【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 52 『前へ』

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ーーーー ルシェーラ ーーーー


「はぁーーーーっっ!!!」

『せやあーーーっっ!!!』


 ガギィンッ!!!


 くっ!
 やりますわね!
 『私』!









 単独でのダンジョン踏破は思いの外順調に進み、ボス部屋に辿り着き……

 そこで、まさか自分自身と戦いになるとは思いもよりませんでしたわ。

 ですが、これも良い経験。
 そう思い、意気込んで戦いに臨んだのですが……

 全くの互角の力と技…そして戦い方も同じ相手と言うのがこれ程厄介だとは。



「ふぅ……完全に噛み合うというのは、逆にやり難いですわね」

『ふふ……また一つ経験になったでしょう?』

「ええ。本当に」

『ですが、あなたは『私』をどう乗り越えるのでしょうか?』


 ……自分と瓜二つの姿で挑発されるのは、中々イラッと来ますわね。

 ですが……


「どう乗り越えるか……ですって?そんなの決まってます。真正面から!正々堂々と!打ち破るだけですわ!!」

『……ええ、ええ、そうでしょうとも。それでこそ『私』ですわね。見事乗り越えてみなさい!』


 そして再び私達は激突する。


 幾度となく繰り返されたそれは、一見してこれまでの攻防の焼き直し。

 しかし、何合と打ち合ってるうちに、少しずつ均衡が崩れ始めてきました。



 ガィンッ!!

『くっ……!』


 『私』の一撃を弾き返し、即座に反撃した私の突きが『私』の頭を掠める。


「はぁっ!!」

 ブォンッ!!


 更に踏み込んで振るわれた薙ぎ払いは、惜しくもバックステップで躱された。


 ですが、致命打は未だ無いものの、勢いは私にあります!



『なぜですの…?『私』はあなたと互角の力を持ってるはずなのに!!』


 思った通りですわ。
 何だか『私』は驚いてますけど、至極簡単な話です。


「私と互角と言いましても、それは先程までの話でしょう?」

『まさか……この短時間で成長したというのですか!?』

「あら?あなたは『私』だと言うのに、そんな事で驚くのですか?これまでだって、そうしてきたと言うのに」

『……そう、でしたわね。確かにあなたはいつだって高みを目指してきた。リュシアン様やカティアさんに並び立ちたい一心で』

 そう。
 私はいつだって、自分の実力に満足したことなどない。
 だからこそ常に成長し続けてきたと言う自負があります。

 それは、今この時、この場所でも同じことです!


『……私はあなたの影に過ぎない。残念ながら成長することは出来ません。ですが!ただでやられるわけにはいきませんわ!!』

「望むところです!!あなたを倒して、押し通らせてもらいますわ!!」



 きっと、これが最後の攻防でしょう。


 己の持てるすべての力の全てを出し切って、必ずや勝利をこの手に!!


「はぁーーーっ!!」

『はぁーーーっ!!』


 お互いに最後の手札を切る。

 烈帛の気合を込めて全身に『氣』を巡らせる!

 そして、二人同時に間合いを詰めて、渾身の一撃を振るう!!


「せいぁーーーーーーっっっ!!!」

『てやぁーーーーっっ!!』



 『氣』を纏ったハルバード同士が真正面から激突する!!


 ガキィッッ!!


『くぅっ!?』
 

 競り勝ったのは私。
 『私』のハルバードは大きく弾かれ、くるくると回転しながら飛んでいった。

 そして……


 ザンッ!!


 その勢いのまま、私のハルバードが『私』の胴を薙いだ。




 決着は、つきましたわ。

















『見事、ですわ。迷いなく前へ前へと進む。それこそがあなたの力。さぁ、先へお進みなさい』

 それを最後に、『私』は光となって消えた。


「……迷い無き前進こそ我が力。そして原点。信じたもののために力を振るえるよう、精進あるのみですわ」



 さあ、前へ進みましょう。

 今はまだ頼りなくとも。
 いつかきっと、あなたの行く先の力となってみせますわ。
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