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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 68 『仲間入り』
しおりを挟む「さて……賢者リュートがここにやって来た理由はもう一つありました」
「?」
「彼は異世界から転移してこの世界にやって来た。その原因についても調べていたのです。……いえ、順番的にはそちらの方が先でしたかね」
あぁ、それはヘリテジア様からも聞いた話だ。
自分が何故、異世界転移したのか気にしていて、この世界でも異質な存在に見えたダンジョンに目をつけた、と。
だから、順番的には確かにそちらの方が先で、異界の魂……魔王や邪神との関わりはここに来てダンキチの話を聞いて知ったところだろう。
「それで……何か分かったのでしょうか?」
「いえ。彼の転移は私の感知するところではなかったので……ただ、実際にダンジョンを見て、彼は何らかの関連はありそうだ、とは思ったようです。そして彼自身が邪神と何らかの関わりがあるのではないか…とも。何か根拠があるわけではなく、直感らしいですけど」
賢者リュートと邪神の関わり?
彼が未来を予見し得る存在と言う意味では関わっていると言えなくもないが……
ダンキチの話だと、もっと直接的なニュアンスに聞こえる。
しかし、リュートが前世の【俺】なのであれば、私にも関わりがあるという事になる。
もちろん、今までだって無関係とは思ってなかったが、それはあくまでも当事者であるこの世界の住人……そしてイスパルの王族の責務としてだ。
だが……もっと直接的なところで関わりがあると言うのだろうか?
「カティア、大丈夫か?」
「……え?」
「…随分深刻そうな顔をしてるぞ」
「あ、あぁ……大丈夫だよ。まだまだ謎だらけだなぁ、って思って」
私とリュートとの関係を知っているカイトは、どうやら心配してくれたみたい。
……いや、カイト以外の皆もだね。
まぁでも、カイトに言った通り、謎がまだ残ってるからどうしたものか……と思っていただけで、別に深刻に思い悩んでるわけではないから。
「ま、考えても分からない事はしょうがないね。でも、今回色々分かったのは大きな収穫だよ。次に調べるべき事も分かったし」
どうにかしてグラナ本国の情報を探らねばならないだろう。
これはお父様を通じて各国にも協力を仰がなければいけないことだ。
「いろいろ話を聞かせてくれてありがとうございました」
「いえ。あまり大した話はできませんでしたが……この星を護る為に必要なことは今後も協力は惜しみませんよ。……あぁ、そうだ。これを持っていってください」
そう言って、ダンキチ(まだ違和感が……)が執務机から何かを取り出して渡してきたのは、黄金に輝く『鍵』だった。
「これは?」
「このダンジョン限定ですが、転移装置の全機能を開放する鍵です。それがあればポータル間は自由に行き来出来るようになります。カティアさんたちが攻略してない階層も自由に行き来できますし、そもそも50階層から下はこの鍵が無いと機能を使えません。もちろん、この階層も。カティアさんが許可した方のみが使えるようにもできますよ」
おお……!!
何気に凄いアイテムなんじゃないだろうか?
そう思っていたら、ルシェーラとケイトリンが神妙な面持ちで呟く。
「ポータル間、ですか……惜しいですわね……」
「本当ですね……」
「ん?……何が惜しいの?」
「いえ……第77階層に自由に行けたらな~、と」
第77階層?
……ああ、そういう事。
「確かにねぇ……あの南国リゾートみたいな階層は魅力的だけど。贅沢言ってはダメだよ」
ダンジョンにリゾートを求めるのは間違っ……おっと、それ以上は止めておこう。
「ともかく……ありがとうございます。有り難くいただきますね」
「ええ。もし相談事などありましたら遠慮なく来てください。それと……ミロン?」
ダンキチは視線をミーティアの頭の上にいるミロンに向けて言う。
「はい?何ですか?」
「あなたはカティアさんに付いていきなさい」
「はい、もちろん最初からそのつもりですよ。リュート様の願いですから」
「ミロンが?それは嬉しいけど、このダンジョンから離れても大丈夫なの?」
器はリュートが創ったけど、中身はダンキチが命を吹き込んだと言っていたから気になったんだけど。
「ええ、それは大丈夫です。私が生み出したとは言え、ミロンは既に独立した生命として存在してますから。もちろんこのダンジョンの権能は、このダンジョンに居なければ使えませんが……おそらく別のダンジョンでも、ある程度の能力は使えるかもしれません」
「ミーちゃん、一緒に来れるの?」
「はい!ミー姉様!」
ん?
「わ~い!やった~!!」
無邪気に喜ぶ、ちびっ子二人。
だが気になる単語があったような……
「ミロン……『ミー姉様』とは?」
「はい?……あぁ、ミー姉様は私より先にリュート様に創られたようですから、姉様なのです」
「……そうなんだ(どっちも『ミー』でややこしくないのかな……)。まぁ、いいや……ともかく、これからもよろしくね、ミロン」
「よろしくなの!」
「はい、こちらこそ!」
こうしてミロンが私達の仲間に加わるのだった。
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