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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 4 『記憶の人物』
しおりを挟む「えっ?な、なに?その子?」
「ほら、私達ダンジョン行ってたじゃない?」
そう言えば……その辺の話はレティやステラ達にも話していたけど、ミロンのことは言ってなかったね。
ミーティアの鞄からひょっこり顔を出している様子は、確かに一見して人形のようにも見えるけど。
ましてやミーティアの年齢的に違和感がないし。
いつもの定位置だと流石に目立つので、このようなスタイルになった。
「驚かせてしまったみたいで、申し訳ありません」
「あ、いえ、確かにビックリしたけど……もしかして、妖精さん?」
「そうなの。ミーちゃんは迷宮妖精なの」
「迷宮妖精?」
「迷宮に住む妖精さんなの」
「そ、そう……」
分かったような分からないような、微妙な表情のレティ。
まぁ、その説明ではアレなんで、私が事の経緯を補足する。
「賢者リュートが生み出した人造人間……凄い。って言うか、ミーティアちゃんもそうだったなんて……。じゃあ、二人は姉妹みたいなものなんだ」
「そうです。ミー姉さまは姉さまなのです」
「そっか~。よかったね~、可愛い妹が出来て」
「うん!」
「……やっぱり可愛いですわ~」
ほっこりする光景に顔を綻ばせるルシェーラ。
うむ。
眼福だよね。
更に……今日はお留守番だけど、ここにクラーナも入ると破壊力倍増ですぞ。
「それにしても、グラナか~……」
「うん……中々厄介だよ。ほんと、謎のヴェールに包まれた国なんだよねぇ。300年前の大戦以来、まともな交流が無いみたいだし」
それ以前も盛んだった訳ではないけど、今よりは多少の交流はあったらしい。
15年前の大戦で捕虜に対して情報収集を試みたことがあったらしいのだが……将校は捕虜になることを良しとせず軒並み自決、一般兵は有用な情報をほとんど持っていない有様だったらしい。
グラナでは平民の移動制限や情報統制が徹底されているので、下士官以下は精々が自分の生まれ育った場所のことくらいしか知らないみたい。
「対策会議でいろいろ協議したんだけど、直接の情報収集よりも周辺国経由で…とか、今のところは消極策に頼らざるを得ないんだよね」
「なるほどね~……なんかさぁ、亡命してきた貴族とかいればいいのにねぇ」
そんな人がいれば助かるけど、そんな都合よくいるわけないよね……
……ん?
今のレティの話……何かが記憶の片隅に引っかかる?
こんな事が以前もあった。
そうだ……確かアレは……
レーヴェラントの魔軍襲来の時。
つまり、前世のゲームに関する記憶だ。
「ん?どうしたの、カティア?……もしかして何か心当たりがあるの?」
「心当たり、という程じゃないんだけど……」
(……もしかして『ゲーム』とやらの記憶か?)
私とレティのやり取りから何かを察したらしいテオが、私達だけに聞こえるように小声で耳打ちしてきた。
(え!?テオフィルスさん、どうして……?カティア、話したの?)
テオから『ゲーム』と言う単語が出てきて驚愕するレティ。
(う、うん。テオには『全て』話をしたよ)
(……そっか。でも、テオさんは全て受け入れてくれたんだ。良かったね、カティア)
(…うん。それよりテオ。もしかして、レティも私と同じだって知ってたの?)
(あっ!?そう言えば……)
今の会話の流れからすれば、そうとしか思えなかったけど。
(以前、初めてお前たち二人が話したときに、俺達の知らない言葉で話をしていただろう?)
((……そうでした))
あの時は誤魔化せたと思ったけど……私が転生者と知っていれば、繋がってもおかしくなかったか。
流石はテオ、出来る男だね!
(まぁ、それは良いとして。結局のところ、グラナの関係者に心当たりがあるという事なのか?)
(そこまでハッキリしているわけじゃないけど……テオの言うとおり、ゲームの事で思い出したことがあるの)
(ゲームの登場人物ってこと?)
(多分……)
(多分?)
(正確に言うと……開発初期の設定で発表はされていたんだけど、【俺】がゲームをやっていた頃にはまだ登場してなかったの)
おそらく登場予定だったけどお蔵入りになったか、実装待ちだったか……何れかだろう。
(ふむふむ)
(ラフ画と簡単な説明だけ出ていたんだけど、確かにグラナから亡命してきて、祖国とは対立しているとかなんとか……でも、分かってるのはそれだけ。どんな立場なのか……ううん、それどころか名前すら分からない)
(……そっか。それじゃあ、探しようが無いか。…あ、でも、ラフ画は出てたんだ。どんな人なの?)
(女の人だね。歳ははっきりしないけど、若い……少女と言ってもいいくらいかもしれない?身なりはかなり良い感じだから、多分貴族とか。青みがかった銀髪に青い瞳の美人さん。ちょっとステラに雰囲気が似てたかも)
お嬢様とかお姫様とか、そんな感じの絵だったと思う。
もしかしたら、レティが言っていた『亡命した貴族』そのものかも知れない。
でも、それだけの情報じゃ探しようがないし、そもそもこの現実の世界に実在するのかも怪しい。
この時の私は、そう思っていた。
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