【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
398 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 54 『牙』

しおりを挟む

ーーーー ロウエン ーーーー



 さて、こいつはどうしたもんスかね?


 取り敢えずダンジョン探索は、遭遇する敵はオイラの斥候スキルの数々を駆使して軒並みスルーして来たッスけど。

 ……え?
 攻撃力もそこそこあるんじゃなかったか…ッスか?

 それはそれ、これはこれッス。
 無駄な戦いは、避けられるなら避けるに越したことはないッスよ。


 それより、罠がてんこ盛りで苦労したッス。
 他のみんなは大丈夫だったんスかね……

 まぁ、今は自分の事ッス。


 流石にボスは避けられないとは思ってたッスけど。
 これは予想外だったッス。


『ふはははっ!!よくぞここまで辿り着いた…ッス!!先に進みたくば、オイラを倒していくがよい!ッス!!』

 腕を組んでふんぞり返って偉そうにそう言うのは、『オイラ』ッス。
 何か魔王かなんかのつもりみたいッスけど、威厳なんてありゃしない。
 その上スベるなんて……我ながら情けなくなるッスよ。


『……ここはツッコむとこッスよ?』

「オイラってこんななんスか?」


 ちょっとヘコむッス。









 ま、おふざけはここまでッス。

 自分自身が相手とは思いもよらなかったッスけど、やることは変わらないッス。

 久しぶりに本気を出すッスよ。



 そして、かつての……傭兵時代よりも前・・・・の自分を思い出し、感覚を研ぎ澄まして自分の中に眠っていた闘争本能を呼び覚ます。
 頭の中がクリアになり、シンプルな思考に切り替えていく。
 そうしては、ただ目の前の敵を斃すだけの『なにか』になる。











 俺はここ最近ははあまり使わない長剣を構え、敵と対峙する。


『牙はまだ残っていたようだな』

「無駄なお喋りは終わりだ。行くぞ」


 そう宣言して俺は一息でヤツの懐に飛び込み、剣を袈裟に振り下ろす。

 キィンッ!!


 それは当然のようにヤツに弾かれるが、その一撃を皮切りに激しい斬撃の応酬が始まった。


 キィンッ!!

 キキィンッ!!

 ギィン!!


 幾度となく甲高い金属音が鳴り響き、その度に火花が散る。

 相手が完全に俺の力や戦い方をコピーしているのなら、まともに戦っても膠着状態になるだけかもしれない。

 頭の片隅でそう思ったが……それは更に端に追いやられ、意識は増々研ぎ澄まされて戦いに没頭していくのだった。
































 …
 ……
 ………ん?


「あれ?オイラは……?っ!?痛いッス!!?」

 ふと気がつくとオイラの全身は傷だらけであちこちち激痛が走り、目の前にはヤツが膝をついていたッス。


『うう……何だかカッコよく戦いが始まったと思ったのに……あっさり終わりにされた気がするッス』

「何だかよく分からないッスけど、メタ発言は止めたほうがいいと思うッスよ」


 まぁ、オイラの扱いなんてそんなもんス。

 いつもチャラくて愉快なロウエンさんには、シリアスは似合わないッスからね。
 それで良いッス。


 戦う力は、大将とかカティアちゃんとか……他にもゴロゴロいるッスからね。
 そういうのは任せて、オイラはオイラにしか出来ない事をやるだけッス。





『なにカッコつけてるんスか。ほら、とっとと先に行くッスよ』

「言われなくても分かってるッス。少しくらい感傷に浸ってもいいじゃないッスか」


 お互いに軽口をたたくが、ヤツは直ぐに光の粒になって消えてしまったッス。




 さあ、先に進むッス!

 こんな厄介なダンジョン、この先もオイラのスーパーでエクセレントでワンダホーな斥候スキルがまだまだ必要になるはずッス!!

 みんな、待ってるッスよ!



 そして、早くオイラの怪我を治して欲しいッス!!


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...