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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 58 『記憶』
しおりを挟む「せぇーーーいっっ!!」
キィンッ!!
『でやぁーーーっっ!!』
キキィンッ!!
激しい攻防が続く。
薙刀での中距離レンジを基本に、近接では刀・短刀、長距離では鎖鎌にリヴェラを变化させて、縦横無尽に駆け巡る。
とうに印の効果は切れて、今は純粋に己自身の力と技のぶつかり合いだ。
「ていっ!!はっ!!せやぁっ!!!」
キィンッ!!キキィンッ!!
振り下ろし、薙ぎ払い、斬り上げの三連撃も、全て防がれる。
『やっ!!せいっ!!はぁーーっ!!』
そして反撃の三連撃を私も全て弾いて防ぐ。
「[炎弾・散]!!」
『[氷弾・散]!!』
続いて放たれた魔法も即座に対抗魔法で相殺された。
正攻法も、奇策も、お互いの防御を突き崩せない。
どちらかがミスをすれば……とも思ったが、それもない。
分かっていたことではあるが……何か状況を打破するためのもう一手が無いものか……?
要するに、今までの私の戦い方の引き出しに無い攻撃であれば、意表を突く事が出来ると思うんだけど。
何かあるか?
……っと!!
危ない!!
『考え事なんて余裕があるじゃないの!!』
「そう言うわけじゃないけどっ!このままじゃ決着がつかないからね…!」
『策を練ってるってわけだね!受けて立つよ!!』
とは言っても、まだ何も……
……ん?
そう言えば……少し気になる事が。
私はこれまでの戦闘を振り返り、あることに気付く。
『私』に対しては様々な技を繰り出してきたが、反応がほんの一瞬だけ遅れる事があったのだ。
そうと思わなければ分からないくらいに、ごく僅かな差ではあったが……
葦薙ぎ、逆月影、舞葛、飛水断……何れも前世の『俺』が修めた古流の技。
もしかして、前世の『俺』の記憶までは完全にコピー出来ていない?
そう考えれば辻褄は合いそうだが……
確証を持てる程ではない。
だが、あと一手が欲しいこの状況。
賭けてみる他に無いかもしれない。
もう何度目になるのかも分からない攻防。
私は思いついた策を実行するためのタイミングを伺う。
そして、何合か打ち合ったあと、その時が来た!!
比較的大振りの『私』の薙刀の斬撃を掻い潜りながら私はリヴェラを刀に変化させ、懐に飛び込む!
だがそれは『私』の誘いであり、向こうも即座に薙刀から刀に変化させて、私の斬撃を弾く!!
ガキィンッッ!!
「あっ!?」
弾かれた勢いで、リヴェラは私の手から離れて飛んでいく!
『もらったよ!!』
はい、フラグ頂きました!!
パシッ!
私は両掌で刃を受け止め、斬撃の勢いを殺しながらその軌道を逸らす!!
『なっ!?』
そして体勢を崩してがら空きになった脇腹に膝蹴りを叩き込んだ!!
『がはっ!!』
まともに膝が入った『私』は、うめき声を上げて崩れ落ちる。
そこにすかさず奪い取った刀でもって止めの一撃!
ザンッ!!
それが致命の一撃となり、長かった戦いは遂に決着を見るのであった。
『真剣白刃取りとか。リアルにあるんだねぇ……』
最後の決め手になった技は、『白刃取り』とか『無刀取り』とか言われる剣術の奥義。
『俺』が修めた流派では『白刃返し』と言う。
だが、『私』の口振りからすると……
「やっぱり、『俺』の記憶は完全にコピー出来なかったんだね」
『そう言う事。あなたがこの世界に来てから意識に上がった記憶は再現してるけど、そうでないものは…ね。あなたと言うイレギュラーな存在には、さしものダンジョンの試練といえども対応しきれなかったんだろうね』
やはりそう言う事か。
私は賭けに勝ったわけだ。
「これで、試練は突破したということで良いのかな?ミーティアはダブルノックアウトだけど……」
いくらコピーとは言え、無抵抗のミーティアに止め刺すなんて出来ないよ?
『それは大丈夫みたい。生き残ったのはあなただけなんだから……まぁ、タッグマッチで勝利ということで』
「タッグと言うか…連携取る余裕なんか無かったけどね。先に進めるのなら気にしないでおくよ」
『そうしておきなさい。さぁ、先に進むといいよ。この先もがんばってね』
そう言って、『私』たちは光になって消えていった。
これでどうにか試練は突破した。
暫くミーティアは起きないだろうから、少し休憩して……それから皆と合流しましょうか。
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