥かに凌駕する巨大な体躯は、大海を統べる海神と呼ぶに相応しき威容だ。
そして、それに相応しい重々しい声が響いた。
『よくぞここまで来た、勇者たちよ。我に挑むものが現れるとは、随分久方振りの事よ……さぁ、この先に進むに相応しい力があるのか見せてみよ!』
そんなボス戦の決り文句みたいな口上を言い放つと、こちらが何か問い掛ける暇もなく襲いかかってきた!
ガパッ!と竜の顎を大きく開き、水流のブレスを私達に向かって放つ!
ただの水と侮ることなかれ。
超高圧に圧縮されたその一撃は容易く岩を穿ち、割砕くものだ。
まともに受ければ即死級の攻撃だが、直線的なので回避はそれほど難しくはなかった。
だが、今のは開戦を告げる、いわば挨拶代わりの攻撃だろう。
死闘は今、始まったばかりだ。
そして、数百メートルほど走った先に再び神殿が見えてきた。
私達は駆けてきた勢いそのままのスピードで、開いていた扉の中に駆け込んでいく!
私達が中に入ると扉は閉まり始めるが……
「まだ追いかけて来ます!!」
閉まりかけの扉の隙間から何匹も侵入して来た!
「任せて!」
襲ってくる方向が特定されるなら……纏めて一網打尽にしてやる!
私はケイトリンと入れ替わりに殿となって、神殿が見え始めてから詠唱を始めていた魔法を解き放つ!!
「[滅雷]!!」
極太のレーザー光の如き雷撃が追いかけてきた魔物たちを飲み込む!
殆どの魔物は雷光の中に消えていく。
そして、僅かな討ち漏らしも手分けして残らず掃討し……これで、ようやく一息つくことが出来た。
「はぁ……はぁ……戦いながらの全力疾走は、流石に疲れたよ」
「ふぅ……ですわね。ところで、また神殿…ですか?」
「少し趣きが異るな……」
確かに、最初の神殿は延々と細長い通路を進むだけだったのだが……今度は広々とした空間に柱が立ち並ぶ、まさしく神殿と言った様相だ。
静謐で、どこか神聖な雰囲気すら漂っているが……
さらに奥に進んでいくと、まるで円形闘技場のようなすり鉢場の場所に出る。
その中央では、闘技場で言う舞台の代わりに、とりわけ巨大な柱が天井を支えていた。
その柱には、その太く長い身体を巻き付けるように、海蛇竜らしき彫刻が施されている。
まるで今にも動きだしそうな躍動感がある……
「いやぁ……私、分かっちゃったな」
「オイラも」
「私も」
「わたしも分かったよ!」
「あれがこの階層のボス?」
そうだろうね。
あんなあからさまなのが、ただの彫刻な訳が無い。
近付いたら正体(?)を現して襲いかかってくるだろう。
「さて……折角ボス戦の準備をさせてもらえるみたいだから、目一杯バフかけておきましょ。[絶唱]も」
歌い続けてないと時間経過で効果が落ちていくのだけど…流石にこの人数じゃ支援だけに徹するのは無理だ。
「……そう言えば、[絶唱]が無くてもカティアさんがパーティーに居ると能力が向上する気がするのですが」
ルシェーラの言葉に皆頷く。
「ああ、リリア姉さんの加護の力だね。私が味方と認識している人の能力を底上げしてくれるの」
「ああ、そうだったんですのね。助かりますわ」
あっさり納得。
もはやその程度では驚かないんだね……
ともかく、ありったけの支援を施して戦闘準備万端にしてから、いよいよ私達は闘技場へと足を踏み入れた。
すると、見る見るうちに彫刻の海蛇竜が鮮やかな色を取り戻していく!
美しい虹色の鱗が光を反射して煌めく。
その神々しい輝きと、通常の海蛇龍を遥かに凌駕する巨大な体躯は、大海を統べる海神と呼ぶに相応しき威容だ。
そして、それに相応しい重々しい声が響いた。
『よくぞここまで来た、勇者たちよ。我に挑むものが現れるとは、随分久方振りの事よ……さぁ、この先に進むに相応しい力があるのか見せてみよ!』
そんなボス戦の決り文句みたいな口上を言い放つと、こちらが何か問い掛ける暇もなく襲いかかってきた!
ガパッ!と竜の顎を大きく開き、水流のブレスを私達に向かって放つ!
ただの水と侮ることなかれ。
超高圧に圧縮されたその一撃は容易く岩を穿ち、割砕くものだ。
まともに受ければ即死級の攻撃だが、直線的なので回避はそれほど難しくはなかった。
だが、今のは開戦を告げる、いわば挨拶代わりの攻撃だろう。
死闘は今、始まったばかりだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
323
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる